強制連行和解から1年、記念碑建立
戦時中、広島の建設現場に強制連行された中国人と、元雇用主の建設会社が、23日で和解から1年経つのに合わせ、記念碑を建てました。
広島県安芸太田町にある安野発電所。そのほとりに強制連行の歴史をしのぶ記念碑が出来ました。23日の除幕式には被害者である中国人の元労働者とその遺族、そして元雇用主の西松建設が参列しました。
「とても感激している。歴史的責任を認め、実際の行動で謝罪した西松建設に対し敬意を表する」(中国人元労働者の代表・邵義誠さん)
「西松建設株式会社は改めて歴史的責任を認識し、深甚なる謝罪の意を表明する」(西松建設の代理人・高野康彦弁護士)
被害者の中国人と加害者の日本企業。その両方の名義で建てられたのがこの記念碑の特徴です。日中双方の関係者は強制連行の問題がこうした円満な形で解決するのは画期的なことだと話しています。
発電所には第2次大戦末期、日本の労働力不足を補うため中国から360人が強制連行されました。およそ8キロの導水トンネルを掘る過酷な作業。事故や栄養失調などで29人が死亡したとされています。
提訴から9年続いた裁判は、日中共同声明で個人の戦争賠償請求権は放棄されたとして、最高裁で中国人側が敗訴。しかし、判決で被害救済への努力を促されたことから、西松建設はちょうど1年前の10月23日、2億5000万円の基金で補償に応じました。
「日中両国の平和と友好は容易に得難い。われわれはもっとこれを大切にし、日中両国が永遠に二度と戦わず、友好であるよう努力すべきだ」(中国 駐大阪総領事館・申森 領事)
尖閣問題をめぐる日中対立で民間交流の中止や延期が相次ぐ中、実現した和解の記念碑。ただ、戦後すでに65年が経ち、被害者の半分以上は消息すらつかめず、補償金の支給には至っていません。被害救済への努力は今後も続きます。(23日17:41)
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