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[22340] (習作)とらは+りりなの×鋼殻のレギオス「レイフォンが自分の剣を誰かに捧げた様です」
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/22 22:23
初めてSSを書きますので、至らない所だらけだと思いますがよろしくお願いします。
正直、文法も怪しいですが何とか読める程度のモノは書きたいと思ってます。


*このSSは、レイフォンがまともに成長したら・・・と思いつき、書き始めたモノです。
*レイフォンは、高町家に逝きます。
*いわゆるハーレムルートになりそうです。
*レギオスのキャラは、今の所フォンフォンとリーリンだけの予定です。
 (外伝や一方その頃・・・とかで、出てくる可能性は有り)
*レイフォンはチートが入ります。
*リリカル+とらハも混ざるので、キャラクターの扱いも少し変わってきます。
*明るく楽しくですが、シリアスやお涙的な展開も少しは入ります

以上を踏まえて、そう言うのが嫌いな方にはおすすめ出来ませんが・・・なるだけ楽しんでいただけるモノを書きたいと思っておりますので、どうかお付き合いの程をよろしくお
願い致します。


色々とご指摘が有ったので、修正を掛けていきます。
それによって多少はマシになるんじゃないかと思っています。



[22340] プロローグ(無印編)
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/23 00:53
レイフォンは、グレンダンの上空を目指して駆け上がる。

グレンダンの上空に広がった、巨大なモノを倒し皆を・・・リーリンを守るために。

(もう少しで・・・!!)

今の自分の手に握られているのは、天剣である。つまり、自分の最大の技を充分な威力で
敵にぶつけられるのである。

しかし、巨大なモノは気付いた。自分にとって脅威となる生き物が近付いて居る事に。

脅威となるなら、排除しよう・・・生物の単純な本能により、最大の攻撃をレイフォンに向けた。

(なっ!? だが、こちらが早い!!)

レイフォンには、回避している余裕など無い。そんな事をすれば、威力が落ちて倒せないかもしれないし、下手に攻撃をしてリーリンに被害が及んでは元も子もない。

巨大な力同士が激突し、閃光と、衝撃と、爆音が響き渡った。

じっと上空を見上げていたリーリンの所に何かが落ちて来た。
それが、血にまみれた錬金鋼だと直ぐに分かった。しかし、脳はそれが誰のモノだという事を理解する思考事態を拒否していた。

その一瞬後に、レイフォンが頭の中で遠くに行ってしまうのがイメージで浮かんで来た。

「いやぁぁぁぁぁっ!!」

グレンダンにリーリンの声が響いていた。




レイフォンは暗闇の中を歩いていた。
其処には、何もなかった・・・有ったのは、渦巻く後悔と自責の思い・・・そして、怒り。

それが、自分自身の心の葛藤だと気付いたのは少ししてからだった。

「僕は・・・」

自分の心の闇を解放しそうになったとき、遠くに光が見えた。
それはドンドンと近付いてきて、やがて全てを飲み込んだ。

「う・・・」

光に満ちた世界に、目がまともに開ける事が出来なかった。
体はもの凄く重く、頭もクラクラしていた。

(仕方ない、剄脈に剄を巡らせて無理矢理体調を整えるか)

少しだけ体調が戻ったので周りを見てみると、やけに部屋が大きく見える。それに独特の振動がない。何より・・・

(鏡に映る、子供は誰だ?)

何となく右手を挙げると、その子も鏡越しに右手を挙げた。何度か違う仕草をする度に、鏡越しに少年は同じ仕草をする。

(考えるな!! 考えたら、全てが終わる!!)

軽くパニックて訳の分からない事を考えながら、他の所を見て愕然とした。 

自分が寝ている病院が大地の上に建てられた病院で、外の世界が汚染されておらず自由に生活できる場所となっていたからだ。

「こんな事って・・・」

レイフォンが呟くと同時に、ドアがコンコンとノックされた。
しかし、今のレイフォンには返事をする余裕など無かった。

「入るぞ」

声と同時に入って来たのは、三十代位の男性で男前な部類に入る容姿をしていた。
だがそれと同時に、ただ者では無いと気配が告げていた。

(何者だ?)

男性から漂う気配に、レイフォンはグチャグチャな頭の中を無理矢理余所にやり戦う為の思考へ切り替えた。

「俺の名は高町士郎だ。君は?」
「レイフォン・アルセイフです」

体を緊張させながらも、質問には答えておいた。

「いきなりだが、君はただ者じゃ無いな? それも、かなりの実力者だ・・・だが俺の目に見える君は、まだ十代になるかどうかの少年だ。それが、どういう事なのか話してくれるとありがたい」

士郎のいきなりの言葉に、レイフォンは焦った。
正直、どうしようか考えがまとまらない。

「・・・一つ質問ですが、良いですか?」
「何だい?」
「僕を此所につれて来てくれたのは、貴方ですか?」

レイフォンは、いきなり核心の部分を突いて見る事にした。それで、少なくとも事態が動くと思ったからだ。

士郎は少し考えて、口を開いた。

「信じて貰いたいが君は俺たちが鍛錬をしている場所に、突然現れたんだ。かなりの重傷を負って、出血も酷かったんで一番信頼出来る病院に運んだ。それが一週間ぐらい前で、今まで君はずっと眠ったままだった」
「面倒を見てくださって、有り難う御座います・・・」

レイフォンはただ、頭を下げるしか無かった。見ず知らずの得体の知れない自分を、わざわざ病院に運び面倒を見てくれたのだろう。
ベッドの周りには、花瓶に生けられた花や着替えや雑誌などが置かれていた。

「何故、見ず知らずの自分に此所までしてくれるんですか?」

レイフォンは聞かずにはいられなかった。どうして此所まで見ず知らずの人間に、優しく接する事が出来るのだろう。どうして此所まで温かい空気を、作れるれるのだろう。どうして・・・

