2010年10月23日5時2分
住友商事が米国のレアアース(希土類)鉱山に進出を検討していることが22日分かった。レアアース世界生産量の9割を占める中国は輸出規制を強めており、住友商事は中国以外の調達先の確保を狙う。日米による「脱中国」の動きが本格化してきた。
進出検討の対象は、米カリフォルニア州にあるモリコープ社のマウンテン・パス鉱山。休眠状態だが2011年前半に採掘を再開し、分離や精製、精錬の設備を新設して12年末までに年2万トンの生産体制にする計画だ。
設備新設には数百億円規模の資金が必要とされるうえ、多くの関連特許を日本企業は持つ。住友商事は出資や融資を検討、技術面でも協力できないか協議している模様だ。
大手商社の双日によると、11年のレアアースの世界需要(中国内需を除く)は5万6800トンで、1万6800トンの供給不足。日本は1万トン余りの供給不足が予想され、住友商事は同鉱山から日本向け輸出を確保する。
マウンテン・パス鉱山は一時は世界最大の生産量を誇ったが、90年代に入り、中国のレアアースの安値攻勢に敗れて休眠していた。だが中国はレアアースの資源価値を重視し、輸出許可枠を06年から減らし始めた。そんななか米国資本がマウンテン・パス鉱山に注目した。
同鉱山のレアアースはほかの鉱山よりも良質とされ、ほかの日本の商社や企業も関心を示している。(神谷毅)