どんぐり運びとは
豊かな森を再生させるまでの間、山の実りの凶作年に
都会のどんぐりを拾い、山間地の地元の方々と協力して
食糧が無くて人里に出てこざるをえないクマをはじめとする山の動物たちに届け、人間のところに出てこないようにすることです。
私たち日本人の祖先は、保水力豊かな森をつくってくれている野生動物に、
生きとし生ける全てのものに畏怖と畏敬の念をもち、
手を合わせて祈りました。
野生動物への分かち合いの心をもっていました。
どんぐりを拾う
都会の公園、学校、庭等にあるどんぐりをおくってください。
注意! 動物のいる山でのどんぐりの採取はしないでください。
どんぐりの保管
どんぐりは、ビニール袋等の通気性のない袋で長時間保管しますと腐ります。
麻袋(ドングロス)、ダンボール箱(内部に新聞をひく)などの通気性のある箱で保管して下さい。
ゾウムシがついていても気にせず、そのまま送ってください。
どんぐりを運ぶ
今年のどんぐり運びは、山だけではなく、、現地の方々に教わりながら、クマが集落にでてくる道の奥にも置いています。集落の裏山に置く場合は、簡単ですから、はじめての方でもご参加いただけます。
これまで熊森の運んだどんぐりを何頭ものクマたちが食べて殺されずにすんでいます。どんぐりを50kgずつ小山にしておくと、約一週間もちます。
ドングリ運びQ&A
<Q1>運ばれたドングリをクマが見つけて食べることができるのですか?
<A1> 追跡調査の結果、各地でクマがドングリを見つけ、食べていることが痕跡やフンからわかりました。
<Q2>少々のドングリを運んでも、クマの空腹には焼け石に水ではないでしょうか?
<A2> 焼け石に水なのは、わかっています。
しかし、空腹で苦しみ、里に降りて来ざるをえなかった野生動物たちが殺され続けている現状に胸を痛めている人たちが行動を起こすことで、
大きな力になっていくのです。熊森は、兵庫県で、県や地元に働きかけ、日本で一番進んだクマの保護体制をつくってきましたが、
それは、ドングリ運びから始まりました。1頭のクマを1日でも里に降りて来なくていいようにしたいという気持ちから、
大きな流れが生まれていきます。
大切なのは、人々に野生動物との共存の心を取り戻させることです。
<Q3>野生動物は秋の実りの多寡によって個体数を調節しており、人為が介入するべきではないのではないか。
<A3> 豊かな森が保全されていれば、山の実りが凶作でも、異常気象の年がきても、野生動物は絶滅しません。
よって、人間が手を加えるべきではありません。
しかし、人間によるスギ・ヒノキの人工林化、開発、ナラ枯れによるミズナラの大量枯死などで、
奥山に野生動物の棲める環境がなくなっています。
そのような中で、凶作や異常気象が重なり、出てきた動物を殺し続けていれば、絶滅の危機にある野生動物は絶滅に向かいます。
<Q4>それぞれの地域にその地域のドングリを食べる動物がいる。ドングリを拾ってよその地域に移すと、その地域の動物の食糧を奪うことになる。
<A4> 私たちは学校や公園などのドングリを集めるようにお願いしています。
<Q5>ドングリにも本来の生育地があり、他地域のドングリを運ぶと遺伝子の攪乱になるのではないか。
ドングリにドングリを食べる虫が付いており、それらの虫を管理なしにむやみに他の地域に持ち込むのは問題ではないか?
<A5> 私たちは原生林ではなく、すでに人為的な遺伝子撹乱が終わっている場所にドングリを置いています。
これまで、外来種の国内持ち込み、国内種の移動、品種改良種を自然界に持ち込むことについては、
強く反対してきました。その立場は変わりません。
しかし、実際のところ、今の日本では、雪国の奥山原生林を伐採した後に、九州や四国のスギの苗が植えられています。
里山のコナラやクヌギなどの落葉広葉樹林は、元々 生えていたシラカシやアラカシなどの常緑樹を切り、各地の苗木を取り寄せ植えたものです。
日本の多くの森林はすでに遺伝子攪乱され終わっています。
また、何年にもわたって調査・検証した結果、運び込んだドングリから芽が出て育ったものは発見されていません。
平地の気候風土で育ったドングリが、 雪深いクマの生息地で発芽する可能性は大変低いものです。
またドングリの山は、置かれればすぐに、虫と一緒に動物の胃袋に入ってしまいます。
ドングリにつく虫については共通しており、熊森の顧問が調べ、今、わかっている範囲では問題はありません。
奥山生態系の頂点に立つクマを人間が射殺し続けるなら、
クマは絶滅し、生態系に取り返しのつかない破壊を確実にもたらします。
私たちは、他に対策が無い中で、
専門家とも相談しながら、駆除を止めるきっかけをつくるために、ドングリ運びに踏み切りました。
ドングリ運びには99%、問題はないと考えています。しかし自然界には人間には計り知れないことが多いため、100%とは言い切れません。
ドングリ運びは、最良の方法ではなく、あくまで緊急避難的措置です。もっと良い方法があれば、採用しますので、お教え下さい。
ドングリ運びをしなくすむように、自然の森を再生させることが日本熊森協会の活動の最終目標です。
<Q6>クマが、人のにおいの付いた大量のドングリを食べて、人のにおいとドングリという食べ物を関連づけて
「人の気配=餌にありつける」と学習した場合には、かえって危険な状況になるのでは?
<A6> 人間による生息環境の悪化で、野生動物は奥山では生きられなくなっており、
凶作年はほとんど、人里のエサを食べています。
「人の気配=餌に ありつける」と学習するのであれば、すでに学習しているはずですが、
兵庫県で調べている限りでは、山にあるエサのある豊作年は、ツキノワグマは見事に人里に出てきません。
山の実りの凶作年に、ドングリを運び、クマが人里に出てきて殺されないようにすることは、餌付けとは全く別のものです。
過去数年間ドングリ運びを実施・検証して来た限り、Q6にあるような問題は起きていません。
しかし、自然を人間が完全に把握することなど永久に不可能な上、短期間ではわからないことが多くあります。
専門家にも相談しながら、考えられるリスクを避けるためのさまざまな努力を行い、慎重に、ドングリを運んでいます
今後、多くの方の衆知を集めて、いっそう良い活動にしていきたいと思っています。
会員の皆様へ呼びかけ
SOS !至急、可能な会員のみなさま、ドングリを拾って送ってください。
今年多くの地域でわずかに残された山の実りが、ありえない大凶作です。
クマたちが餌を求めて各地の人里に出てきて、連日、片っ端から殺されています。
これではクマが絶滅してしまいます。2004年2006年の大量捕殺の再来です。
行政に任せておけば殺すだけなので、わたしたちがドングリを運んで、クマが山から出てこないようにして、命を救っていきたいと思います。
これまでは内輪でドングリが集めていましたが、各地の地元の人や行政などからドングリを送ってほしいの声が相次いでおり、広く会員の皆様にお願いすることになりました。
どこに送るかの送り先は、刻々と日々変わっていきますので、お送りいただく前に、熊森本部までお電話を下さい。
一頭でも多くのクマの命を救うためにどうかよろしくお願いします!!