レイフォンは何かを求める様に、士郎に答えを求めた。

「う~ん・・・そうだな・・・君を初めて見たとき、君が酷く幼く見えた。子供を一人に出来る訳がないし、色々訳ありの様だったからね。そして今話して、出口を探している迷子の様に見えた事かな? スマン・・・やはり、何となくが一番自分の答えの中でしっくり来るんだ」

その答えを聞いたレイフォンは、胸の中ですとんと何かが落ちた気がした。

「ガッカリさせたかな?」
「いえ・・・充分でした」

レイフォンは、何だか凄く久しぶりに素直に笑顔になれた気がする。

「では、君の事情を話して貰えるかい?」

レイフォンは包み隠さず、一から全てを話し始めた。
レイフォンはこの人は信用できると思った。自分が知る中で、養父のデルクに近いモノを感じたからだ。

(この人の方が、色々と器用そうだけど・・・)

自分の境遇を話しながらも、相手の観察は忘れなかった。相手もこちらの意図を知っているのか、自然体のままだった。
全てを聞いた士郎は、重い口を開いた。

「君と同じ境遇の馬鹿者を知っている。自分一人で突っ走り、大事なモノを壊しているのにも気付かず唯走って、自分を壊しかけた馬鹿者をな・・・」
「・・・」
「君は誰かに相談できたはずだ。しかし、君には力があっただけに余計にその事に気付く事が出来なかった。誰の所為かと言えば、大人の所為でもあるが、君にも非はあるし・・・難しい所だが、過ぎた事なのだろう? なら、二度と同じ過ちを繰り返さない様に、もう一度歩き始めるしかない。人間は、転んでも立ち上がれる強さがあるからな」

士郎は静かに、諭す様にレイフォンに話し掛けた。

「レイフォン、君はもう一度色々と学ぶべきだ。大事な事は何か? 破ってはいけない事は何か? 守るべきモノは何か? これから時間はたっぷりあるから、一つ一つ学んでいくと良い」
「・・・分かりました・・・」

レイフォンは自分がすべきことを、要約見つけた気がした。
そこから、レイフォンの新たな道が始まった。


~とある遺跡~

「突然起動した遺跡は、再び沈黙しました」
「何だったんだ?」
「分からん・・・だが、コレがロストロギアに認定される事は確かだな」

制服を着た人々は、話し合って様子を見るが装置は沈黙したままだった。
人々は知らない・・・この装置が、平行世界の存在を証明するために作られた事を・・・










後書きのような言い訳?

最初はこんな感じで書くつもりは無かったのに、書いている内にレイフォンが今までの自分を見つめ直すにはこれぐらいのことが必要かな?っと思ったのでこんな感じに・・・
そして、士郎さんとの出会いで自分に何が足りないかを自覚する所に持って行きたかったんです。
次は、桃子さんかな?
後、色々考えた結果こんな感じで落ち着きました。



[22340] 其の一  海鳴町一の濃い夫婦
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/22 23:57
士郎に全てを話し、士郎の言葉を受けて自分が進むべき道を見つけた。今度は、レイフォンが色々と士郎に尋ねていた。

「・・・聞けば聞く程、自分との世界の違いに驚きますね・・・」

レイフォンは自分の世界との差に単純に驚いていた。

(いずれ、この世界もああなるんだろうか?)

窓の外を見ながら、そんな事を考えてみた。だが、それは何百年と先の話だろう。
そこでレイフォンは、有る事が気になった。

「あの、士郎さん。どうして、突然現れた僕にそんなに色々手配できる程冷静だったんですか?」

暫く考えて、士郎は口を開いた。

「レイフォンくん、此所の海鳴町ではそんな事では驚いていられないんだ」
「どういう事ですか?」

正直な話、異世界というか平行世界から来たというのに、リアクションが薄いと何か居たたまれなくなる。それに、士郎の言葉も気になっていた。

「この海鳴町には、妖怪や超能力者や自動人形等々考えたらキリが無い程の超常現象とも言うべき存在がいて、漫画みたいな現実が度々起こるんだ。君には悪いが、非日常的な出来事には耐性が出来てしまっていてね・・・どれほど凄いかの感覚が麻痺しているんだ。 ・・・実は、君も超能力というか、そんな力の持ち主だと思ってここに運んだんだが・・・」

士郎の言葉を聞いて、今度はレイフォンの方がリアクションに困ってしまった。

「そしたら、もっとでかい事を聞かされたがね」

そう言って士郎は笑っていた。

(この人は、本当に凄い人かも・・・)

レイフォンは改めて、士郎の器の大きさに感心した。

(しかし、こんなに平和そうで汚染もされていないけど・・・大丈夫なんだろうか?)

レイフォンが考え込んでいると、士郎はレイフォンの頭に手を乗せて撫でてくれた。

「スマン・・・ちょっと脅かしすぎたか? まぁ・・・嘘は言っていないので、それ位の心構えで居てほしい」

正直、精神的には十代後半なので父親に頭を撫でられている様で落ち着かないが、その心
地よさにされるがままだった。

(ん?)

