|
|
きょうのコラム「時鐘」 2010年10月24日
能登屋とか越前屋などの大店(おおだな)の名が時代劇にはよく登場する。東北の日本海側の都市にも多い
先日、102歳で亡くなった女優の長岡輝子さんがテレビ小説「おしん」で演じたのは山形県酒田の「加賀屋」の大奥様だった。上品でキリっとしていた。これが「おしん」をいじめる役だったら「加賀」も困ったことになったろう 驚異的な視聴率を誇った番組だけに、毎回登場する「加賀屋」の名前が全国に及ぼした好感度を経済効果で表すと膨大な額になったはずだ。北前船で結ばれた北陸と東北の縁の深さに感謝しなければなるまい 他郷で出会うふるさとの地名はうれしいものだ。東京や京都に多い「加賀町」がそのひとつ。多くは加賀藩にゆかりを持つが、横浜の「金沢八景」や中華街にある「加賀町警察署」は石川県とは何の縁もないという。そんな無縁の縁もまた面白い 金沢市「高岡町」のことを高岡市民はどれほど知っているのだろう。小松市「今江」と入善町「今江」の分村の歴史を子どもたちはどう学んでいるのか。ふるさと学の中で、地名に秘められた交流の物語を勉強してみたい。 |