知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題で、今月5日に審判の第5回公判が開かれた。母親、知人男性と車で現場交差点を通り掛かり、近くの飲食店駐車場に車を止めた後、現場近くの歩道で目撃した女性に対し、被告側の弁護士が証人尋問した。
【目撃状況】
弁護士 交差点を通ったのはどの方向からか。
証人 東から西へ。
弁護士 飲食店駐車場には直進して入ったか。
証人 右折。
弁護士 車内でどこに座ったか。
証人 助手席。
弁護士 右折時に見たのは。
証人 パトカーが止まってた。
弁護士 他は。
証人 警察官2人と、男性1人(安永さん)がいた。
弁護士 車を降りてどうした。
証人 警察官と男性のいる所に行った。
弁護士 母親と男性は。
証人 一緒に小走りで近づいた。
弁護士 どこから安永さんを見たか。
証人 歩道橋の脇。階段の入り口のところ。
弁護士 階段の東西南北でいうとどの辺りか。
証人 北側。
弁護士 証人と安永さんの距離は。
証人 分からない。
弁護士 証言台から(証人と裁判官の間にいる)書記官、裁判官の距離で測ると。
証人 書記官よりちょっと後ろ、裁判官との間くらい。
(裁判官が質問を挟む)
裁判官 私の席までが、証言台からおよそ3メートルくらいだが。
証人 (距離は)分からない。
【現場での目撃】
弁護士 現場で見たとき、安永さんの姿勢は。
証人 立っていたと思う。手を動かしていたと思う。
弁護士 警察官の人数は。
証人 2人。
弁護士 位置関係は。
証人 安永さんの両脇。
弁護士 何をしてたか。
証人 肩から腕を握ってた。
弁護士 警察官の特徴は。
証人 全然分からない。
弁護士 立っている様子の後、安永さんの動きはどうなった。
証人 左腕に手錠がかかっていた。
弁護士 その時の安永さんの体勢は。
証人 (両)ひざついて中腰に。
弁護士 顔は。
証人 下を向いてた。
弁護士 安永さんの両手は地面についてたか。
証人 片腕が地面に、片腕は後ろに回されていた。
弁護士 警察官は安永さんから見てどの辺りに。
証人 後ろ。
弁護士 手錠つけたのは左手か。
証人 と記憶している。
弁護士 片方だけか。
証人 はい。
弁護士 もう片方は。
証人 警察官が握ってた。
弁護士 安永さんはどんな動きを。
証人 叫んだり、抵抗しようと暴れてた。
弁護士 立っている状態から片手錠にいく間の動きは。
証人 ずっと暴れていたので。警察官が突き飛ばされたりした。
弁護士 立っている状態から、両ひざつくまでの動きは。
証人 ずっと動いていたから分からない。
弁護士 横になってたり、尻をついて座ってたりは。
証人 横になるのはなかったと思う。=つづく
毎日新聞 2010年10月19日 地方版