レイフォンは士郎の言葉に何か引っ掛かりを覚えた。

「えっと・・・何か、今変な感じがしたんですが・・・今の言葉に、別の意味も含まれていませんか?」

レイフォンは何かに警戒する様に、士郎に聞いてみた。

「レイフォンくんは勘が良いな。実はな・・・」

士郎が何かを言いかけたとき、廊下の方から何やら鼻歌交じりにスキップをして誰かがこの部屋に向かってくるのが分かった。

「士郎さーん、アノ男の子は目が覚めたの?」

そう言いながら部屋に入ってきたのは、見た目二十代位の童顔な美人とも言える女性だった。

「ああ、今目が覚めたみたいだ。桃子」

そう言いながら士郎はレイフォンに視線を向けると、桃子もそれにつられて視線をレイフォンに向ける。
レイフォンを見た桃子は、ピタッと動きを止めた。

「桃子?」

その様子に、士郎もどうかしたのか?と思い桃子に近寄ろうとすると、突然桃子が震えだした。

「も・・・桃子、大丈夫・・・」
「キャァーーーーーッ!! 可愛いーーーーーっ!!」

桃子の突然の豹変に、レイフォンは勿論の事伴侶であり妻を愛する夫である士郎でも桃子の変わり様について行けなかった。

「・・・」

キャァーキャァー言いながら体をクネクネさせ、桃子は何かをぶつぶつと呟いていた。
士郎が近寄って聞いてみると・・・

「なのはとの結婚式は何時にしようかしら・・・あっ、でもその前に婚約が良いわよね。
出来るだけ早いほうが良いし・・・」

等とブツブツと独り言を言いながら、あちらの世界に旅立っていた。
ブツブツ言っている桃子に若干引きながら、士郎はチラリとレイフォンを見る。

「・・・」

そこにはドン引きしたレイフォンが居て言葉もなく、唯呆然としていた。

(桃子がこうなるのも分からんではないな・・・)

今のレイフォンは美少年と言える部類に入る容姿をしており、何処か儚さと何だか守ってあげたくなる様な雰囲気を持っている。それとは逆に、途轍もなく強いと肌で感じることも出来る。
簡単に言えばもの凄くアンバランスな感じで、それが一つの魅力になっているのだろう。

(いい加減に、桃子を正気に戻すか・・・)

何だか無駄に疲労感が漂って来たが、コレでは話が進まない。

「桃子、いい加減に・・・}

士郎が桃子に声を掛け様としたら、突然桃子がレイフォンの寝ているベッドに詰め寄った。 

「あなたお名前は?」
「レ・・・レイフォンです」
「レイフォンくんね? 突然だけど、レイくん家の子にならない?」
「は?」
「士郎さんが気に入っているみたいだし、目を見ればどんな子か分かるし。それに、君・・・一人ぼっちは寂しいでしょ? 桃子さんには、分かるんだから」
「な・・・何・・・」

その言葉の続きは言えなかった。何故ならその言葉を聞いて、自分の状況を完全に理解したからだ。

(そうだ・・・僕は・・・リーリン、隊長、フェリ、みんな・・・)

思い出せる名前が女性ばかりなのは何故かは別にして、レイフォンに急に不安と孤独が押し寄せた。
すると、突然温かいモノに包まれた。気付けば、桃子に抱きしめられていた。

「大丈夫よ。貴方が孤独になった時は、こうして一人じゃないと伝えてあげるから。私達は出会って間もないけど、これから家族になっていけるわ。世界中に沢山の人がいるのに出会えた私達は、絆が有ると思わない? ね?」

悪戯っぽい笑みを浮かべた桃子は、レイフォンにウインクをして見せた。
抱きしめられたレイフォンは固まったままだった。あまりの柔らかな感触に、良い香りに思考が追い付いていないのだ。

「今なら美味しいご飯も食べれて、自分の部屋も持てるし何より・・・可愛い女の子が何人も付いてくるわよ。どう?」
「え? あ・・・う・・・」

アタフタとするレイフォンを見かねた士郎は、助け船を出す事にした。

「実際の所レイフォン、君が一人で生活をするのは無理だ。外見はどう見ても子供で、保護者も居ないし・・・何より・・・」

途中で言葉を止めた士郎が、レイフォンの耳に口を近づけた

(こちらの世界の事は全然知らないだろ?)

小声でそれだけを言うと、「な?」とウインクをして見せてくれた。
そんな二人のやりとりを見て、桃子は少し不機嫌そうだ。

「何、二入でコソコソ話をしてるの? 私にも、教えなさい」

桃子の機嫌を直そうと、士郎はフォローをし始める。
そんな二人のやりとりを見て、レイフォンは未知の世界だというのに不安しかないのに安心していた。

「僕は、士郎さんの家に行きたいです」

自然と、その言葉が口から出ていた。
その言葉を来た士郎は優しくレイフォンの頭を撫で、桃子は優しく微笑んでいた。

その光景だけを見れば、仲の良い家族にしか見えない風景がそこには有った。

「で・・・話してくれるわよね?」

・・・どうやら、桃子は納得をしていなかった様だ。

「実は・・・」

観念して、レイフォンは全てを話した。
それを聞いた桃子は、怒り出した。

「そんなの、周りの大人が悪いに決まっているじゃないの。大体、子供のレイ君が苦労をして居るのを知っていて手を貸さないのは、おかしいわよ。そもそも・・・」

桃子は士郎を相手に愚痴とも説教とも付かない事を話し始め、士郎は最初は相づちを打っていたが段々自分がした事に話が及び始め、しまいには正座をさせられていた。

「・・・と言う訳よ、分かった?」
「・・・はい・・・」

最後は、完全に士郎に対するお説教だった。
そんな二人を黙ってみていたレイフォンだったが、桃子がこちらを向いて何故か焦ってしまった。

「レイ君はこれから大事な事を勉強しながら、もう一度やり直せばいいの。そうすれば、前のレイ君より凄く素敵な男の子になれるわ」
「はぁ・・・」

何故、男の子?と思いながらも、返事はしておく。

「じゃあ、退院の手続きをして帰りましょ。私達の家に」
「・・・はい」

レイフォンは胸が一杯になりそうだったが、何とかこらえた。

「あっ、そうそう」
「何ですか?」
「これから、よろしくね? レイ君」
「・・・こちらこそお願いします」

そう答えるレイフォンの目には光る物があった。







後書きというなの反省会

文章が長くないか凄く不安です。
後、展開も簡単に変わりすぎの様な気がしないでもないですが・・・余り引っ張るのもどうかと思ったので、これぐらいで・・・

次は、高町家の人々です。
当然、とらハも入るのでレンと晶はONの状態です。

取りあえず頑張ります!!
色々と追加しました。コレで、読みやすくなると良いけど・・・



[22340] 其の二 二度目の衝撃!?
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/23 00:39
「さあ、着いたわよ」

