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[22577] 【習作】ヴァルキュリアなオリ主【VP×ネギま!】
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/17 19:14
この作品は一作目、つまり処女作で、駄文です
もちろんSS投稿が初めての素人で
そして憑依物です

【注意!】
これはVP、いわゆるヴァルキリープロファイル(以下VP)のオリ主とネギまのクロスSSです。
といってもVP編はAエンディングのラストあたりから始まりますのでプロローグ的な話になります。VP未プレイの方にはネタバレ、そして話の流れでわかりにくい所が多々あります。原作沿い、つまりレナス達の仲間でーとかにはなりません。設定借りの方が正しいでしょう

以下の点に注意

・ オリ主憑依物
・ ご都合主義
・ 厨二病
・ 原作知識
・ 独自解釈、独自設定
・TS要素が含まれます
Etc…
と色々ございます。これらの内容が含まれますので不機嫌になる方もおられると思います
それらの方々には先に謝ります。本当に申し訳ありません

最後となりましたが感想などいただけるとありがたいです。
ではでは



プロローグ№1

「はあはぁ」

もう無理じゃ~戦いは始まったばかりじゃが、こんな装備でどうしろというのじゃ
リセリアが新しく仲間になってからという物
わらわに対する態度が豹変しすぎじゃ、武具、防具、アクセサリに至るまで全てリセリアに譲渡するし
その上神界転送じゃと?わらわに残ったのは今までに鍛え上げた魔術くらいで
今や前衛もはぐれておらぬ、そんな壁のいない魔法使いなど殺してくれと言うてるようなものじゃ

諦めたくないが、残っているものなど嫌がらせのような消費アイテムと
神界転送した時の餞別だと渡してくれたエーテルセプターとフェアリィリングにプロテクトチャームのみ……

なにが「運が良ければ生き残れるわ」じゃ!あのクソ女神!
せめて防具ぐらい用意せんか!
こんな壊れ物ばかりで戦闘など自殺行為に等しいではないか!
今まで一緒に戦った仲間に余りに酷い仕打ち!万死に値するぞ!

うぅ自身の境遇に泣けてきよるわ

はぁ、四の五の言うてはおれん、まずは味方を探す、話はそれからじゃ

おぉ噂をすれば、あの背中は味方の神族ではないか!た、助かった

そうとなれば善は急げ、走るのじゃ

なんとかなったかの、後は敵の魔法使いを締め上げて、防具根こそぎ奪ってくれようぞ!
ふははははははははh

うん?なんじゃ奥の方から何やら話し声が……んん?これは羽?

「汝、その諷意なる封印の中で安息を得るだろう。
 永遠に儚く。 」

へっ?  

――セレスティアルスター

















――今北産業

トラックに
轢かれて
魂昇天

あぁ死んだなと思ったら、何ここ?リアルに天国ですか?

こんなに綺麗で空気の澄んだ場所、見た事も聞いた事もないな
ずっと日本に住んでいた俺には知らない景色だ
それにさっきまでいた街中じゃないよね

これってアレですか所謂、転生ですかコレ

二次小説だけかと思ったが、じゃあマジでここ天国だな、うん

だって綺麗過ぎるだろ此処、ずぅっっっと平原だし

だいたい視線が低くて向こうまで良く見えません……って

ハッ!?

なにこの視線、俺の体小さっ!

なんか杖持ってますけど服装からして女の子だよ、細いし小さいしこの体orz

転生じゃなくて憑依か~しかもTSって

誰に?

ってわかるわけねえよ、鏡くれ鏡

「ねえ、あなた大丈夫?」

あん?

「倒れていたから、治療したのだけれど…」

「倒れていた?俺が?」

「まあ、俺だなんて、ずいぶん男勝りなお姫様ね」

しまっ

「しかも魂がとても不安定……あなた女性よね?」

「ア、アタリマエジャナイデスカ」

「…ふーん、まぁいいわ、間違えて男を治療するなんて死んでも御免だからね」

「男…ですか?」

「そう!私女性しか治療したくないの!本当はオーディン様に皆分け隔てなくと言われているけど男の治療なんて虫唾が走るわ!」

「オーディン様?」

「あっ、今の内緒ね」ニコ

ビクッッ「はい!」

なんだ今の寒気は

「話がそれたわね、体の方は平気?」

「ぇえ、大丈夫だと思います」

「思います?」

…どうする、この人はおそらく味方
自分が何者かは分からないが何の疑いもなく治療したって事は
良くて味方、最低でも中立は保てる立ち位置にいる存在
赤十字みたいな?

…ここは一つ情報収集と行きますか

「いえ、やはり少し体調が悪いみたいです、」

「やっぱりね、そんな不安定な心身で戦うものじゃないわ、無理は良くないわよ?」

「そう、ですね」

「じゃ戻りましょう」

「ちょ、ちょっと戻るって一体どこに?」

「うーんそうね、此処から一番近いのはヴァルハラね」

「ヴァルハラ…」

「そこで治療して、また隊を編成してからラグナロクに参戦すればいいわ」

ラグナロク…

「さっ行きましょう、エインフェリアさん」

「我らが主神、オーディン様も近くにいらっしゃるわ」

オーディン…エインフェリア…

まさかな…

「失礼ですが、あなたのお名前は?」

「あらあらそんなに硬くならないで、私の名はアース神族の、最良の医師と呼ばれる女神」

「エイルよ」










あとがき


エイルはちょびっとだけVPに登場するキャラなので、性格弄くり倒しました。
申し訳ない
なにせ情報が少なく、場面的に神様の中で医師といえば彼女しかいなかったのです。
こんなんイメージとちゃうわゴラァという方、本当に申し訳ありません
性格はそのまま、北欧神話の逸話などを題材にしていますので、興味があれば調べてみて下さい。しかし彼女は女神が列挙される中でも3番目に名前を挙げられほどの良神だったんですね

えぇ~この様にこの先もこういった独自解釈、設定や改変は出てきます、なるべく世界観を壊さないよう、あまり明かされなかったキャラクターやモノを題材にしたり、ネタは北欧神話原典から引用させていただいたりします。VP自体の物語には、そんなにカラミはないです、そのため、VP小説とは言い難い為、それらを嫌う方には先にここで注意書きとさしていただきます





[22577] プロローグ№2
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/17 20:36
プロローグ№2

「エイル…」

誰それ、オーディンはわかる、北欧神話で有名な神様、というより最高神だ
この人も自称女神?だし偉い立場にいる神様なのはわかるが俺もそこまで詳しくないぞ
北欧神話は。

「ねえ?あなた」

「はい?」

「あなたの事はなんてお呼びしたらいいの?」

…まずい、今この体の正式名称なんて予想もつかない、この体の分かっている事など
一、女性である 二、エインフェリアである? 三、杖を所持しているので恐らく魔法使い的な職業(不確定)ぐらいだからな
仕方ない嘘つくしかないな、神様だから心を読めるとか言うなよ

「あの私…」

「あっやっぱりいいわ」

「へ?」

「だっていちいちエインフェリアの名前なんて覚えていられないわ、少し魂が変わっていたから気になっただけ」

「そ、そうですか」

助かった、のか?しかしさすが神様、神ゆえの傲慢さだな
今も戦闘中じゃなければ見捨てていたんじゃないのか?

