【萬物相】出産が難しい女性研修医

 「わたしは、わたしのあらゆる患者についてよく知っている。病室で暗い告白を聞き、その最後の欲望と死が近づいてくる音を聞く。ある日、わたしたちの腹腔(ふくこう)にも、見知らぬ野花が咲き、変形した生涯が再び青々と育つと、その時初めて現世に吹き荒れる風を鎮め、わたしたちは目にすることになる」。医師で詩人でもある馬鍾基(マ・ジョンギ)氏は連作詩「症例」を通じ、専攻医(研修医)時代を回想した。馬氏は1966年から米国オハイオ州立病院で5年間、研修を受けた。三日に一度徹夜し、一日に12時間以上働いたが、生命愛についても学んだ。「血まみれの死も、わたしたちの温かい心を殺すことはできない」という。

 研修医は法的に、病院の労働者であると同時に被教育者の身分だ。大韓医学会は、「研修医の50%以上が現在、1週間当たり平均100時間以上勤務しており、患者の安全が危険にさらされている」と懸念する。人権侵害事件もしばしば起こる。2008年、ある地方の大学病院で、教授がミスをした研修医に2時間もの間、後ろ手を組み地面に頭を付け腰を上げた姿勢を維持させる罰を与え、ほおを殴り問題になったこともある。

 女性研修医だけが経験する人権侵害もある。先日、国立中央医療院が主催したシンポジウムで、インターンや研修医全体のうち、女性は35.5%(5802人)にも上るが、妊娠や出産が難しいことが分かった。大学病院が女性研修医を採用する際、「4年の研修期間中、出産をしない」という誓約書まで書かせるケースもある。妊娠した研修医は、放射線にさらされることを恐れ退職することもあるという。

 昨年、国家人権委員会が病院側に勧告したおかげで、女性研修医は90日間の出産休暇を保障されるようになった。しかし、病院や同僚に遠慮して妊娠を避ける傾向がある。女性研修医の間で、「自分の妊娠はめでたいが、他人の妊娠は災難だ」という言葉まで出ているほどだ。実際に90日間の休暇をすべて使うというケースはほとんどない。さらに「被教育者」のため、出産休暇を2回使う場合には、後でその分、さらに研修を受けなければ、医師になるための試験を受けられない。

 女性インターンや研修医292人を抱えるある大学病院では過去3年間で、1年の出産休暇取得者が年間それぞれ6人、7人、10人にすぎなかった。女性研修医たちは、同僚に対して罪を犯すような心境で妊娠や出産をしなくてもいいよう、代わりの人材を確保してほしいと話す。命を扱う病院でさえも出産を避ける状況で、研修医たちはどうやって生命愛の仁術を身に付けるのだろうか。

朴海鉉(パク・ヘヒョン)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る