桃子に連れられ、車を降りたレイフォンは高町家の前に立っていた。、士郎はその後ろで車から荷物を降ろしていた。

「じゃあ、俺は車を車庫に入れてくるよ」
「私達は先に家に入っているわ」

士郎は車を運転して車庫に向かい、桃子達は家に入った。

「ただいまー!!」
「お・・・おじゃまします」

元気に声を出す桃子と、何処か緊張したレイフォンは落ち着かない様だ。レイフォンの言葉を聞いた桃子は何処か不満そうだ。

「違うでしょレイ君」

桃子はそう言いながら、レイフォンに何かを期待している目で見つめていた。

「えっ・・・あ、た・・・ただいま」
「はい、良くできました」

桃子は満面の笑顔で、レイフォンの頭を撫でた。その様子に、桃子が何を求めているのか分かってレイフォンはホッとしていた。

「おかえりー」
「おかーさん、おかえりー」
「おかえりなさいですー」
「おかえりなさい」

そんなやりとりをしていると、奥から女の子と少女達が出てきた。
少女達は直ぐにレイフォンに気付き、不思議な顔をした。

「かーさん、その子は?」

皆を代表して美由希が桃子に質問をした。
その質問に待ってましたと言わんばかりの笑顔で、桃子は両手でレイフォンの肩を掴み皆の前に押し出した。

「今日から家の家族になるレイ君よ」

一瞬の静寂の後「え~~~っ!?」っと言う声が高町家の玄関に響いた。

「そろそろ士郎さんが戻ってくるし、リビングに移動しましょ」

そう言いながら桃子はレイフォンを押す様に、さっさと移動を開始する。当然「あっ、美由希は荷物お願いね」と言い残すのは忘れない。

「しょがないなぁ・・・」

そう言いながらも、美由希は晶と手分けして荷物をリビングに運んで行く。

(それにしても・・・あの男の子可愛かったなぁ・・・)

儚げと言うか陰が有るというか、母性本能をくすぐられる様な何かがあった。

(・・・ちょっと、色々と楽しみかも・・・)

色んな想像というか妄想してニヤニヤしながら歩く美由希を見て、晶は若干引きながらも一緒に荷物を持ってリビングに向かった。
二人がリビングに入ると、既にお茶の用意が整っていた。

「二人とも、早く座って。直ぐにお茶を入れるから」

桃子は上機嫌でお茶を入れ始めており、時折鼻歌などが聞こえて来たりする。
二人は適当な所に座ろうとソファに視線を向けると、そこにはなのはとレンから質問攻めにされているレイフォンが居た。

(うわぁ・・・あの中に混じりたいけど、後にしてあげた方が良いかな? でも、困っている美少年もこれはこれで・・・)

マシンガンの様な質問攻めに有っているレイフォンを見て、美由希もかなり冷静?になれた。その様子を見た晶は密かに握りしめた拳を、そっとほどいた。

「は~い、お茶が入ったわよ」

桃子の声に美由希と晶も適当に座り、レイフォンに対する質問攻めも一時中断した。
レイフォンもこれでやっと一息つける、そう思っていた。

「ただいま~」

玄関の方から士郎の声が聞こえてきた。

「士郎さんも帰って来た事だし、皆そろってから自己紹介を始めましょうか」

桃子もそう言いながらも、ふと何かを思い出した様だ。

「美由希、そう言えば恭也は?」
「恭ちゃんは、急に忍さんに呼び出されたみたいだよ」
「アノ子は・・・せっかく新しい家族が増える記念すべき日なのに・・・」
「まぁ、恭ちゃんだし・・・基本的(人間関係)に関して空気を読まないんだから、こういう時位はせめて空気を読んで・・・」

美由希が続きを言いかけたとき、レイフォンは部屋の温度が数度下がるのを感じた。それと同時に、殺気も感じていた。

「ほう、馬鹿弟子・・・俺が空気を何だ? 良く聞こえなかったから、もう一度言ってみろ」

何処からともなく声がしたと同時に、美由希の動きが止まり全身から漫画の様に大量の汗をダラダラと流し始めた。

「あ、桃子さんお邪魔します」
「こ、こんにちは」
「く~ん」
「お邪魔致します」

声と同時にリビングに入って来たのは、忍とメイド服の那美に久遠とノエルというメンバーであった。それに続く様に士郎も入って来た。

「新しい家族が増えるって恭也から聞いたらしくてな、急いで急行して来たらしい。タイミング良く玄関で会えたから、先に入って貰ったんだ」

士郎はそう言いながら、未だ固まったままの美由希とその直ぐ後ろに立っている恭也を見た。

「恭也・・・ほどほどにな」

士郎も呆れた様に言いながら、レイフォンの横に座る。ちなみに、桃子はその反対側に座っている。
恭也は美由希の肩にポンと手を置いたが、それだけでビクッと美由希は過剰に反応する。

「今夜が楽しみだな、馬鹿弟子・・・」

恭也の死刑宣告とも取れる言葉に、美由希は真っ白に燃え尽きていた。
その様子を、周りは苦笑しながら見ていた。

(みんな何も言わないのは、コレが日常の風景なのか?)