「さあ、行きましょう」

「わかりました」












「少しそこで待っていてね」

「はい」

さて、救護所らしき所に着いたがここでゆっくり今後の進路でも思案するとしよう

「あぁ、そういえば」

ん、なんだ

「何かあるのですか?」

「いえね、ラグナロクが始まる前の戦闘で怪我をしたエインフェリアさんがここにいるのよ、よかったら相手でもしてあげて」

「そういうことなら、大丈夫です」

むしろ好都合、この人に聞けないこともいくらか聞きやすいだろう  ニヤリ

「じゃお願いね」

さて、邪魔者も居なくなったし、早速聞き込み開始と致しますか

あのカーテンの向こうか

「あのー」

「なんだ、俺は怪我してんだ戦えねぇぞ」

「いえいえ、ちょっとお話を聞きたいと思いまして」

「お話だぁ?」

カーテンから手が出て、鬱陶しそうに布を捲る

「俺に話聞きてぇなんて馬鹿はどこのどいつ…」

「?」

なんだこの人、俺の顔見て固まってるぞ、

!!まさかこの体の知り合いか?口調が違いすぎたのか?クソッ不審に思われたな
しかし今さら変えられない

「嬢ちゃん…」

どうする、別人を偽るか?記憶喪失?どちらもあながち間違いじゃないがどこかでボロがでる
うーん八方塞がりか

「あの、「すまなかった!!」えぇ?」

な、なんだいきなり

「あんたが話を聞きたいってのも頷ける、あんたは俺の事恨んでたんだろ?」

「あぁ確かに俺には話す義務がある、特に被害を受けたあんたなら尚更だ」

…いきなり何言ってんだコイツ、状況が掴めん

「あ、あの「言いたいこともわかる、今はもう恨んでねえって言いてぇんだろ?」…」

…もういいや勝手に喋らしておこう

「だが少しは恨んだりしたはずだ、今はどうあれ、あんな事仕出かしたんだ」

「……」

「…まさか積荷が嬢ちゃんだとは知らなかった、いやその前に積荷の確認ぐらいするべきだった」

「いや嬢ちゃんからしたらどちらも同じ事か、今さらだよな」

「だがあの時、嬢ちゃんはグールパウダーなんか飲まされて苦しんだはずだ」

「あまつさえその時逃げ出した俺を恨んでねえって言えるだけでも嬢ちゃんは強えよ」

いや一言も言ってないし

「しかも、そんな俺なんかが嬢ちゃんと同じエインフェリアになってやがる」

「誘拐して、あんな目に合わせて、逃げ出して、今同じ所にいる」

「こんな俺が、だぜ?今ここにいること自体嬢ちゃんには可笑しいだろうよ」

「…だが、だがな?こうして此処にいるからこそ、あんたに心から謝ることができる」

「早々にコッチにきて結局言えずじまいだった」

そういうとおっさんが立ち上がる、体が痛むのだろうノロノロとした動きで頭をさげる

「本当にすまなかった、アルトリア国、ジェラード王女」

じぇらーど?ジェラード…

その時頭を雷が貫いたような衝撃、いや大げさだが全てが繋がった

なるほど、そういうことか

「ありがとう、バドラック」

そうここは…

ヴァルキリープロファイルの世界だ

なるほど、ただの天国かと思ったら本当に二次小説みたいな話になったな
思えばこの服装にも見覚えがある、レナスが最初に選定した魔法使いにして最初のエインフェリア
そしてジェラードがそうなる原因となった一因の男、バドラック

俺がプレイしてたときはジェラードは最後までメインキャラだったからな
良く覚えているよ

ジェラードに憑依、しかもTS…

うん、ならやることは決まった
…大体難関は3つくらいか、これを越えなければ最悪消滅コースまっしぐらだ
まずは当初の目的通り情報収集と行きますか

「ねぇバドラッ…」

「うぅぅ…」

うわぁ大の大人が膝ついてグスグス泣いてやがる
どこから見ても典型的な小悪党が泣き崩れる姿は見るに耐えんな
てか体大丈夫なのか?さっきまでのあれは演技だったのか?

「こ、こんな、お、俺に、あ、あ、あありがとうぅってぇぇ」

「ありがとう」は情報についてだったのだが、まあいいや
にしても感無量って感じだな、胸の閊えが取れたのか?
しかし見れば見るほどキモイな

…だがそうも言っていられない、時間が迫っている

「バドラック」

できるだけやさしく話しかける、

これだけはまじめに答えてもらう必要があるから

「オーディン様が今どこにいるか教えて」













あとがき


バドラックの口調や性格が違うと思われた方、このバドラックさんは勇者適正値が上がっている影響で性格改変しているという事にしておいてください

バドラック脳内ではお話→OHANASIになっています。
自分に非があると自覚がある彼は謝るしかないわけですね、少し言い訳くさいですが

ちなみにエイルは優秀な神です、バドラックの怪我が本物かそうでないかなど
一目瞭然ですが、バドラックは彼女の典型的な嫌いな男そのものなので自分はノータッチで、さりげなくジェラードを向かわせたのも、バドラックと同じエインフェリアを探していて、そいつにこの男の世話をさせようと画策していたからです。  

「ふふ、計画通り★」ニコッ

!?



[22577] プロローグ№3
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/17 19:23
プロローグ№3

「ひっぐ、オーディンだぁ?」

いい加減泣き止めよ、おっさん

「そう、先にこっちに来たあなたならわかるんじゃないかと思ってね」

「…結構前の話になるし、オーディンがどこにいるかはわかんねえが
金髪のねーちゃんがあの館で歩いてたのは見たぜ」

そういって窓から見える館を指差す、
なるほど確かにここらで見える館で一番大きいが…確証がないな
そしてもう一つの方は…

「金髪の女性?」

「あぁ、めちゃくちゃ綺麗な女だったな、あれは間違いなく女神だぜ」

それだけでわかれば苦労しないが、…もしかして

「もしかして…全身緑色っぽい服を着ていなかった?」

「おぉ!確かそうだったな」

間違いないフレイだ、そしてフレイが自分の足で出向く理由があるとすれば、主神への謁見か……
ふむ、あそこにオーディンがいる可能性は高いな

「ありがとう、でもなんでそんなに詳しくわかるの?」

「うぐっ」 アセアセ

…おいおい顔に出すぎだろう、本当に腕利きの盗賊だったのか?この男
しかもこいつ何してたんだ?下手したら消されていたんじゃないのか?

「ああ、いいのよ、あんまり興味ないし」

「……」

ダンマリね、まぁいっか触らぬ神に祟りなし
実際に神の存在しているこの世界では読んで字にごとく
祟りがおきてしまう

「それじゃ私は行くわ、いろいろありがと」

「…待ちな」

「…何かしら?」

何だ?口封じか?後ろめたい事をしていなければ声をかけないだろう

「大丈夫、あなたから聞いたなんて誰にも言わないわ」

「違ぇつーの!ほらよ、もって行きな」

「?何かしらこれ」

手渡された袋には羽とか砂時計とか鏡とか、あとランタン?の中には火が燈っている
他にも色々と入っているようだ、コレらはもしかして…

「宝物庫からかっぱらって来た」

「宝物庫って……これ全部アーティファクトじゃないか!」

!!やべ、地が出た

「??…俺がそのねーちゃん見かけたんのはそん時よ、まったくヒヤヒヤもんだったぜ」

いい仕事したぜ!的な眩しい笑顔はやめてください果てしなく間違っています

「でもどうしてこれを私に?」

「やるよ」

「え?」

「俺にはこれがどう役に立つかはわかったモンじゃねぇが
きっとアンタの役にたつんじゃねぇか?詫びってわけじゃあねぇんだが」

ポリポリと頭を掻くおっさん、…これは嬉しい誤算だな、正直ありがたい

「おいおい勘違いすんな?全部じゃあ「ありがとう!バドラック!」……」

今の俺は満面の笑みだろう、それは妖艶な笑みでなく子供らしい輝くような笑み…

を意識する

「おう」 プイッ

素っ気無く返事を返し、顔を背けるが唇の端は吊り上っている、まったく、素直じゃないな

「ホントにありがとう、それじゃあね」

「ああ」

さて、これでオーディンが襲撃されなければ波風たたずに済むのだが、
しかし急がなければ取り返しのつかない事になる可能性もあるし、勿論危険性も上がる。
とりあえずさっき貰ったアイテムは装備しておこう



振り向きもせず走り去り、部屋をさっさと出て行くジェラード
嵐のように過ぎ去った一連の強奪事件の当事者は思わず一言、口から零れだした

「…なんか性格変わったか?あの嬢ちゃん」

その被害者の呟きは、走り去るかつての被害者には最早、聞こえはしない
















「はっ、はっ」

「ふう、急ぎつつ、慎重に」

そうここからはミスは許されない

俺が生き残る為にやるべきこと、第一に“確認”

まずは、ジェラードが元々所持していたアイテムと装備

あ、因みにアイテムなどの名前は頭の中に浮かぶし、ジェラードの知識の中に見覚えの在る物は使い方も覚えている、
それにこっちの言葉なんて俺の知らない言語だ、さっきも普通に話せていた
ジェラードに憑依したから元々の記憶などはないと考えていたが
ジェラードの記憶のうち覚えていないのは、ジェラード自身の過去
つまり思い出だ、これはおそらく俺の記憶を上書きしたのか
…それかジェラードが戦死した時に自分の思い出は持って逝ったのか


…そんなことより、コレだ、

正直、コレは使いたくないが、“第一の難関”はBエンディングとAエンディングどちらに進行しているのかを確認すること
Bエンディングならコレは使う必要がない、だがAエンディングならリスクはBの倍プッシュ以上
しかし俺の考えている作戦が成功すれば後々の難関に生きてくる多大なメリットがある、ゆえにコレは必須事項

そして今の所重要な情報は

エイルから聞いたラグナロクの開始はまず確定
俺がジェラードに憑依したのも確定
魔法はおそらく使用可能、アイテムの使い方も覚えているし、問題ないだろう
ここらが廃墟になっていないからオーディンとロキが“まだ”戦闘してないorロキの謀反は起きない

どちらかは不明

Bならいい、ヴァルハラに居れば死ぬようなことはないだろう

だがAなら、かなり危険だし、俺の作戦がうまく行くかわからん、でもアレは今後必要になるだろう

はあぁぁぁ先行き不安だな、こりゃ

しかもコレ一個しかないし、リハなしのぶっつけ本番か…

頼むぞ、ルシッドポーション   

……というかアイテム系全部一個ずつとか虐めですか?嫌われているのですか?ジェラード姫






あとがき

おっさんは宝物庫に入ったのは良いものの、武具や防具のアーティファクトは装備した場合
味方の神々に盗んだのが即バレ、即SA☆TU☆GA☆Iされると考え
使い方もわからない小物系アーティファクトを盗んでいきましたとさ



[22577] プロローグ№4
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/18 18:40
プロローグ№4

さて、とオーディン邸(仮)に着いたはいいが、わざわざ中に侵入するなんて愚を犯す必要もない。
それに、できるなら目立つ行動はしたくない

今から起こる事を確認するだけなら外で十分

こっちの準備は万端、後は待つだけ


……
………
……


来ないか

という事はBエンディング確定か?

