菅政権の「外交音痴」が招いた“瓢箪から駒” 尖閣問題で追い込まれたのは中国だ
(週刊朝日 2010年10月29日号配信掲載) 2010年10月20日(水)配信
中国をめぐる最近の動き [拡大]
ところが、菅内閣から聞こえてきたのは、
「尖閣諸島には領土問題は存在しない」(仙谷由人官房長官)
「法に基づき粛々と対応していく」(岡田克也外相=当時)
という原則論ばかり。中国政府は、外務次官から外相へと格を上げながら抗議を繰り返したが、返ってくる反応は変わらない。
9月12日にはついに、副首相級の戴秉国・国務委員が、未明に丹羽宇一郎・駐中国大使を呼び出し、「賢明な政治判断」を促しました。これは、中国にすれば「SOS」を伝えたつもりだったのです。
ところが、菅内閣はこのメッセージも読み取ろうとしませんでした。
「こういう時間帯に呼び出したのは遺憾だ」
翌日の会見で仙谷氏がそう述べたときには、びっくりしたことでしょう。
この時点で、中国には日本向けの穏当なカードがなくなりました。
菅内閣は素晴らしい外交力ではなく、思考停止に陥ることで中国に音を上げさせたのです。
中国が解決を急いだ背景には、国内事情の変化があります。
今回の事件で、中国の人たちがインターネットに書き込んだ内容は、小泉元首相の靖国神社参拝をきっかけに盛り上がった反日運動とは大きく違っています。
当時は、ほぼすべてが「日本を許さない」という内容でした。中国政府にすれば、怒りが日本だけに向く分には怖くありません。
しかし、今回はざっと3分の1は冷めていました。
「あんな小さな島が返ってきても、おれの土地は少しも大きくならないよ」
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