一部始終を見ていたレイフォンは、その光景を孤児院のあの頃に重ねていた。

(もう・・・戻れないのか・・・あの世界に・・・)

不安になりそうになった瞬間に、桃子がそっと手を握ってくれた。驚きながらも、レイフォンは桃子の顔を見た。
そこには、自分を勇気づける様な笑顔があった。

(そうだ、僕には支えてくれる人達が居る。例え帰れる可能性が低くても、諦めないで進んでいこう。僕は、一人じゃないだ)

桃子の心まで温かくなる手を握り返し、レイフォンはその場に立った。
その頃には、皆席に着きレイフォンの言葉を待った。

「僕の名前は、レイフォン・アルセイフと言います。そして・・・」

レイフォンは自分の事を全て話した。自分の居た世界の事、自分の過ちの事など全て。
何時しか、何人かは目に涙を浮かべ何人かは厳しい表情をしていた。

「これが、僕の全てです」

レイフォンは全てを話すと自分でも信じられないぐらい緊張していたらしく、疲労感で一杯だったので直ぐにソファに座った。

「良く頑張ったな」

そう言いながら、士郎はレイフォンの頭を撫でてくれた。
士郎の気遣いに感謝しながらも、レイフォンは皆の反応が気になった。

「ガワイゾウダヨ~」

目に沢山の涙をためながらこちらに向かってきたなのはは、突然レイフォンに抱きついてわんわん泣き始めた。

「えっと・・・」

困惑しているレイフォンの前に、スッと恭也が立っていた。

「君は昔の俺によく似ている・・・一人の力では、出来る事はたかが知れているんだ。何かに悩んだり、苦しい事が有れば誰かに話してみるのも良い手段だ。そうして、一つ一つ学んでいくのが大事な事だ」

恭也の身にしみる言葉に、唯レイフォンは頷くだけしか出来なかった。

(そうか、士郎さんが言っていた馬鹿者って・・・)

目の前の恭也を見ながら、レイフォンは何だか親しみを覚えた。
ふと横から視線を感じたので、そちらを向くと何時の間にか着物の様な服装の子供が立っていた。

「だいじょうぶ・・・れいふぉんやさしい・・・久遠もついてる・・・」

女の子は笑顔でそう言ってくれた。
周りを見ると、皆が優しい目で応援してくれているのが分かった。

「有り難う御座います」

みんなが自分を受け入れてくれた事を知ったレイフォンは、お礼を言うぐらいしか出来なかった。
ただ、レイフォンは自分が守るべき物が何か・・・何となくその姿を見た気がした。

「さー今日は宴会よーーー!!」

桃子の言葉に皆が元気に返事をし、慌ただしくその準備に入った。
レイフォンも手伝おうとしたが、士郎に「先に部屋を確認すると良い」と勧められてその言葉に甘えた。

「ふー・・・何だか疲れた・・・」

部屋は直ぐに見つかったが、何だか眠気が襲ってきたので少しうとうとする事にした。



うとうとしてから直ぐに、レイフォンは誰かに呼ばれた気がした。

「誰ですか?」

聞きかえすと同時に、自分が夢の中に居る事が分かった。

「突然で申し訳ありません、貴方を此方に呼んだ者です」
「え? どういう事ですか?」
「今からその事について説明をさせていただきます」

その声と同時に、無数の光の玉が周囲に浮かんでいた。

「貴方を此方に呼んだのは我らが同胞を守っていただきたいのと、我らが誇りと魂を守っていただきたかったのです」
「・・・それはどういう事ですか?」

レイフォンは未だに事態を把握しきっていなかったが、取りあえず話を聞いてみる事にした。

「目覚めつつある我らが同胞は、既に元の形を成していません。何らかの手段があれば良いのですが・・・無ければ、騎士として誇りとその魂を救ってください。お願い致します」
「その役目が、何故僕だったのですか?」
「・・・それは、この世界に近い世界で強い体を持っていてなおかつ、こちらに呼ぶ条件が整った瞬間にアクセスできたのが、貴方の世界だったのです」
「・・・何となく、言いたい事は理解出来た・・・と思う」
「そして貴方は、元の世界に居ては死ぬかも知れない程の大きな傷を負う瞬間でした。そのタイミングで呼ぶ事が出来たのは、まさに奇跡です。お願いします、どうかお力を貸してください」

光の玉なので良くは分からないが、深々と頭を下げられた気がした。

「では、この体は?」
「それは、まずこの世界に呼ぶ事が出来た事情からお話致します。今この世界のこの地域には、次元に干渉出来るエネルギーに溢れかえっていてかなり不安定でした。そして、突然小規模の次元の揺らぎが起きました。何故かは分かりませんが、まるで狙ったかの様に・・・」
「・・・それで?」
「それと同時にこの次元世界にに近い次元世界ででかなりのエネルギーの衝突があり、そこでも小規模の次元の揺らぎが起きて、その世界で強い意志と肉体を持った貴方を此方に呼んだのです」

その言葉を聞いて、レイフォンは心当たりがあった。

(あの時か・・・)

レイフォンが少し考えていると、光の玉が何かを言いにくそうにしている気がした。

「何ですか?」
 
レイフォンは気になったので、聞いてみた。

「・・・言いにくいのですが、貴方の肉体はその時の衝突でかなりの傷を負っていた状態でした。それに貴方の力が、此方では相容れないモノで有る可能性が高かったのです。なので、貴方の肉体を修復すると同時に、別の異なる力とのパイプをつなぎました。」
「えっと・・・」

レイフォンは正直戸惑っていた。剄だと思っていた力が別のモノだと言うのだ。

(じゃあ、何なんだ?)