それとも此処はオーディン邸じゃなかった?出た後だったとか?

ダメだ、どれもまだ確定じゃない、不確定要素が多すぎる

せめてオーディンの生存を確認しな…?

なんだ?魔力の高まり、胎動を感じる…

館の裏あたりから?

!!あの赤い龍は間違いないロキの…って

地割れがここまで!?岩とか家屋の破片等が吹き飛ばされてって…こっち来んなぁぁぁぁぁぁ

あ、マジムリ、こんなにいっぱい避けきれない









ガツッ







あーまた死んだよ俺、っていうかもっと離れてればよかった
まさか館の裏口?で戦闘していたとは、わかんねえよコンチクショウ

…変だな、全然普通だ、っていうかさっきまでと変わりない

手も動く、足も動く

パッと目を開けて素早く立ち上がり辺りを見渡す、うん廃墟だね、

でも自分自身なんともない、

…まさか

バッと先ほどバドラックから渡されたアイテムを確認する

…在り得ない、まさか一発で壊れるなんて、

「嘘だろぉ…」

思わず口から出てしまうほど、それぐらい俺の運に絶望してしまう
しかしこれはないだろう、いやマジで

「羽が…」

袋から取り出し装備した宝具、一見ただの羽に見えたあれはアーティファクト不死鳥の羽
確か行動不能になったら自動復活で、破壊確率10%とアーティファクトでも珍しい壊れる可能性のある宝具だ
それ故に貴重で大事な物だ、いや、“だった”

それが壊れている、10パーなのに、粉々に

俺の保険が一瞬でパーですか



……


…うぅぅ、ロキ許さんぞ!(泣

で、でもこれでAエンディングが確定したもの、悔しくなんてないんだからね! ツーン

…はぁ惨めになるだけだ、止め止め

しかしこうなってしまっては尚更、成功させなければ割りに合わない

散って逝った不死鳥の羽の為にもな!

…そろそろロキ達が会話している頃かな

ならばさっそく覚悟決めるとしますか

アレを……グングニルを頂戴に参る!

そして俺はルシッドポーションを飲み干す

グイっとな

よし、これで今俺の姿はほとんど見えてないはず

いざ行かん!待ってろよグングニル!








近くにいたお蔭か、少々走るだけで現場に到着した

そして今オーディンが目の前で倒れている

ロキはもう何処にもいない

でもエーンエーンとかグスグスとか変な擬音が聴こえてきそうなこの緑女神

どうしようか

この人いやこの女神様、確か2番目に偉いんだよね?この世界だと

槍なんて眼中にないですか、そうですか、え?この神様の背中がそう語っているのだよ


さっ、早くしないとこの最高神様ラブの金髪ねーちゃんが立ち直るしレナス達も動き出す
なにより薬が何時切れるか不安でヤバイ。

そういう事だから貰ってくよこの槍、羽の代わりだ、アンタ達にゃ悪いがな

そんじゃあな、あばよ!














ふ、ふははははは!!

……案外簡単にいったな(現在逃走中)
まあこんなこと起きるなんて予測がつく奴なんていないだろう

未来でも知らなければ

このメリットは今の所俺だけのもの、

そして新たに手に入れたメリット、それがグングニルだ

この世界のバランスさえ左右する、四つの秘宝の内一つ

天界の最高神が所有する、この世界最高級の宝具

これさえあれば大抵の事はなんとかなる

ジェラードは魔法使いだが、このグングニルはスルトの剣みたいな物だ

槍だが魔法媒体としても機能している

よく考えればわかる筈だ

オーディンは、戦士として一級品の力量を持ち、戦士としてかなり優れているのは確か
そして彼は魔法の分野でも超が付くほど優秀だ、その最たるものが



失伝魔法



「ロストミスティック」とも言われる、非常に高度な魔法で、複雑な儀式と膨大な魔力が必要なため
使える者は神々ですらオーディンのみとされているが…

人間でもレザードが使えるから、知識とかあれば誰でも使えるのだろうか?

例えば俺とか

強大な魔力はグングニルで代用、知識はレザード辺りに教えてもらうとか

……今考える内容の話じゃないな

取り合えず、第一の難関は予想外の出費はあったものの、滞りなく終了

そろそろルシッドポーションの効果が切れるはず、できるだけ離れよう


















あとがき

今回の出費

不死鳥の羽
ルシッドポーション

入手アイテム

四宝の槍グングニル

~補足説明~
この小説では1ターン1分とします
この場合ルシッドポーションは5ターン持ちますので5分ですね

そして不死鳥の羽ですが、本来、効果を発揮するのは戦闘のみで
VPでこのような記述はありませんし、死を免れるアーティファクトならオーディンが装備してんだろ
とか批判があると思います、「物語」としての話なのでこのような効果として使わしてもらいました


話は変わりますが漫画版読んでグングニル見たのですが

あれどう見ても槍じゃねえだろ

まあ作者的にイメージぴったりなのは「ファイナルチェリオ」の槍なので人の事言えませんが





[22577] プロローグ№5
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/19 19:40
プロローグ№5

第一の難関は予想外の事態は起きたもの成功し、四宝の槍グングニルを手に入れた

しかし良い状況とは言い辛いし、安心はできない

この体は仮初めの物、今は幸運にも体が維持されているが

ジェラードの魂が土台になっている事に間違いはない

おそらくジェラードは戦死したのだろう、その時、魂が離散し消滅する寸前

俺が憑依したと考えれば…

ジェラードが保持していた魂。ヴァルキリーが実体化した体。に俺が憑依し俺自身の人格を形成できているのは

俺の魂が繋ぎになっているに過ぎないのだろう

実に不安定、これは気持ちのいいモンじゃない

この奇跡がいつ途切れるかわかったものではないからな

急がないと…しかも懸念事項はそれだけでなく

Aエンディングルートが確定してしまった

反旗を翻したロキ、そしてオーディンはロキに殺害された
これからレナスが紆余曲折あってロキと対決する予定だが

対峙し、戦闘開始、その時

ロキのドラゴンオーブは発動し、神界も人間界も全て巻き込む災厄ラグナロクが起きる

これは間違いなく巻き込まれる、今のままなら生き残る可能性は低い
その為に現状手に入れられる最高戦力、グングニルを入手した

そう、ラグナロクを回避するのが“第二の難関”

そして、今何しているかといえば俺の戦力確認

今の俺が憑依した状態でも魔法は使えるか、試しに使ってみたのだ、

ちなみに使用した魔法は『ガードレインフォース』

防御力上昇効果のある魔法だ

結果から言うと、成功した。魔法の知識は覚えていたから確認作業のような物だ


だからこれからは原作を知っていても知りえない内容の話

グングニルの『特性』を知らなければならない

ロキは世界を滅ぼす程の力、レナスは世界を復元する程の力

そのどちらも一神様が持つ力にしては大きすぎる
どちらも自身の能力あっての力だが、両方共四宝が鍵になっているのは間違いない

ならば、グングニルにも負けず劣らず、同じようにできることがあるはずだ

それを知らなければならない、単純に強力な装備品としてではなく

この世界に影響を齎す四つだけの神器として

最低でもロキの世界崩壊を防ぎ、レナスに世界を復元してもらうまで余裕で生き残るくらいの力は欲しいかな

後はできるだけ生存者に見つからないこと、敵味方問わず、

先のロキによる攻撃によってアスガルドの大部分が破壊されてしまったので、生存者がいるのかまず怪しい所だ

しかし味方まで巻き込むとは、ロキはアース神族とヴァン神族との間に生まれた下級神?だっけ?
その生まれのためにどちらの神族からも蔑まれてきたから、その恨みが爆発したってわけね

うん、言っちゃ悪いが好都合、これで俺が目撃される確立がグンと減った

できるだけロキやその配下の龍や狼、金髪ねーちゃんなど面倒な神様達とは遭いたくない

その為今現在は森の中に身を潜めている

今のアスガルドに安全な場所など在るはずもなく、できるだけ発見され難い場所を考慮した結果、此処に到るまでに成った

現状確認はこれぐらいでいいだろう、ただ今は戦力確認の続きだ

グングニルは有名な武器だ、俺も色々なゲームでその高名は伺っている

そう、何かしら北欧神話をモチーフにしたゲームや本などに触れた事がある者は
かなりの確立で『必中の槍』などのイメージが沸く

その中でも、投擲槍として投げたりしているのが印象的だ

恐らく実際の北欧神話からの抜粋で、そのような記述があるのだろう

ならば試してみるしかあるまい

俺は大体10メートルくらい先の木に狙いを定め

全く力を入れず、それこそほいっとゴミ箱に捨てるくらいの気持ちで投げた

だが、どう見ても物理法則を無視してるだろ、と突っ込みたくなるような軌道で

真っ直ぐ木に突き刺さった

そして槍が的に当たった後、何時の間にか手元に戻っている

まるで槍自身が的中したという事を理解し「俺の仕事は終わった」と認識しているようだ

…どこのスナイパーだよ、俺の後ろに立つなってか?

