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【社会】

死刑適否迫られる裁判員 5地裁審理へ

2010年10月17日 朝刊

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 検察が死刑を求刑する可能性がある重大事件の審理が、十一月にかけて五地裁で始まる。裁判員制度の施行から約一年半。これまで最も重い求刑は無期懲役だったが、市民が究極の判断を迫られるケースも予想され、裁判所は慎重な対応を検討している。

 東京地裁では十九日から、耳かき店の女性従業員=当時(21)=とその祖母=同(78)=を殺害したとされる林貢二被告(42)の公判が始まる。

 殺人事件で死者が複数だと、求刑はほとんどが死刑か無期懲役に絞られる。精神的負担などで裁判員が体調を崩し、解任されるケースなどに備え、地裁は通常二、三人の補充裁判員を多めに選ぶ見通し。裁判員候補者は過去最大規模の百人程度が想定される。

 選任の際、裁判所は、不公平な判断をする恐れのある候補者を外すことができる。問題となるのが死刑廃止論者の扱い。最高裁は三年前、候補者への質問例として「絶対に死刑を選択しないと決めているか」など、死刑を下せるか判断する材料を各地裁に示した。

 最高裁幹部は「死刑制度の是非ではなく、法に従って判断できる人か見極める必要があるのでは」と話す。

 しかし、現場からは異論も。ベテラン裁判官は「内心の問題に踏み込むと、際限がなくなる。宗教上の理由で死刑を下せない人には辞退を認めるべきだが、単なる死刑廃止論者を排除する必要はない」と話す。

 東京に続く各地裁では、より複雑な判断が迫られそうだ。事件を分けて別の裁判員が審理する「区分審理」が適用された池田容之被告(32)。覚せい剤密輸事件などで有罪判決を受けており、十一月の公判ではそれをふまえて全体の量刑を決めなければならない。

 強盗殺人罪などに問われた白浜政広被告(71)は、犯行を全面否認。物証が乏しい中、約四十日間の公判で犯人かどうか見極める必要がある。また犯行時十八歳の少年(19)の審理も予定されている。

 

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