そう思いながら、続きを聞く事にした。

「その力はレイラインとも呼ばれる力、すなわち大自然の中にも流れる純粋な力の流れです。性質的には貴方が使っていたモノと変わらないはずですし、体の中の特殊な神経に力が流れ易い様にしました」
「そうか・・・だから剄と間違えたのか・・・」
「そうするしか貴方が助かり、元に戻れる方法が無かったのです・・・貴方には申し訳ないとは思いましたが、こんな方法をとらせていただきました。本等に、すみません・・・」

頭を下げられた気がしたレイフォンは、慌ててしまった。

「死ぬかも知れない怪我から救って貰えたんだから、お礼を言うのはこっちですよ。
・・・それに、自分がもう一度やり直せる機会も貰えたんですから・・・」

レイフォンにとっては、それが一番大きい理由だった。
失った物を今度は間違えない様に、守り抜ける機会を与えられて嬉しかったのだ。

「この力は使おうと思えば、誰でも使えるのですが・・・その方法はかなり昔に失われたみたいです。ただ、無意識に使っている方もおられるみたいですが・・・」
「じゃあ、教えて他の人にも使える様になるの?」
「ええ、その人の持つ才に左右されるでしょうが・・・」

何だか凄い事になってきたと思いながらも、レイフォンは自分が最早別人になってもう一度人生を歩む事と同じだと思っていた。

「それと、貴方にコレを・・・」

光の玉から何かがレイフォンの元にやってきた。それを、レイフォンは受け取った。

「これは?」
「普通の武器では貴方の力を流し込んだだけで壊れてしまいますので、此方の世界で失われたと言われる伝説の金属と私達の世界の武器とを融合したモノです。コレならば、例え貴方が元の世界と同じ位の力を持ったとしても壊れません」

レイフォンがそれを手に持つと、突然刀の形になった。

<初めましてマイ・ロード、早速ですが私の名前を決めていただきたい>

刀の声が頭の中に直接響いてきた。

(そうだな・・・やっぱり、ヴォルフ・・・いや、天剣にしよう)
<天剣・・・成る程、ではお館様とお呼びしましょう>

レイフォンは自分に対しての戒めと、剣士としての誇りを持つためにそう名付けた。

「では、そろそろ我らも限界が近付いていますので・・・コレで貴方とお話しさせていただくのも最後でしょう。もしお会いできる事があれば、お礼をさせていただきます・・・では」
「自分に過ちを取り返せる機会を与えてくれて、有り難う御座いました。救ってくれたお礼に貴方たちの願いは、必ず僕がかなえて守り通します・・・最後に、名前を教えてください」

光の玉の殆どが、上に向かって行き最後に会話をしていた光の玉が上がっていく。

「かつて私は、聖王・・・そう呼ばれていました。では、さようなら」

そして、光が弾けた。

「レイ君、起きて。ご飯だよ」

誰かに呼ばれる声で、レイフォンは目が覚めた。

「ココは・・・」

そこは今日からレイフォンの部屋になった部屋で、自分の直ぐ横になのはが座っていた。

「レイ君疲れてるの? それに、レイ君も刀なんて持ってたんだね」

なのはの言葉に、レイフォンは驚いて自分が握りしめているモノを見た。
そこには目映く輝く一降りの刀があった。









後書きというなの反省会

取りあえず、色んな伏線を用意しました。
力の事も剄では強すぎるしレギオス世界以外で使えるのか?というご指摘もあったので、こんな形で調整が出来る様にしました。
ロストロギアに関してはなるべくは使わない方向で行きたいな・・・と思っていましたが手直しをした結果どうしても必要に・・・
もう、そこら辺は寛大に許していただけるとありがたいです。
次は、いよいよ淫獣?・・・:もとい、ユーノ君とアノ宝石の出番かな?



[22340] 其の三 三者三様な
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/23 01:04
(どうして、こうなったんだ?)

レイフォンは目の前の光景の収拾を、どうやって付けようか頭を抱えていた。
取りあえず、皆の所から距離を取りながら全体を見渡せる所に移動する。

「やるかー!! このカメ!!」
「上等や!! やったるわ、このおサル!!」

何故か据わった目をした晶とレンは、レイフォンの近くでハイレベルな喧嘩を始める。

「うう・・・私なんて、私なんて・・・」
「大丈夫ですよ、美由希さん。大事な家族だから、美由希さんに対してのスキンシップが過剰になるんですよ」
「・・・本当に、そう思います?」
「・・・」
「そこで、目を逸らさないでください! 那美さーん」

少し離れた所では、漫才の様なやりとりをしている美由希と那美がいた。

「はー・・・甘酒、美味しいね。くーちゃん」
「うん・・・甘酒、すき」

レイフォンの直ぐそばで、なのはと久遠(子供バージョン)は甘酒を二人で飲んでいた。

「ほら、グラスが空よ? 忍ちゃん」
「おっとっと・・・(ゴクッゴクッ)はー・・・美味しい。では、桃子さんにお返しを」
「ありがとう。(ゴク、ゴク・・・)あー・・・今日は、とっても美味しいわねー」

一番離れた所ではハイペースで飲み続ける桃子と忍が居て、既に空いた瓶が何本か床に転がっていた。

「どれ、一献」
「ふむ・・・(クイッ)ふー・・・美味いな。返杯を」
「おう。(グイッ)・・・そうだな、今日の酒は格別だ」

士郎と恭也の二人はレイフォンから離れた所で静かに飲んでいて、二人の様子はとても絵になっていた。

(この後、どうなるんだろ?)

そんな事を考えていると、玄関の方で人の気配がした。

(お客さんかな?)