だがこの程度で終わって貰っては困る、

この世界は確かに北欧神話に類似している、というかモチーフ、オマージュした世界だ、でも

ここはヴァルキリープロファイルの世界

オーディンを殺したのはフェンリルじゃなくてロキだし

ドラゴンオーブなんて物が存在し、レヴァンテインはヴァルキリーの装備品になるはずだ

そして戦乙女が創造神になる

こんな精々『必中』程度の力じゃお話にもならない

何かないのか…

槍を調べてもなぁ、取り扱い説明とか書いてねぇかな?

槍の持ち手部分に何かないかと思っても

わかったのは物凄く硬いなぐらいだ

穂先にも何かないかな?

…何か文字が書いてある、縦の長い線と斜めの短い線とを組み合わせた字形になっていて
シンプルな文字だが、“俺”には読めない

だがジェラードの知識の中にはこの文字が何なのか、答えが出ている

ルーン文字、らしい

なるほど、これが先ほどの物理法則無視のタネか?

穂先に魔術的な処理をし、必中と回帰の効果を付属した、

現時点で解るのはこれくらいか

だが引っ掛かる、大事な物を見落とした、そんな感覚

…どこだ、何を見落としている?

う~む…









物思いに耽って漸く答えがでた

それは

なぜルーン文字だと断言できなかったのか、である

魔術的要素を槍に付属させるなら、現存している魔法でどうにかできそうな気がする

わざわざルーン文字という魔法使いでも難解な言語を使う必要はないのだ

そこで思い出して欲しい、コレの元々の所有者を

最高神オーディン様である

そのオーディンが所持していた槍

一応、第一線級の魔法使いであるジェラードでさえ、らしいという曖昧な答えしかでないルーン文字

その誰にも解読できず失われたに等しい言語を使用した魔術的要素の付加

なにか思いつかないだろうか?

…失伝魔法

このルーン文字はオーディンが刻んだものではないのか?

つまりこの槍には失伝魔法が付加されているという事だ

失伝魔法=ルーン文字と決め付ける訳ではないが深い関りがあるのは事実

そして、この槍にはそのヒントが詰まっている

短い時間だが、なんとかモノにできるかもしれない

もう答えは書いてあるのだ、あとは組み合わせ

回帰、いや“転送”を使えるように

ふふ、魔力も知識もグングニル任せになりそうだな

しかしこれで第二の難関もスキップして、第三に移行できそうだ








…そう考えていた時期が俺にもありました

なんかさ後方から音がするのですよ

擬音つけるなら『ドドドドド』的な?

ははは、ヴァルキリー早すぎ、もっと時間かけろ馬鹿

うん、来てるね、かなり来てる

終焉が目の前だ

……なんとかなんねぇのか?グングニル

……



だめか…











―キィン








そうして槍は嘶いた















「…知らない天井だ」

まさかこのテンプレを口にする日が来るとは

天井を眺めている俺、背面の硬い床の感触が生きている証明をしてくれる

「生きてる?」

今回は流石に諦めた、打つ手なしだった、柄にもなく物に頼るなんて行為までした

「…グングニルの力なのか?」

槍は何も返答しない、ただズッシリと自身の重みを訴えるだけだ

真相はわからないまま、けど

「助かったよ」

こいつの可能性に賭ける以外助かる見込みはなかった

なら、こいつのお陰なのだろう

「それにしても、ここは一体?」

「ここは存在次元の歪みですよ」

!? 魔力反応!

「それより私は今とても忙しい」

魔力反応は、下!?

「どうやって此処まで来たか、手短に答えていただけますか?」

床に耀く魔方陣、見る間に完成されていく五芒星の陣から

俺の“最後の難関”であり最終目的である男、レザード・ヴァレスは姿を現した









あとがき



グングニルの「穂先にルーン文字が刻まれている」は
『エッダ 古代北欧歌謡集』145頁。(『シグルドリーヴァの歌』)よりそのような記述がありましたので、引用させて頂きました。(ウィキ調べ)
「必中、回帰の魔術的要素等」はそこから判断し、独自に発展させたもので、これらは実際のVPの公式設定ではありません、ご了承ください

「ルーン文字」の件も又、失伝魔法と係わりがあるように書いていますが
公式設定ではないはずです。すいません。

今回の話本当は二つにわけていたのですが上記の説明を一緒にする為、長くなってしまいました。



そして間一髪、窮地を脱したジェラード君ですが

ご都合主義の結果…

という事ではありません

一応助かったなりの理由はあります

プロローグ内で語られますので、少々お待ちを

そして追加

温州みかん様にコメント頂きましたが

魂に魂が憑依し

実体化している方に変化はない

これについて補足しますと

まず、エインフェリア…

英霊とはその力を天使たるヴァルキュリアに認められた者達です

普通の一般人が憑依した所で体を乗っ取られる事などまずありえないでしょう

意識がないような事態にならない限り

そして第二にあまりに弱すぎる魂なので、変化を与えるほどではなかったという事

作者がどこか憑依を融合と同一視していた所等多々ありますが

これは後々出てくるネタなので余りしゃべりたくないのですが

SSのテンプレの憑依だけでなく、この世界にも…と言った所で今日はお開き

ではでは~






[22577] プロローグ№6
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/20 18:53
プロローグ№6

「貴女がどうやって此処に辿り着いたか気にはなりますが」

「私も忙しいのです。用がないなら消えてください。」

いきなりだな…でもまあ手間が省けたし、『忙しい』その一言で現状を把握できた。

「それは自分がヴァルキリーにとって無二の存在になったからかしら?」

「…何を知っている」

クク、喰いついた

「何でも」

「…やれやれ、どうやらラグナロクを回避したくらいで自分が全治全能の神にでもなったつもりの様ですね」

「おや?それは自分の事を言っているの?」

「…ふう、」

眼鏡をクイっと上げ溜息を吐き、杖を構えるへんた…レザード、少々売り言葉に買い言葉だったな喧嘩をしに来たんじゃあない

「ま、挨拶はこれぐらいにして、何でもってのは確かに比喩だけど、貴方が欲しい情報はあるはずよ?」

「必要ありません。」

およ、気を悪くしたかな?

「私の精神を貴女如きに理解できるとは思えませんので。」

「それは失礼しました、優秀である貴方の頭脳をお借りしたかったんですけど
 情報はそのお礼…もちろんそれ以外にも貴方に役立つ物をオマケでね。」

「それこそ必要ありません。」

ありゃ?頑固だね

「私に必要な物を貴女如きに用意できるとも思えませんので。」

「ほう、例えばどんな?」

「だから貴女に―「これなんて必要なんじゃないの?」―!!」ニヤニヤ

よく見えるように差し出す、

グングニルを

「四宝の一つ、グングニル…コレさえあれば更なる高み、ヴァルキリーに近づけますよ?

…ヴァルキリーはこの世界の創造神となってしまった。

貴方は確かにこの世界で最も賢い魔術師でしょう

それでも創造神、ヴァルキリーには届かない

これ…ヴァルキリーやロキが高みに至る切欠になった物、四宝

これさえあれば、届くかもしれませんよ?

彼女に…レナスに。」

「……」

考え中…って顔だな、そんなに眉間に皺よせてさ、考えるまでもないだろうに、

「何が…」

うん?

「何が望みなのです?」

考えても答えなんて出ないよな、いきなりやって来て自身の一番欲しいモノを持ってきたのだから

かなり怪しいだろうな俺、しかも事情を知っているような雰囲気だ

警戒してこちらの情報をだそうとするのも頷ける。

「こちらの望み?」

だから色々無理難題でも言って、本当に欲しいモノは後にしようか

後々の計画にはレナスからのDMEの供給のままでは色々とまずいことになる、その為にもまずは“俺”の体が必要だ。

「まず、肉体ね、貴方いっぱいレナス似のホムンクルス造っていたでしょ?あれでいいよ。」

ピクッと瞼が反応した、意外と顔に出やすいんだな。

「次に知識、もちろん失伝魔法…ロストミスティックを少々、」

目を見開いて、何でそんなことまで知っている!?って顔だな、言っただろ“何でも”ってな。

「賢者の石を要求しないんだから、マシでしょ?」

…絶句してる、まだ俺のターンは終わらない!

