知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題の審判は、今月4日の第4回公判で、現場近くの歩道橋などから目撃した男性に対し、検察官役弁護士が証人尋問した。
検察役 警察官がパトカーから降りて安永さんともみ合いになり、その状態から証人が(車を駐車するため)現場を離れた時、2人の警察官は、何をしようとしていたか。
証人 とりあえず(安永さんが)大きい人なので、必死になって動かないようにしていた。
検察役 警察官は安永さんにどんな呼びかけを。
証人 「あんた名前何か」「どこに住んでいるか」とか言っているように聞こえた。
検察役 暴れることについては。
証人 何も言ってない。
検察役 安永さんを守ろうとしている、というようなことを言っていたか。
証人 聞こえない。言ってない。
検察役 (証人が)交差点を右折し車を止め、歩道橋の階段に行き、それから現場を離れるまでの間、現場を見てない時間があったか。右折時、わずかに見てないか。
証人 (右折時は)前向きなので、何秒かは。
検察役 安永さんが年寄りの警察官を殴ったように見えたというが。
証人 そう見えた。右手で振り抜いた。
検察役 若い警察官に足げにしたのは。
証人 完全に間違いない。ガードレールに倒れていました。
検察役 あなたは、(自転車を蛇行させる)ジグザグの運転を見て、安永さんを乱暴な人だと思った。
証人 はい。
検察役 立ち上がって殴るそぶりを乱暴と思ったか。
証人 思った。
検察役 彼が暴れるから、警察官が押さえているのは当たり前だろうと思ったか。
証人 必死というか、暴れたので。
検察役 やむを得ないか。
証人 最小限度だと思う。
検察役 こういう方は、警察に押さえられても当たり前だと思ったか。
証人 そうでしょうね。
【証人尋問終了を裁判長が告げた後、どこからの質問もなしに発言】
証人 報道とかで警察官が暴行を加えたとあるが、その状況で警察官が手を振り上げたとか倒したとか、そういうことは一切なかったと、私は見ている。
(歩道橋などから目撃した男性への証人尋問は終了)=つづく
毎日新聞 2010年10月18日 地方版