そう思ったが、ノエルが少し前に忍の妹となのはの友達を迎えにいった事を思い出した。

(玄関に迎えに行こう・・・)

ココにいると何時絡まれるか分からないので、鮮やかに撤退を決めたレイフォンであった。

「お邪魔します」
「こんばんは~」
「ただ今戻りました」

三人が玄関の扉を開けると、そこにはレイフォンが待っていた。

「おかえりなさい。と、いらっしゃい」

突然のレイフォンの迎えに、三人は驚いていた。

「レイフォン様、皆様は・・・」
「ノエルさんが想像していると通りの状況で、下手に入ると絡まれます。 ・・・お二人とは初めてですよね? 初めまして、レイフォン・アルセイフです。今日から高町家
でお世話になる事になりました、よろしくお願いします」

レイフォンは軽くお辞儀をして、ニコッと微笑んだ。(コレは忍の入れ知恵で、なのはは既に陥落済み)

「ど・・・どうも、月村すずかです」
「ア・・・・アリサ・バニングスよ」

頬に朱色が交じっているが、二人は簡単な自己紹介をした。
その様子を見たノエルは、二人が墜ちた事を瞬時に理解した。

「立ち話も何ですから、リビングに行きましょう。余り注目されなければ、絡まれませんよ・・・たぶん」

レイフォンは三人を先導しながらリビングに向かうと、三人もレイフォンの後に続いて来た。
リビングに着くと、そこには士郎&恭也に絡んでいる桃子と忍がいた。

「お姉ちゃん・・・」
「お嬢さま・・・」

酔った勢いで恭也に対する過剰なスキンシップをする自分の身内を見て、流石のすずかやノエルも言葉が無かった。

「うーわー・・・」

アリサもこの光景には言葉が無いらしく、引いていた。

「取りあえず、座りませんか?」

レイフォンに促され、三人は席に着く。すると、若干酔っている感じのなのはが側にやってきた。

「アリサちゃん、すずかちゃん。いらしゃい~、今日は沢山お料理も有るよ~」
「こんばんは、なのはちゃん。・・・ごめんね、お姉ちゃんが・・・」
「まあ、しょうがないよ~・・・半分は、恭也お兄ちゃんの自業自得だから~」

なのはは、そう言いながら苦笑した。
ちなみにノエルは「・・・負けていられません」と小さな声で言うと、忍と恭也の所へ向かった。

「・・・それより、私はあんたの事を信用した訳じゃ無いのよ。 あんたの正体を、あたしが暴いてやるわ!」

アリサは敵意むき出しといった感じで、レイフォンに詰め寄った。

「お兄ちゃん、まだ自己紹介はしてないの?」
「うん・・・軽々しく出来る話じゃ無いしね・・・」
「二人なら大丈夫だよ」

なのはが笑顔で、レイフォンの背中を押してくれた。
そのなのはの笑顔を見て、自分は一人じゃ無い事を感じた。自分には、守るべき場所がある。それを失う事がない様に、自分に対して活を入れる。

「じゃあ、僕の話・・・聞いてくれるかな?」

レイフォンの空気が変わったのを見て、二人も真剣に話を聞く体勢にになった。
レイフォンは、包み隠さず全てを話した。勿論、隠すべき所は話してないが、自分の過去については全て話した。

「・・・これが、僕の現状で。僕の、今の現実だよ」

レイフォンの話を聞いた二人も、目に涙を浮かべていた。

(こんなおかしな話しも真剣に聞いてくれて、ここは優しい子が多いんだな・・・)

レイフォンはそんな事を考えていた。
それと同時に、この子達も守れる様になろう・・・そう心に決めた。

「・・・レイフォン、今日からアンタもあたし達の友達なんだから・・・絶対に寂しくなんか無いんだから。その辺、よ~く理解しておきなさいね」

アリサは目に涙をためながらも、何時もの様に話していた。

「・・・私も、こんな事しか言えないけど・・・寂しくなんかならない様に、沢山お話しようね?」

すずかも、涙をぬぐわないままレイフォンに素直な気持ちをぶつけてくれた。

「・・・ありがとう、こんな僕を受け入れてくれて」

ストレートな気持ちで接して、何も言わずに受け入れてくれる二人にただ感謝するしかないレイフォンだった。
その後も宴は続いたが夜も深まってくると、宴会もお開きとなった。

「じゃ、またね~」
「お邪魔しました~」
「失礼致します」
「じゃあ、また明日」

月村家とアリサはそれぞれ帰宅の途に付いた。
残った高町家&那美、久遠は家に戻っていく。

「美由希、鍛錬を忘れるなよ?」
「えっ!? 今日は、お休みじゃないの?」
「ついさっきの事を忘れたのか? それ程、馬鹿が進んでいるならマッサージも追加してやらんとな」
「いや、思い出してる!! うん、忘れて無かったけど・・・こんな事の後だから有るのが意外だっただけだから」
「じゃあ、準備をして来い」
「はーい・・・」

とぼとぼと美由希は部屋に戻り、那美と久遠は客間を借りて泊まる様だ。

「じゃあ、レイも準備をしてくる様に」
「うん・・・と、とうさん・・・」

レイフォンはそう言い残し直ぐに部屋に戻っていった、その言葉に士郎はかなり驚いたが顔が破顔していくのを止める事が出来なかった。

(これで、レイフォンも家の家族だ。 ・・・何が有っても、絶対に家族は守る!!)

士郎は心の中で、そう誓った。



「ハッ!!」
「フッ!!」

金属と金属がぶつかり合う、かん高い音が夜の森に響いている。
先ほどから、恭也と美由希が打ち合っていた。

「くっ・・・」
「どうした、そんなモノか? 馬鹿弟子」

恭也はどんどん美由希を追い込んで行き、美由希はひたすら防ぎながら隙を窺っていた。

(ココ!!)

美由希はチャンスと見た、ほんの僅かの連撃の境目。

(チャンス!!)

