佐賀

　◇殴る様子なかった

　知的障害者の安永健太さん（当時２５歳）が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題の審判。４日の第４回公判で、現場を車で通り掛かり、近くの歩道橋などから目撃した男性に、被告側の弁護士が証人尋問した。

　【証人が現場交差点で信号停車時、安永さんが原付きバイクに衝突してからの状況】

　弁護士　（バイク衝突後）安永さんは倒れ、どうなったか。

　証人　すぐ立ち上がろうとした。

　弁護士　それから何が。

　証人　パトカーから警察官が降りてきた。私の左後方１０メートルくらいから、２人。

　弁護士　特徴は。

　証人　年取った人と若い人。年寄りから先に降りてきた。

　弁護士　安永さんに駆け寄り、どうなったか。

　証人　年寄りが小走りで、腕をつかもうと降りてきた。そして若い警察官が寄って（安永さんが）暴力を振るおうとしていた。

　弁護士　どうなったか。

　証人　つかみあった。

　弁護士　具体的には。

　証人　足は分からないが、年寄りは暴行を受け、若い人は足げりを受けるなどしたと思う。

　弁護士　それからは。

　証人　安永さんが後ろ向きに逃げるようにした。車道の縁石につまずいてうつぶせに倒れたのを見た。

　【証人が付近に車を止めて、歩いて向かった歩道橋から目撃した状況】

　弁護士　（駐車後）どこまで行ったか。

　証人　（現場近くの）歩道橋の踊り場で見た。

　弁護士　安永さんのいた場所からどれくらい離れていたか。

　証人　４～５メートルくらいだと思う。

　弁護士　歩道橋の踊り場に戻るまでの時間はどれくらいか。

　証人　１分足らず。

　弁護士　安永さんと警察官の位置は変わったか。

　証人　全く変わっていない。

　弁護士　安永さんの体勢は。

　証人　うつぶせ。

　弁護士　警察官は。

　証人　安永さんの右側に年寄り、左側に若い警察官だった。

　弁護士　警察官が手錠をかける様子は。

　証人　見ていない。

　弁護士　他に警察官は何を。

　証人　私服の関係者だろうとみられる男女（警察官）が（車から）降りてきた。

　弁護士　何をしていたか。

　証人　女性と男性２人で、１人が無線を持って、いろいろ通報した。マイクを握ってるのは分かった。

　弁護士　（私服警察官）到着後、安永さんは。

　証人　何か大きな声で２、３回ウオーウオーと言っていた。

　弁護士　それからは。

　証人　生つばをだらっと流していた。

　弁護士　私服警察官が押さえるのは。

　証人　押さえつけるのはなかった。

　弁護士　警察官は何人で安永さんを押さえたか。

　証人　見てない。

　弁護士　見ている間、（警察官が安永さんを）殴る場面は。

　証人　そういう様子はない。

　弁護士　殴る余裕があったように見えたか。

　証人　いいえ。押さえるので精いっぱいと見えた。＝つづく