中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > プロ野球 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【プロ野球】

巨人やっと1勝 脇谷が呪縛解いた

2010年10月23日 紙面から

◇クライマックスシリーズ セ・ファイナルS<第3戦>

◆巨人3−2中日

 鬼門に小さな光が差した。絶壁に追い込まれていた巨人が執念で1勝をもぎ取り、レギュラーシーズンから続くナゴヤドームでの連敗を「11」で止めた。「まだ1つしか勝っていないんだから」。原監督の表情に逆襲の手応えがにじんだ。

 一度は見放しかけた男が呪縛(じゅばく)を解いてくれた。脇谷だ。CS2位進出がかかった今季最終戦。サヨナラ機に長野、脇谷が寂しい内容で倒れた。怒り心頭の指揮官は「本当に悔しかった。(試合後の)セレモニーで『今年を象徴するゲーム』と言いたいぐらいだった」。

 父・貢氏がその感情を静めてくれた。翌日、食事をしていると、「長野はいい選手だな。脇谷もいい選手だ。しっかり育てなきゃいかんぞ」と心中を見透かされたように諭してくれた。目が覚めた。「もっと大きくモノを考えなければいけないな」。10日からの練習で坂本を含めた3人の個別指導に着手した。

 親心ならぬ祖父心に、脇谷が応えてくれた。ナゴヤドームでの無得点はカード最終戦(9月5日)の3回から続いていた。その数が29まで伸びた直後の5回。三塁線を突破する二塁打で二塁走者の矢野が生還。これがファイナルステージ23イニング目にしてチーム初得点。ナゴヤドームのスコアボードに30イニングぶりの「1」を点灯させた。

 殊勲の男は言う。「0点? そんなん気にしてない。だって、関係ないじゃないですか。誰かが突破口を開かないといけないわけだし」。ファイナルステージは11打数6安打。昨季CSのMVPは“代役”という表現が失礼なほどの結果で坂本の穴を埋めている。

 「脇谷は元気だね」。そう話す原監督の顔から白い歯がのぞく。怒りの対象にもなる。そうかと思えば、格別の喜びもくれる。大きな意味を持つ1点は、奇跡へのスタート。ナゴヤに風穴を開けた意外性の男は「あと3つで(日本シリーズに)行けるんで、3連勝します」と力強い言葉を吐いた。 (井上学)

 

この記事を印刷する


中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