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<オオセグロカモメ>海より街がいい…札幌でビルに巣

毎日新聞

 海から15キロ以上も離れた札幌市中心部のビル街で、大型のカモメ「オオセグロカモメ」の繁殖が進んでいる。地元の環境団体「エコ・ネットワーク」の長谷川理(おさむ)研究員(行動生態学)と北海道大の研究チームの調査で、北海道小樽市の海辺の巣よりも内陸にある札幌市のビルの巣の方が巣立つヒナが多いことが分かった。カモメにとって都会は意外と暮らしやすいようだ。

 ◇残飯豊富、栄養状態良く…環境団体など調査

 オオセグロカモメは国内では主に北海道や本州北部で繁殖し、冬には本州中部以北の沿岸でよくみられる。本来は海辺のがけなどに巣を作る。札幌市の市街地では01年に初めて巣が確認されて以来、年々、ビルや立体駐車場の屋上などに巣が増え、最近は観光名所の大通り公園や繁華街のススキノ周辺でも巣や親鳥が見られるという。

 研究チームは昨年、札幌市街地の巣47カ所と小樽市の海辺の巣48カ所で、ふ化や巣立ちの様子を観察した。その結果、ふ化したヒナの数は有意な差はなかったにもかかわらず、巣立ったヒナは巣1カ所当たり小樽が平均0.9羽だったのに対し、札幌では同1.6羽と多かった。

 研究チームによると、札幌市のオオセグロカモメは市内を流れる豊平川で魚や昆虫を捕食するほか、捨てられた残飯なども食べているという。長谷川さんは「市街地の方が栄養状態がよく、成長するまでに死ぬヒナが少ないのではないか」と推測。「今は大きな問題にはなっていないが、数が増えればフンや鳴き声などによる被害が出る可能性もある」と指摘する。【西川拓】


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