【徳陽(中国四川省)鈴木玲子、北京・成沢健一】中国四川省徳陽市で23日、沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件に反発する1000人規模の反日デモが起きた。デモ参加者の一部が過激な行動に出る場面もあったが、開始から約2時間後に解散した。事前に予告が出ていた湖南省長沙市など他都市でデモはなく、当局が封じ込めたとみられる。
徳陽では、集合場所に指定された中心部の広場を警官隊が封鎖したが、予定時刻の午後2時(日本時間同3時)すぎ、広場前に100人前後のデモ隊が登場。「小日本(日本に対する蔑称<べっしょう>)を地球から追い出せ」などという横断幕を掲げ、警戒線を破って広場に進入した。その後、繁華街に向かったデモ隊に沿道の市民が加わり1000人近くにふくれあがった。デモ行進は約1時間で終了したが、大通りでトヨタ車を見つけた参加者らが車に殺到。車にレンガを投げつけ、警官隊と一時もみ合いになった。
徳陽市内の学校には23、24の両日を急きょ登校日にするよう通知が出ていた。香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」によると、長沙でも全学校で週末に授業を行うとの緊急通知が22日に出されたという。
四川省では16日に省都の成都、17日には省内第2の都市、綿陽で大規模デモが起き、いずれも一部が暴徒化した。同省は08年の四川大地震で多数の死者を出したほか、被災による失業などで庶民の不満が募っている。
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徳陽では同日のデモ発生前に、産経新聞やNHKなど数人の外国人記者が一時拘束された。産経新聞社などによると、約2時間後に市外へ強制退去させられたという。
毎日新聞 2010年10月23日 20時50分(最終更新 10月23日 23時16分)