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【世界おもしろ法律事典】戸籍で異なる「命の値段」

2010.10.24 20:00
このニュースのトピックス世界仰天ニュース

 中国江蘇省北部の新(しん)沂(ぎ)で9月16日、BMWを運転していた湖南省出身の男(33)が、路上で3歳の男児を死亡させた“交通事故”が地元社会を震(しん)撼(かん)させた。

 監視カメラに記録されていた画像を分析した警察当局によると、男は自分が運転するBMWが男児を轢(ひ)いたことに気付いたが、救急車を呼ぶどころか車を動かして男児をさらに3回、故意に轢いて死亡させた。

 この男はBMWの持ち主に月給1500元(約2万円)で雇われた運転手だった。警察の調べに対して男は「(事故被害者の)治療費より死亡させた方が安い」と開き直ったため、警察は容疑を殺人罪に切り替えて男を刑事拘留した。

 中国の「道路交通安全法実施条例」などでは、死亡事故を起こした場合、最高3年の懲役が科せられる。都市部住民が交通事故で死亡した場合、賠償金は53万元(約690万円)ほど。だが、ケガをさせた場合の医療費や慰謝料は死亡時の10倍を超えるという。

 事故を起こしたら殺した方が安い、という恐ろしい発想が中国にはびこっているようだが、この事件で改めて注目されたのは「戸籍による賠償金の差」だ。

 中国では出身地や親の戸籍によって、都市部住民と農村部住民とに戸籍が明確に区別されている。

 死亡事故の場合、被害者が都市戸籍なら賠償金は53万元ほどだが、農村戸籍なら24万元と半分以下に減額される。ケガをさせた場合も慰謝料は半分以下だ。

 賠償金や慰謝料の算出は被害者の収入がベースになるが、まず都市か農村か、戸籍の差で命の値段が決まるところが恐ろしい。死亡した3歳児は都市戸籍だったとされる。

   (上海 河崎真澄)

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