美人ニューハーフ社長、１億７０００万円を脱税

記者会見する化粧品会社「トリプルサン」の岡江美希社長

　ニューハーフ社長が脱税―。法人税約１億７０００万円を脱税したとして、東京国税局が法人税法違反容疑で、東京・港区の化粧品会社「トリプルサン」と岡江美希社長（３８）＝本名・多田美希＝を、東京地検に告発していたことが２２日、分かった。男性として生まれた同社長は、性別適合手術を経て、日本初の「ニューハーフ美容研究家」となり、著書も多く、テレビ出演などで活躍していた。

　「私はニューハーフ。何があっても、この道で生きていくしかない」。法人税法違反容疑で告発された岡江社長はこの日午後、港区の「トリプルサン」社で会見を開いた。灰色のジャケットに黒のスカートという服装で終始、硬い表情。脱税を認めながら、今後も自称・美の伝道師としての“ニューハーフの生きざま”を貫くことを強調した。

　関係者によると、岡江社長が経営する同社は、化粧品などを販売して得た利益を圧縮するため、取引先の広告会社などに協力を依頼。架空の経費を支払った上で、一部を同社に循環させる手口で、２００９年３月期までの３年間に６億円を隠し、法人税約１億７０００万円を免れた疑いが持たれている。

　隠した所得は現金で保管されていたほか、遊興費などに充てられていたとされる。岡江社長は会見で「脱税したのは事実。多くの（化粧品）愛用者の女性におわび申し上げます」と謝罪した。

　著書などによると、岡江社長は１９７１年に男性として生まれたが、女性に生まれ変わることを決意し、２２歳の時に性別適合手術を受けた。９６年に同社を設立。研究を重ね、オリジナルの化粧品を開発した。

　自身と社のホームページ（ＨＰ）で「（ニューハーフには）コスメや美肌・美貌（びぼう）に執着する美しい人が多い」とアピール。テレビ出演で社と自身の知名度を上げ、講演や「美人肌のヒミツ」などの美容研究本を出版するなど、日本初の「ニューハーフ美容研究家」として、精力的に活動。０５年の同社の売上高は約５０００万円だったが、０９年には約１２億円にまで急成長。脱税の動機や追徴税額については、会見では「捜査中なので控えたい」と述べるにとどめた。

　同社長は所属していた芸能事務所を辞め、会社経営を続けるかどうかは、今後検討するという。ＨＰには、謝罪とともに２６日まで化粧品販売を自粛することが告知された。会見の最後に岡江社長は「美に対する私の気持ちを受け止め、見守ってほしい」と、女性愛用者に理解を求めていた。

（2010年10月23日06時02分スポーツ報知）