2010年10月23日23時30分
【徳陽(中国四川省)=林望】湖南省長沙や湖北省武漢など中国の複数の都市で反日デモの予告があった23日、中国当局は各地で厳戒態勢を取り、デモ封じ込めを図った。多くの大学は臨時授業を行って学生の外出を禁止するなどの措置を取った。四川省徳陽で千人規模のデモがあったが、治安部隊の出動で大きな混乱は起きなかった。ほかの都市ではデモ発生は確認されていない。
徳陽は、16日と17日にそれぞれ反日デモが暴徒化した成都と綿陽の中間にある地方都市。午後2時(日本時間同3時)過ぎから100人余りの若者が中心になり、中国国旗や日本製品の不買を訴えるプラカードなどを手に市内をデモ行進した。デモ隊は一時千人規模に膨れあがり、一部が日本車をけってへこませたほか、電化製品販売店に押し入ろうとして警官隊とにらみあう場面もあった。
だが、地元政府はデモの参加者を上回る数千人規模の警官や武装警察隊を動員。午後3時半ごろにはデモの先頭に立つ若者を拘束したほか、デモ隊とやじ馬を数百人の警官が分断するなどし、拡大を防いだ。
ネット上でデモの集合場所に指定された広場では、午前中から数百人の警官が取り囲み、市民の立ち入りが厳しく規制された。デモを「厳禁」とする23日付の通知が張り出され、同様の通知は目抜き通りにある大型スクリーンにも繰り返し映しだされた。早朝には武装警察隊数百人が街中を行進する示威行動も行った。このため、デモに合流しようとする市民の数も少なかった。