「あと装備とかアーティファクト、後ね前衛がいないの、だからドラゴン(トゥース)ウォーリアでいいよね?」

俯いている…少し言い過ぎたかな?これらは前菜であったり、主菜までの繋ぎとかなのだけど

「ちょっと待ってください、幾らなんでもそんなに叶えられません。」

まあそうだわな、でも言うだけタダだし

「時間や内容の問題じゃないでしょう?」

「これ全てとは言わないわ、コッチでも妥協はする、どこまでできるか簡潔に述べて。」

「……」

レザード再び考え中…

「装備や前衛は問題ありません、私にとって今や必要なくなるでしょうから」

そういって一瞬、グングニルに視線が向く、クククご執心だな

「しかし肉体や魔法は、問題があります」

「続けて?」

「失伝魔法は神せっ……!!……魔法の方は私でも取得に長い年月をかけました、すぐに扱えるものではありません。」

「肉体の方は?」

「それは、私の力が足りるかわからないのです。」

「どういうこと?」

「英霊と化した貴方の魂は強過ぎる、魂の結晶化が私一人では成り立たない。」

「そう…でも」

それぐらい出来なければ、神に挑むなど不可能

「でも、それぐらいの小事、グングニルがあればできる…違う?」

「……」

逃がしはしない、ここが正念場だからな



「…矛盾していませんか?」

「何が?」

「貴女はグングニルがあれば可能だと仰った、」

「そうね」

「ならば貴女に術式を施す時、私の手元にグングニルが存在している、という事に他ならない。」

「グングニルが手中にあれば律儀に契約を執行する必要はない。と言う意味?」

「そうなりますね。」

この野郎、よくもまあズケズケと、

「結晶化してしまえば手も足も出せませんから」

「……」

折込済みだよ、レザード。良い様にレールの上を歩いてくれる

「私は言ったはずよ」

これに食いついて来なければまた別の手を考える必要があるが、こっちの可能性はかなり高いと踏んでいる
ここまで帰らずに話を聞いていたのだからほぼ間違いない。

「これはオマケだと…私にとってあなたに対する本来の報酬は情報、コレではないわよね?
それにね?これは元々、貴方に贈る予定の物だったの」

「…どう言う事です?」

「それも情報よ、続きは…解りますね?」

「続きは術を施してから…ですか」

「ええ、それまでコレ、お貸ししますよ」

「…少しコレを使いこなす時間を下さい、いきなり本番では貴女も不安でしょう?」

その間に解析するって寸法ね、抜け目ないお人だ…

「いいですよ、一時間でいいですね?」

「…っちょっと待って下さい、幾らなんでも短すぎる」

「そんな事はないですよ、今必要なのは魂の結晶化術式のみ、それを貴方一人で可能か試すだけなのですから
失伝魔法は私が肉体を得てからでも問題ないですよね?」

いや、どちらかと言うとそちらの方が俺にとっては都合がいい、成功すれば神の肉体、しかも“特別性”のだからな

「それに、貴方なら一度試せばグングニルを十分に使いこなすと信じていますよ」

「それも又、貴女の情報ですか」

「ええ、質疑応答は終わってからにしましょう」

「仕方ありませんね、私にはメリットしかないようですから」

「交渉成立ね」













とまあ、何とかなったワケだ

「知らない天井だ」

今度こそはシチュ通り、ベッド上で天井を見上げている

やっぱりテンプレは大事だな

目覚めた時すでに自身の体にはシーツを纏っており、今は部屋の備え付けの姿鏡で自分の体を確認する所だ、
見た目が化け物のようになっていてはレザードを脅迫してでもやり直しを要求しなくては…

と思っていたが、

そんな事は杞憂に終わった。

そこにいる、鏡に映る少女は輝く銀の髪にあどけない顔をしていても
しっかりとした意志を感じさせる透き通るような瞳。
背丈はジェラードと違いはないのか?目線にはほとんど変化がない
レナスをそのまま小さくした、ロr…ちびレナスがそこにいた。

確認は済んだ、今の所、体が痛むなどの不具合は生じていない。

「さて、さっそくレザードに会いに行きますか。」

「その必要はないですよ」

「あれ?いたの?」

「当たり前です、そんな事より私は忙しいと言ったはずですが?手短に情報を、」

「あーはいはい、仕事増やしてすいませんね、それ…少しくらいは解析したんでしょ?」

レザードの手には既にグングニルが握られている。
この人がこんな研究し甲斐がありそうな物を放って置くなんてできないだろう、
今も研究したくて心中でそわそわしているのではないだろうか、表にはまったく出さないが…

「ええ、貴女がルーン文字を知っているとは思いませんでした」

「失礼な奴」

実際俺は知らなかったのだが、失伝魔法を使う者として最高級品のブツな事は間違いないのだろう、
故にこの世界で今、最も所持するに適した存在はレザードをおいて他にはいない。

まあ元々の持ち主も生き返っているが

一度死んでレナスに生き返らしてもらった者とそうでない者、選ぶなら後者だ。

「ククク、よく言われます。」

なんか楽しそうだな、まあ求めるモノに近づけて嬉しいのだろう。それとも昔の級友に同じような事でも言われたのを思い出したか?

「ルーンを知っているとはいえ失伝魔法は習得にかなりの月日が必要です、どうなさる御積りですか?」

「気にしないで、しばらく滞在するわ。」

「…はぁ?何度も貴女の相手をしている暇はありませんよ?」

「それは通らないわ、貴方はまだ仕事を終えていない、一つもね。」

「……話が噛み合いませんね、それでは質問の答えになっていませんよ?」

「でも、この体が完璧だって事は貴方でもわからないじゃない?
 何か問題があって一々体を治しに此処に来られても困るでしょう?
 だから、この体に確り馴染んだのか、何も欠点がないのか、暫らく様子を見る必要があるわ、
 術後経過ってやつよ、その間にめぼしい失伝魔法を教えてもらう、ほら何も問題ない。」

「ク、クハハ!貴女がそれを言いますか!?この短時間で成功したのは私だったからですよ?」

「そうね、でも契約内容に添って、合意の上それは履行された、ならば最後まで責任を持つべきじゃないかしら。」

「……つまり失伝魔法を教えつつ、体に不具合がないとわかれば貴女は情報をこちら側に渡す」

「そう、そしてその間の代価としてグングニルをこちらは貸し与えた」

「ふう、それで何の失伝魔法をお教えすればいいのですか?」

理解が早くて助かるよ

「別にたいした事ではないの、貴方が良く使う移送方陣がまず一つ
それと原子変換配列の方法やそれに関する宝珠、上級配列変換の宝珠もね」

「それくらいでいいのですか?」

「ええ、他は役に立つか調べてから教えてもらうわ。」

それくらい扱いのレベルか…

少々無理を言ったつもりだったがこの程度造作もない、か…ならば

「…後、賢者の石に複製の魔術とかないの?それさえあれば賢者の石を複製してレプリカを私が貰えば大幅に時間を減らせるわ」

「…そうですね、流石に私も賢者の石全てを網羅しているとは言えませんから、そんな魔法があるかもしれません。」

「調べなかったの?」

「一つあれば十分なものを二つ造りはしないでしょう?」

「なるほどね、」

…意外だスペアとかの考えはないのかこの男、複製については当てはありそうだな、

「それで、今までの話で結局、私の滞在許可は頂けた事になるのかしら?」

「ええ、構いません私も新しいモルモッ…実験だ…協力者が増えて頼もしいですよ」

コイツ絶対わざとだな……口に出す分タチは悪いが俺も人の事は言えない。

「それならさっさと始めましょう」

「その前に、服でも着て下さい、その姿でうろつかれては困ります。」

「あら、用意してくれていたの?感謝するわ。」

「まったく、貴女には驚かされました。今まで謀っていたのですか?」

「さあ?どうかしら」

なんとか目処は立ったが、まだまだ疑り深いこの男の事だ、安心はできないな。














あとがき

今回の獲得チート
失伝魔法の師匠?
ハーフエルフの体

これが今作品においておそらく一番のご都合主義です

レザードはホムンクルスの研究を行っていましたが、化け物みたいな男がしゃべっている
所しか覚えていません、そのため、レナス用に作られた体に他の魂が合致するものなのか
そこに悩みました

しかし、俺ことオリ主が憑依して魂が少し変質したこと

レザードがグングニルを活用するに足る力を保持し、その力を少しでも発揮したこと

そして、レザードのロリに対する執念が…うわなにをするやめろやめt






[22577] プロローグ№7
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/21 18:41
プロローグ№7


あれから色々あった、

まず始めたのがルーン文字の完全習得、始めた頃はコレが一番厄介なのでは?
と馬鹿な考えをした事もあったが、思い返せばこれが一番楽な作業だった。

次に複製魔術の模索、結果から語ると賢者の石の膨大な知識の中にそれはあった。

流石、レザードをもってして“百億ページある辞書”と言わしめるだけはある、

事実、検索だけで半年以上を費やし、そこから習得開始と挫折を味わいやる気をなくす。

更に習得から賢者の石の複製を開始、ここからが地獄だった、

なにせ自称百億ページだ、複製にかかる時間も計り知れない。

故に、複製の内容を百万分の一の、一万ページに減少し、レプリカの名に恥じない性能となった、
これらの作業はレザードに手伝ってもらった…もらったのだが、
この辞書を一から完成までもっていったレザードはまさしく天才なのだろう、
その証拠に、レザードより長く複製魔術に携わっていたはずの自分より作業ペースが速いのは屈辱的だった。

