３６歳無職男、出所即正門前で逮捕…刑務所内から手紙で「殺す」

　刑務所の中から、自分の担当だった女性保護観察官あてに「殺す」などと書いた手紙を送ったとして、大阪府警捜査１課は２２日、脅迫容疑で、滋賀刑務所（大津市）に服役していた無職・大塚邦夫容疑者（３６）を逮捕した。この日、同容疑者は出所したばかりの刑務所の正門前で“お縄”に。「身元引受人が見つからなかった。病院に入れてほしくて書いた」などと供述しているという。

　問題の脅迫文は今年７月中旬、大塚容疑者が女性保護観察官にあてて、大阪・中央区の大阪保護観察所に送った便せん５枚の手紙。その中で、女性観察官とその上司の男性観察官、男性看守の計３人に対し、「殺すのは誰でもよい。本人を殺したら一瞬で苦しみが終わるから、家族や恋人、親友から標的にする」「（出所する）１０月２２日がゲームの始まり。誰を殺すかは分からない」などと脅迫した疑い。

　府警によると、大塚容疑者は動機について、「身元引受人が見つからなかった。母親にも断られ、友人にも迷惑がかかるし、病院に入れてほしくて書いた」などと供述。出所後の自身の身の振り方に悩んでいたとも受け取れる。ただ、手紙では観察官らを名指しして脅していたが、一方では「出所後は裁判官を殺すつもりだった」とも話しているという。

　捜査関係者によると、大塚容疑者は２００７年に児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された。０８年に大阪地裁で懲役１年６月執行猶予５年の判決を受けたが、保護観察所の呼び出しを無視したことなどから、０９年５月に収監され、この日出所したところを逮捕された。

　刑事収容施設・被収容者処遇法では、受刑者は親族以外にも手紙を出すことが可能となっている。刑務所側は必要に応じて、受刑者が書いた手紙を検査し、違法な内容などがあれば発送を差し止めたり、受刑者に書き直させる。

　今回の手紙は問題的表現が多々あったにもかかわらず、滋賀刑務所は「各要素を審査した結果、手紙を発送した」と説明。発送した理由については「捜査中なのでコメントは控えたい」としている。

（2010年10月23日06時02分  スポーツ報知）

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