中国電力が山口県上関町で建設を計画している上関原発に反対する市民らでつくる「広島・上関リンク」(呼びかけ発起人、湯浅正恵・広島市立大教授)は、名古屋市で開催中の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に対し、同原発の建設計画を重要協議事項として取り上げるよう求める声明をまとめた。国内外200以上の環境NGO(非政府組織)などとの共同声明として、19日にCOP10会場で発表する。
原発建設予定地の田ノ浦は、国天然記念物のカンムリウミスズメなど絶滅危惧(きぐ)種や希少生物が数多く生息する。日本生態学会、日本鳥学会など3学会が、生態系や環境保全のため、工事の一時中断や慎重な環境アセスメントを求めてきた経緯がある。
声明は、建設計画について「予定地は瀬戸内海の生態系にとって重要な場所。生命にとってかけがえのない環境を取り返しのつかないほど破壊する可能性がある」と警告。同会議に参加している海外の政府やNGO関係者が、日本政府に必要な対策を取るよう強く働きかけることを求めている。【寺岡俊】
毎日新聞 2010年10月19日 地方版