この天才の働きも有り、時間も大幅に短縮できた、それでも全工程終えるまで約三年ほどの月日が経ったが、

しかしこれでも早い方だ、何せとあるアーティファクトを使って、これだけの年月が掛かっている。

本来なら四年半掛かる計算だからな。

一万ページの内容は、初歩失伝魔法に少しの高難度の失伝魔法だ、

そこには魂の結晶化やホムンクルスの製造法や修復法も書かれている。

万が一に損傷があった時の保険であり、神の器…エルフの代替になる物も書き記されている。


その三年の間に少しずつ小出しに、粗方の情報はレザードに教えた、原作知識の殆どと、中には続編のシルメリアの情報も…
しかしセラフィックゲートの存在は教えていない、存在するかわからないし、なんかカオスになりそうだし。

そしてその月日の間に体の方にも変化が現れた。

悪い意味でなく、不具合があったとかではない、この期間、ただ闇雲に賢者の石の複製をしていただけではなく、
他の失伝魔法の習得やレザード子飼いの不死者どもと模擬戦?と言う名の修行をしていたのだ。

魔法は勿論の事、折角ハーフエルフの体になったので近接戦闘も訓練した。

最初レザードに「魔法使いが近接戦闘とか自殺行為乙」といった感じで冷たい目をされたが、
めげずにがんばって何とかレナスモドキのような剣は振れるようになった。

話がそれたが、概ね支障がない程度には戦力を保持し、自衛や殲滅などは問題ないぐらいだ。

これから前衛として働いてもらうドラゴンウォーリアには負けないのは当たり前で、
例え困難な状況だとしても緊急回避等はできるようになったし、保険もある。

死ぬような目にあう事はもうないだろう。

複製を得てからは話は早い、まずレザードの塔にある武器、防具、アイテムなどを複製する。
それを原子変換配列で変化させ必要な物を用意していく、
複製には魔力と複雑な術式と対価を使用するが、手元に原物がなければ複製はできないので無限の剣○!とかはできない。

するつもりもないし、

そんな暇があれば大呪文でも唱えた方が早い。

あとバレないように完璧に隠蔽の失伝魔法を覚えてからカミール村にも寄ったし、

ブラムス城にも見学に行った、敵に遭遇するのは面倒なので、

ちょうど良くレザード塔にタイマーリングがあり、借りてった。

ブラムス本人に会うつもりなど更々ない、宝だけ奪ってきてやった。


これにて全ての準備は整い、

今はレザードの部屋に向かっている。

本当の目的を叶える為に…

ま、そんな硬くなる必要はなくケジメみたいなもんだ。

「…此処まで、長かったな」

もう精神も俺ではなく私になってきている、

女性の体で三年以上も生活すれば慣れが生じるからな、

女性というより女の子だが、

元男の俺としては目指す所はカッコイイ女性ってか?

…まずは背丈がいるか。

あれこれ考え事している内に部屋の前に着いた、

すうー…はぁ。

「緊張か、久しぶりだな。」

…さて行くとしましょうか、躊躇しても始まらないのでさっさとノックする。










「何か御用ですか?」

「ええ、そろそろ出て行こうかと思ってね。」

「ふむ、急ですが確かに貴女に教える物はもうないでしょう。」

「そうね、貴方には世話になったわ。」

「まったくです、何回殺してやろうかと考えたか。」

「あはは、ご愁傷様。」

「笑い事ではありませんよ。」

「まあいいじゃない、貴方は高みに手が届く所まで来ている。」

「確かに貴女の情報と四宝の賜物なのは認めますが私の計画には大幅に遅れが出ています。」

「でも成功率は格段に上がった、そうでしょう?」

「……」

「そういうことよ、遅れに関しては諦めなさい。」

「まったく貴女には良いように使われました。」

「…満更じゃないくせに、」ボソ

「何か言いましたか?」

「いえ?お気になさらず、」

「それでこれからは何処に行こうというのです?」

「少なくとも此処じゃないどこか。」

「そんな事百も承知ですが、貴女のその言い回しだと何か意味があるのでしょう?」

「流石、わかっていらっしゃる。」

「同じ轍は踏まないものでして。」

「…そう、この世界じゃない違う世界に行こうと思うの!」

「そうですか。」

「あれ?驚かないの?」

「貴女が異界について調べていたのを知っていましたから、予想はついていました。」

「そ、そうなんだ、最後に驚かそうと思っていたのだけれど。」

レナスに首っ丈だからこの世界から出る事など考えた事もないと思っていたし、
異界について興味なんてないと高を括っていたからな、気づいていたとは逆にこっちが驚かされた。

「何度も貴女の思い通りにはさせませんよ。」

「じゃあ最後にいい情報教えてあげる、」

やられっぱなしは性に合わないのでね、少し揶揄するとしよう。

「…聞きましょう。」

「グングニルに付加された魔術的要素、」

「必中と“転送”ですか?」

「違うわ、必中と“回帰”よ」

「回帰?」

「そう、必ず主人の手に帰ってくる、ね。」

「…詳しくお願いします」

「簡単に言うと貴方のそれはまだ完璧に貴方の物じゃないということ、」

「……」

「論より証拠、試しにどこでもいいから投げてみて。」

無言のままあさっての方向に投げる、レザードの部屋の壁にビィィーンと音をたてて突き刺さるグングニル

程なくするとそれは“私”の手に戻り、私にとっては予想通りの結果が部屋を沈黙で満たす。






「…騙していたのですか?」






底冷えするような声でこちらに話かけるレザード、そんなに予想外だったのか?

「違うわ、これは最後の契約。」

「契約にそんな内容はなかった覚えがありますが?」

「そうね、でも私はコレを“貸す”といったはずよ?」

「貸していたものを返せとでも?」

まだイライラしてるな、モチツケ。

「だ、か、ら、今この瞬間をもって正しく貴方に譲渡するの、でもちょっと条件がある。」

「…それが、」

「そう私を異界に飛ばすのを手伝う事、これを手にしたとき、持ち主であるオーディンは死んでいた、
だから次のグングニルの主、新たにこれを手に入れた私が、今のグングニルの主として回帰の“仮”登録先となった。
それを変える為の条件を私は知らない、だから私がこの世界からいなくなれば、」

「また主の失った四宝、グングニルは真に私の物となる、ですか、」

本来の主と成り得る資格を持っていたのは…

恐らく、失伝魔法を会得しており、ラグナロクを回避する可能性のあった人物

レザードヴァレスだけだったのだろう

あの時、ロキによるラグナロクが起きた瞬間、

この槍は俺の魔力を代用して資格ある者の下に転移したのだ

それが俺が助かった理由であり、九死に一生を得た真相だと思われる

槍が消滅を回避する為に周囲の環境を利用する…

槍自身の意思があるような気がしてならない、そうなると最早呪いの類だが




「……それが、それが終われば」

「ええ」






「「本当に欲しいモノに手が届く」」






貴方はレナス

貴女は新天地

契約の名の下に強請した、共生という間柄では綺麗過ぎる関係。

…互いに腹の探り合い、決して相手に隙を見せぬように生き、次第に棲み分けに丁度いい距離感を覚え、

その果てに表面上は落ち着いた雌雄のケモノ。

水面下では各々の欲望の為に動く雌雄のケダモノ。



――ついに、

――やっと、


この異質な同居生活に、終止符が打たれる。











あとがき

レザードがグングニル投げたら世界を超えて戻ってくるんじゃね?

とか

なんでだよ!もっていけよ!

とか考えたあなた!

作者はそれはできないと思います

四宝とはそれぞれがVP世界のバランスを保っています

その中の一つがVP世界からなくなるような事がないというのが理由です

世界に縛られているというイメージですかね、

ええ独自設定です、ホントにすいません。

またまた漫画版の話ですが

上記の理由を考えていた作者は

ロキによってグングニルが叩き折られる描写には、

作者が間違っているのか?と悩んだものです。



[22577] プロローグラスト
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/22 17:36
プロローグラスト

「助かるわ。」

今、眼前には漆黒の空間、ワームホールが形成され、それを維持する為の結界術式が到る所に張り巡らされており、

そしてその維持する為の魔力放出をレザードが行い、その手にはグングニルが握られている。

「早々に立ち去ってください、別れ話に華を咲かしていては私の方が先に今生の別れになりそうですから。」

「あらあら、つれないのね、少しくらいお話してもいいじゃない。」ニヤニヤ

「貴女という人は…今に始まった事ではありませんがヴァルキュリアと同じ顔でなければ縊り殺していたでしょうね。」

「あらやさしいのね、全く赤の他人だと一番知っているのは貴方でしょうに。」

「それでも、ですよ。」

「ふふ、成就するといいわね、ここまでして駄目でした。じゃあ格好がつかないわ。」

「大きなお世話です。」

「素直じゃないんだから。」

レザードをからかうのも最後だと思うと少々物思いに耽ってしまいそうだ。 ニヤリ

それでは少し、少しだけ可愛そうなのでさっさと消えてあげよう、

それじゃあね、レザード。

「ありがとう。」

一応、気に食わない奴だったがお礼は大事だし、言わないとこちらが気持ち悪いので、

皮肉をこめて、惚れ惚れするような満面の笑みで笑って、行った。

迷いなく一歩。漆黒に身を投じ、この世界から旅立った。

ふふ、レザードの最後の顔、死ぬつもりは一切ないが、走馬灯で再び鮮明に思い出した際にはそのまま笑い死にしそうだよ。







――世界を超える







複雑怪奇な術式を幾重にも張り、多大な魔力を一秒毎に減らすにも関らず。

終わるのは一瞬だ、

映画やテレビの映像がパッと変わる、それぐらいの感覚。

瞬きすればそこは別世界。

陰鬱な空気の、どんよりした重苦しい空間だったレザードの居住区ではなく、

清々しいまでの蒼き森、流石にアスガルド程ではないが生命力に満ち溢れている。

成功か…魔力探知にも、慣れ親しんだあの変態の禍々しい魔力は感じない。

慣れた自分に悪寒が走るな…。

それにしても、

その他の魔力をそこ彼処から感じるのは、何か因縁めいた物でもあるのか?

