旧広島市民球場「お別れイベント」　節目の日…複雑な市民

　旧広島市民球場で２４日開かれた「お別れイベント」。廃止条例が市議会で一旦否決されるなどの曲折をたどっただけに、節目の日を迎えた市の担当者がほっとした表情を見せる一方、解体に反対する市民グループは球場前で独自の“住民投票”を展開。訪れた市民の中には複雑な思いを話す人もいた。

　市は来月中にも工事に着手、年度内に球場正面部分と右翼席を解体する予定。杉山朗・旧市民球場跡地担当課長は「解体後の跡地も市民に愛されるよう整備していきたい」と意気込む。

　一方、「旧広島市民球場の歴史と未来を守る会」は来場者らに向け解体反対をアピール。同会は、解体の是非を問う住民投票請求を市が却下したことを不服として、広島地裁に却下処分取り消しの仮処分を申請しており、土屋時子代表代行は「裁判で解体を中止させたい」と決意を話した。

　同会の“住民投票”にはイベントの来場者ら約千人が投票。同市西区の男性会社員（５２）は「残せるものなら残してほしい」と複雑な表情を見せた。