「『あの人は今』？ついにきたかぁ、ハハハ。だけど、オレはまだまだ現役だよ」

●はたけんじさん

“モノマネ四天王”はコロッケ、清水アキラ、栗田貫一、ビジーフォー（グッチ裕三・モト冬樹）。そして、それ以前の“モノマネご三家”は故佐々木つとむ、堺すすむ、それに本日登場のはたけんじさんだ。かつてはブラウン管の常連だったはたさん、見る機会がめっきり減った。今どうしているのか。

●「モテたモテた。最高、五股かけてたもんね。」

「いや〜、お待たせお待たせ。きょうは何の取材だっけ？　エッ、『あの人は今』？　ついにきたかぁ、ハハハ。だけど、オレはまだまだ現役だよ。浅草の東洋館、木馬亭、どっちかの舞台には毎月出てるし、社交術とか発想法とかをテーマにした講演会やイベントが月に１、２本ある。その合間に営業が入って、１０月は１日から１０日まで半蔵門の国立演芸場に出るよ」

　浅草は六区にある演芸場「東洋館」での出番を終えたはたさん、こう言って苦笑した。会ったのは近所の喫茶店。この日はうだるような暑さだったのに、熱い紅茶をうまそうに飲んでいる。

「冷たいモンより熱いモン。芸人が長く舞台に立つには毎日の節制が大事なの。ホント、こう見えても、いろいろ考えてんの、ハハハ」

　ステージでは持ちネタ「それがどうした」シリーズと田中角栄、大平正芳らの歴代総理大臣、千昌夫、森進一、吉幾三のモノマネ、それと老人介護ネタの漫談を約２０分披露。館内は爆笑に次ぐ爆笑だった。

「きょうは６０代前後のお客さんが多かったでしょ。で、このラインアップにしたわけ。毎朝、ワイドショー見てネタを仕入れてさ、その日の客層に合わせた時事ネタを盛り込みながら、日替わりで構成を考える。跳んだりハネたりって舞台はお客さんが引いちゃうからさ。引き出しの多さとアドリブで勝負だね」

　さて、東京・江戸川生まれのはたさんは物心ついた頃からモノマネ一筋。１０代だった６０年代後半、テレビの素人参加番組を総ナメにした。

「日テレなら『そっくりショー』、ＴＢＳは『歌まね読本』、フジテレビだと『しろうと寄席』に『しろうと芸能大賞』……。毎日のように出てた。６８年にデビューするきっかけになったのが『しろうと芸能大賞』で、ラーメン１杯１００円の時代に優勝賞金が１０万円。お世話になった人に大盤振る舞いしたのを覚えてる」

　７３年、「三波春夫でございます」のモノマネギャグでブレーク。テレビや営業に引っ張りだこになった。

「モテたモテた。最高、五股かけてたもんね。それである時、ポ〜ンと丸１日空いて、付き合ってた女全員に電話したのよ。そしたらみんなオーケーてんで、夕方から順番に女のアパートとかホテルをハシゴして、次の朝までに５人きっちりおツトメを果たした。いやぁ、若いって素晴らしい、ハハハ」

　結婚後はもっぱらゴルフにいそしんでいる。

「年間２００ラウンドしたこともある。今はその半分かな。ハンディ７のシングルだよ」

　ゴルフ仲間には錦野旦、黒田アーサー、巨人の原監督、元西武の西崎投手など幅広く、毎年１０月、プライベートコンペを開いている。

　都内に夫人、２３歳と２０歳の娘と４人暮らしだ。

（日刊ゲンダイ2010年9月30日掲載）