無視してもいいが、魔力反応があるなら先ほどの異界転送も感づかれた可能性が高いな…

やれやれ、いきなり骨が折れそうだ。

まずは翻訳魔法を自身に掛ける、これでどんな言葉でも通じるはず。

次に、介入するなり行動に移す前に、まず装備に変化はないかを確認。

腰に挿した剣や杖は問題ない、私の武器は前世界では反則の二刀流だ

防具にはミスリルプレート、賢者の石にミスリルの生成法が書かれていたので作るのには困らなかった。

本物と同じ性能かは最早確かめる術はない。

装飾品は今は二つだが、後でこの世界で付けれる限度数を調べれなければな、これは試せばわかる事だ。

そしていきなり知らない世界で不特定多数に顔を覚えられると後々困るだろう、

ただでさえ目立つ銀髪や、端整な顔立ちなのだ、隠しておいて損はないだろう。

という理由で、ドラグーンフェイス装着! 

これはバドラックから頂戴した宝具の中、唯一の防具だ、
大方、他の装飾品と紛れたか、間違えたのだろう。

んで自分の顔がちゃんと隠れているか、確認は必要だよな…、

鏡といえば…さっきバドラックからもらった袋の中で見たような…、

先ほど開けた袋をもう一度開ける、中に確か……あった。

顔は……おでこから鼻まで隠れるマスク型なので普通に誰かなんて判断できない、

少しこれ自体の魔力が強すぎるかな?

ま、失伝魔法で隠蔽すればいい事だしこのままでも―「闇の吹雪!」パシーン

 !! 危ないな!一体誰だ!

無防備の所に魔法?なんて、昂魔の鏡じゃなかったら痛い目にあう所だったじゃないか!

“昂魔の鏡”は確率50%で敵の魔法を跳ね返す、大魔法は不可、の宝具なので、
聞いたことない呪文だが先ほどの術は魔法で間違いないらしい、

今回は少し運がよかったようだ。

でだ、

此方に魔法を放ったお馬鹿さんは何処のどいつだ?

振り返るとそこには、

見目麗しい金髪の美女、黒のドレスを着飾り、陶磁器のように白く細く出るとこでてる美しい身体
その姿は美の化身に相応しく、その手には自身の身の丈以上のナイフを持った人形が糸に吊るされている。
何かに心底驚いているのか?硬直している、なぜそんなに驚いているのかは謎だが。


…しかしなあ


金髪は嫌いじゃないが、良い事があった試しがないな。

そしてこの魔力反応…コイツ、不死者であり、しかもかなり高位の存在だろう。

いきなり厄介ごとか、はあ着いて早々ツイてないな。

他の魔力反応はどんどん遠ざかるし、私だけ逃げ遅れたんだね、わかります。

…勘弁してくれ。








あとがき

ええと、やっとネギま!にいけましたね、長かったですがこれからも皆さんを飽きさせない様がんばりますので
応援等よろしくお願いします




[22577] №1「不死者の女王」
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/23 17:58
№1「不死者の女王」

「何者だ貴様!何をしに私の前に来た!」

捲くし立てる美女、殺気を滾らせ、こちらを敵視している。

「いきなり警告もなしに攻撃してきたのはそちらでしょう、それなのに貴女の質問に答えるとでも?」

不死者の気配は嫌いだ、空気が悪くなる、

そうそうに立ち去るか、消えて頂こう。

「御託はいいの、選べ、不死者よ、

このまま此処から消えるか、それとも消されるか」

好きな方を選ばせてあげる。」

さあ、どう出る?

「クッ…ククク」

?? 俯いてプルプル震えているぞ、大丈夫か?

「アッーハハハハハハハハ!!」

「この私を知らんのか!?「闇の福音」、「人形使い」、「不死の魔法使い」、「悪しき音信」、「禍音の使徒」
様々な異名を持ち恐れられている、このエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの名を!」

「エヴァンジェリン…」

…知ってる、知っていますとも!
生前読んでいた週刊誌に連載していて「魔法先生ネギま!」に出てくる齢10才にして真祖の吸血鬼され
原作開始時には約600歳のロリババア。

やべ、また変な世界に来ちまったよ…

しかも来て早々原作キャラに喧嘩売るってどうなの、

最悪顔を見られていないから何とかなるかも…なってくださいお願いします。

「どうした?私の名を聞いて今更恐れをなしたか?」

「……」

「もう遅いわ!愚か者め!この私に啖呵を切った事、後悔するがいい!」

「…ええ非常に後悔しているわ、現在進行形でね」ボソ

……まあちょっとだけ相手して、そのうち有耶無耶にして逃げよう!
少しの魔法程度では死にはしないだろう、不老不死だし。

「出なさい、」

左手持ちの杖、ユニコーンの角より錬成し高位の魔力を有する杖、“聖杖ユニコーンズ・ホーン”

何時の間にとか、どこで手に入れたと聞かれたら、ブラムス城で、としか言えないが、

杖を翳すと、私の足元から魔方陣が放射状に広がる、大呪文ほどの規模ではないが、かなりの大きさの召喚魔方陣を発動、

その中から、瘴気を纏とう一体の不死者を召喚する。

「ドラゴンウォーリア。」

「グルル…グゥオオオオオオオオオオオオオ!!!」

絶え間ない咆哮は相手を威圧する為のものか、戦いに参列することの、抑えきれない高揚感を表現しているのか、正直どうでもいい。

「任せたわ。」

前衛として要求しておいてなんだが、共闘は無理だ、臭いがキツイ。

もう本当に、生理的に、無理。

なので戦闘はコイツ一体に任せる事にした。

所謂消耗品、限界まで使ったあとでキレイに浄化してやるよ、憑依でもされると私が嫌だからな。

「なっ!?ドラゴンの戦士だと?なんだそれは!」

「答えないと言ったはずよね?」

「…ならば、その口、引き裂いてでも吐いてもらう!」

「それってしゃべれるの?」

「…行くぞ、チャチャゼロ!」

「オウヨ、ヒサビサニ キリゴタエノアルテキダナ。」

…スルーしやがった。

「行って。」

「グウォオオオオオオオオオ!」

チャチャゼロとドラゴンウォーリアが切り結ぶ、
力ではドラゴンウォーリアが押しているが、
空を舞い、力任せの剣戟を巧みに受け流す技術は長い年月の上に培われた匠の技巧か…
まともに当たる気がしないな。



これは互角なのか?それじゃあ私が動かないといけないな…



「余所見とは随分余裕じゃないか!」

「むっ、」

「魔法の射手、氷の999矢!!」

「ほいっとな、」

空を飛び、矢をかわそうとするが、縦横無尽に次から次へと殺到して来てきりがない。

「…バーンストーム。」

暫く避け続け、隙を見て大きく後退、迫り来る氷の矢を火で打ち消す、但し単なる火というレベルの火力ではないが、

この魔法は火を収縮させ一気に爆発させる。

言うが易いが極限まで凝縮された炎は周囲の酸素を貪り喰い、辺り一帯を火の海に変えるほどの威力だ。

「まだやるのかしら?」

「……中々やるじゃないか、無詠唱でこの威力…恐れ入ったよ。」

「そうかしら。」

比較対象があの天才だけだったので、事ある毎に罵られた物だ、
やれ術の構成が甘いだの、魔力が多すぎるだの、貴女は無駄ばかりですねフッとか鼻で笑われたり!

ここぞとばかりに攻め立てて、仕舞いにはよくがんばりましたねとか褒めながら、
カスが凡人レベルにはなりましたよ。とか、

古人は褒めて、二度殺すってやつを自分自身が味わうとは思わなかったよ…

まあそんな事はどうでもいい。今は、

「それで、まだやる?」

「当たり前だ、ここまで虚仮にされて引き下がると思うなよ?」

「そう、」

チラッと従者同士の対決を把握する

互いに致命傷は避けているようだが耐久力が違う、少しずつチャチャゼロが押されている。
…押されているのだが、すんごい楽しそうだ、笑いながら刃を振るう人形はホラーを越えてシュールだな、
なんかコッチも貰い笑いしてしまう。

エヴァも気になるのだろう、様子を伺っている。

この世界が何時如何なる時かはわからんが、
幻術を使って大人に化けているのだから、ナギには会っているかもしれないが、学園結界にはまだ囚われていないようだ

そうなればチャチャゼロは唯一の家族だ、壊れたら直せると言っても傷つくのは見たくないはず、身内に甘いエヴァなら尚更か、

って魔力反の―

「氷爆!!」

「おお?」

咄嗟に回避するも氷の礫が頬を掠る、
エヴァはそのまま氷の粉塵の中から、相転移魔力剣“断罪の剣”を展開し高速でこちらに接敵、
私の眼前にまで迫るがこのエヴァの魔力反応は極めて希薄、という事は幻術か…本物は…

「後ろ」

「!?…フッ!」

ガキィンと右手に持つ“魔剣グラム”と断罪の剣が接触、剣同士が激しく振動するが、そこまで。剣が壊れるなどの変化はない。

「馬鹿な!受け止めただと!?」

「……」

そりゃ天下のオリハルコン製魔剣ですからね、刃こぼれもせんよ。

これを作るのにどれだけのアイテム達がMP変換の犠牲になったか、…殆ど折れた槍だが、

たとえ何でもかんでも切り裂く相転移剣でも、耐え切るさ。

「ちいっ」

「…」

後退し警戒しているのか、ジリジリと間合いを計りながら俺の周囲を旋回する。

「来ないの?来ないならもう―」

一周ほど回り終わった後、私の発言に被せるよう、

「チャチャゼロ!戻って来い!」

「イマイイトコナンダヨ、ジャマスンナゴシュジン」

「いいから来い!」

従者を呼び戻した、仕切りなおしをする心算か?そのままドラゴンウォーリアを突っ込ませてもいいけど…

「…戻りなさい。」

「グルゥゥ」

「「……」」

さて最初と同じ配置だが、状況はこちらが有利かね、

主同士の戦いは五分、両者消耗はなし。

問題は従者達か、比べるまでもなく、ダメージはあちらの方が甚大だ、
吹き飛ばされた所為か、服はボロボロ、四肢には無残にも切り傷があちこちに附随している。

こちらの従者“も”…

「キュアプラムス」

淡い金色の燐光が我が従者を包む、使い捨てのつもりだが、同時に粗末にするつもりもない。

そして全ての傷を癒す優しい光は収束し、完治したドラゴンウォーリアが姿を現す。

「グゥオオオオオオオオオオオ!!!」

「ジョウダンダロ?」

「まさか…完全治癒魔法だと!?」

「さてと、仏の顔も三度まで…もう一度聞くわね?」

「まだやる?」ニコ

失礼、こちら“は”消耗無しだ。





あとがき


折れた槍複製×17!

上級配列変換!折れた槍は閃槍クリムゾン・エッジに!!

閃槍クリムゾン・エッジのMP変換は6050!

6050×17=102850!!

MP100000使ってオリハルコンを生成

さらに上級配列変換!!魔剣グラム完成!!



そしてエヴァですが約100年前にも来日し、体術を修得したとの本人談あり。

とありますので、エヴァは度々、旅をしていた。と判断しての遭遇ですが、

これもオリジナル設定です。










[22577] №2「広範囲凍結殲滅呪文」
Name: 天子◆8cbc9fac ID:ddb9d17b
Date: 2010/10/24 18:16
№2「広範囲凍結殲滅呪文」

「私も鬼じゃないのよ?

幸い此方に被害がでた訳じゃないから、

貴女の数々の無礼も許してあげる、だからもう終わりにしましょうって話。」ニコ

喧嘩買っておいて言う台詞じゃないが、これ以上はお互い“本気”になってしまう。

「ね?」

顔を隠している為効果は半減以下だが、敵意のない笑顔を向ける。

「……」

…なんで黙るんだよ!即決だろ普通!見逃してやるって言ってるのに、プライドか?
真祖の吸血鬼たるプライドが二の足を踏ませているのか?

「…何度も言わすなよ?小娘が、

悪の魔法使いとして頂点に君臨してきた私に、舐めた口聞きおって…

このままただで帰れると思うな!!」

黒目と白目が反転している、どうやら本気にさせてしまったらしい。

なぜだ

「…それに言っただろう?後悔させてやるとな!」

そう言って素早く両手を振り上げ、有らん限りの力で引っ張る、何を引っ張っているって?
…この目で見るまで忘れていたが、エヴァの保有技能の一つ、人形使いのスキルとして対人戦闘に使えるまで昇華した業、…糸だ

周囲に張り巡らされた糸が私とドラゴンウォーリアの体の自由を奪っている。
どういう原理かは知らないが、私やあのドラゴンウォーリアが身動きできなくなるほどのスキル、

伊達に何百歳も生きてない、か。

「リク・ラク ラ・ラック ライラック!
 契約に従い我に従え 氷の女王! 来れ とこしえのやみ えいえんのひょうが!

ククククッ、私を消すだと?よくほざいたものだな小娘…ほぼ絶対零度、広範囲完全凍結殲滅呪文だ。」

空に浮かぶエヴァ、呪文を詠唱する毎に周囲の気温が急激に低下し、一気に氷点下を下回り、一瞬にして辺りが凍り付く。
広大な範囲が氷で埋め尽くされ、見える範囲内は全て白氷の地獄、宛ら北極の世界にでも足を踏み入れたみたいだ。

「もう逃げられんぞ?

全ての命ある者に等しき死を 其は安らき也!

 『おわるせかい』!!」

詠唱が完成すると、魔法でできた全ての氷は砕け散る。
氷粒が光を反射する。乱反射された光はさらに氷に反射され、光の幻想的な空間を作る。
ああこんな光景見たことない。超綺麗ですエヴァさん。

「…は?」

空から降り、こちらの様子を確認しに来たエヴァ達が空から降りてくる。

「すごい綺麗だったわ、いいモノ見させてもらったわね。」

「な、なんで無事なんだ!あれを食らってその程度なはずがあるか!」

「そう言われましても…」

実際、ダメージは入っているし、ドラゴンウォーリアの方は瀕死の重体、
プラス凍結のままというオマケ付きだ。

寧ろ痛いってレベルじゃない損害を叩き出した。

代わりに拘束していた糸も凍り、砕け、動けるようになったが…

さてエヴァも気になっているが、どうして氷付けにならないで済んだかと言うと、

これ“久遠の灯火”のおかげである、これは特殊なアーティファクトで、所持しているだけで凍結を防ぐ優れもの。
そして凍結さえしなければ“えいえんのひょうが”で凍りもしないし“おわるせかい”で粉砕されてもいないので魔法効果は期待できない。

これのお蔭でエヴァの魔法は本来の威力を発揮されなかったという事だ。

でも本当にバドラックのおっさんから感謝という名の強奪をしたアーティファクト達には大層世話になってる。
本当に感謝。私は無駄に傷つかないで済んだ。



…でもな、



「あのね、私も…被害がでて黙っていられる程、優しくないのよ?

だからね?対価は支払ってもらうわ…」

無論、

「貴女の身をもってね。」

自分で言っておいてなんだが、対価と言うのなら同じモノをプレゼントしようじゃないか。

死ぬなよ?

大魔方陣を展開、立ち昇る魔力流、濃密な魔力が場を満たす。先ほどの召喚魔方陣とは比較にならない魔力と規模、


「いくよ?  キィィィィィィィン

汝、美の祝福賜らば、

「!!くっ止めさせろチャチャゼロ!」

我、その手法、呪怨の鎖に繋ぎ止めん 

「ナッ、カタマッテウゴケネエ!」

「!!発動している!?詠唱途中では…!?ちいっ転移を!」

アブソリュート…ゼロ。」

エヴァと同じく広範囲凍結殲滅呪文、アブソリュートゼロを発動、
エヴァの魔法と違う所は、氷の群を上空に停滞、そこから巨大な雹が対象を襲う、人など一粒でも当たれば一溜まりもない。
さらに地面から徐々に雹を積立て、次第に氷の塔を建築する雹は全ての敵を包み込み、最後に魔力粉砕するという流れだ。

回避は不可能だろう、誰も雨を避けきれないのと同義だ。

と思ったのだけれど、

転移魔法…お家に逃げ帰ったか…

「ヤリ逃げとは頂けないわ。」

この対価いつか払ってもらうよ?

真祖の吸血鬼さん?

貴女との付き合い、この先長いようだしね。











あとがき

今回普通に大魔法が発動していますが、本来ゲームでは味方全体で共有されている緑色のゲージ、(タクティカルアーツ・エナジー)
をコンボで100にまで貯めない限り、大魔法は使えません。

ですので、イメージとしては敵魔法使いを思いだして頂けるとわかりやすいでしょうか。

そしてエヴァは女子供を殺さないと言いますし、実際にそうなのでしょうが
今回はちょっと事情が違います、初手攻撃の意味含め、この話は次の番外編にて!










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