当然繰り出すは、美由希の得意の刺突の技。

「御神流奥義ノ参・射抜!!」

しかし、美由希の一撃は恭也に届かなかった。
美由希が射抜を放った瞬間に、鋼糸で美由希の動きを止めに入った。

「1?」

美由希は既に技を放っており、軌道を変える事は出来ない。ならばと、美由希は技のスピードを上げた。

「甘い」

恭也は飛針で足元を狙い、一瞬動きが崩れた所に小太刀に鋼糸を絡ませて小太刀の動きを封じた。

「・・・そんなの、ずるいよ・・・」

まだ納得がいかない美由希は、ずっと文句を言い続けていた。

「・・・なら、レイとやってみるか? それに勝てたら、美由希の勝ちと言う事にしてやっても良い」
「・・・とーさん、何を言ってるんだ」
「お前も、レイの強さを気になっていたんだろ? ちょうど良い機会じゃないか」
「・・・ならば、かまわん」

二人の許可が出たので、美由希はかなりやる気になっていて。レイフォンも、久しぶりの訓練とはいえ戦闘に気分が高まっていた。

「よし、じゃあ始め!!」

士郎の声と共に、美由希がレイフォンに突っ込んできた。それを見て、レイフォンは天剣を展開した。

「!?」

突然武器が現れたのに美由希は驚いたが、距離を詰める事を止めなかった。

「確か・・・こう」

レイフォンは、突然射抜の構えをした

「!?」
「何だと!?」
「馬鹿な!!」

レイフォンの構えを見て、何をしようとしているか分かった三人は驚きに包まれた。

「そして、こう!!」

レイフォンは美由希の動きを完全にトレースし、キレには欠けるが射抜を再現して見せた。

「・・・嘘」

驚きのあまり、美由希は動きを止めてしまった。

「勝負あり!!」

士郎の宣言により、模擬戦は終了した。天剣は美由希の胸の前で停止していた。

「・・・どうして、アノ技が出来たんだい?」

三人を代表して、士郎がレイフォンに質問をした。

「昔から僕らが使っていた力の流れを見ただけで、その技を再現できたんです。それを、今度は美由希さんの体の流れに変えただけです。でも、僕には力のある事を前提にした技しかないので、と・・・とうさん達みたいな技術も使える様になりたい」

レイフォンの才に驚きながらも、士郎はレイフォンに基本を教えていく事にした。

(何処まで強くなるかな、レイフォンは。 ・・・だがそれには、強い心が必要だな。それも、全部伝えなきゃな・・・)

士郎はレイフォンの将来を楽しみにしながらも、コレからの事を考えていた。
「今日の訓練はココまで」と言う士郎の言葉と共に四人は帰宅し、シャワーを浴びて汗を流し床に就いた。
眠りに就いたレイフォンは、何かの宝石が光っているイメージが浮かび何かが聞こえてきた気がした。

(何だろ?)

そう思いながらも、深い眠りに就いた。
何時の間にかベッドに潜り込んできたなのはを起こさない様に訓練に出たレイフォンは帰宅した後、全員で朝食を取っているとなのはがこんな事を言い出した。

「昨日の夢の中で、何か宝石が光っていて。誰かが助けを呼んでいるって言う変な夢をみたの」

なのはは何だか自信なさげというか不思議な感じがして少し不安なようだったので、レイフォンは頭を撫でてやった。

「ふにゃあぁぁぁ」

猫のような声をだして、なのはは落ち着いた様だ。

(僕だけでなく、なのはも・・・? 何かが起きているのかな?)

そう思いながら、待機状態の天剣を見た。
何も言わなかったが、天剣はそうだと言わんばかりに光を反射していた。









後書きという反省会

取りあえず、やっと事態が動きます。
次からは戦闘も入りだし、レイフォンも動き回ると思います。
そして、ドンドン陥落していくなのは関係者。
フェイトは何時出せるかな・・・?
色々とご指摘もあったので、何とか読みやすい様に手を加えていくつもりです。







[22340] 其の四 四人揃えば何とやら?
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/23 01:22
士郎と桃子は翠屋へ、恭也を始め学生組は学校へと向かった。一人残されたレイフォンは、高町家が使っている鍛錬の場へと向かった。

「さて、始めよう。天剣、展開」

レイフォンの言葉と共に、一降りの刀が姿を成す。

<おはよう御座います。お館様>
「それじゃあ、修行の開始と現状確認を」
<畏まりました>

天剣が鈍く光りを放つと、それまで聞こえていた鳥の声が止んだ。

「何をしたの?」
<簡単に言いますと、お館様の力をお借りしてここら一帯の磁場を少し狂わせました。つまり、樹海と同じ状態です。・・・最も、効果の無い方もいらっしゃいますが・・・>

天剣の言葉で、レイフォンは気付いた。

「久遠、出ておいで」

レイフォンの言葉に、少女形態の久遠が茂みの中から出てきた。
 
「れいふぉん、なにしてるの?」
「これから、大事な家族を守れる様に強くなる練習をするんだ。久遠はそこで見てて」
「うん、わかった」

恭也や美由希の鍛錬を見た事が有るからか、久遠は素直に頷いた。

<ではお館様、まずは意識を集中して色々なモノに流れている生命の息吹を感じて下さい」
「・・・」

レイフォンは天剣が言った通りに精神を集中させると、色々中に有る命の流れを感じた。
直ぐ近くに、レイフォンの倍以上もある大きな固まりもあったが忘れようと思った。

<次に、その流れを自分の中に少しずつ集めてくるのを意識しておこなってください。そしてその流れてきたモノを、自分の中に固まりとなって残していく事をばらばらにならない様に気をつけておこなってください>
「・・・」
<では、コレが基礎中の基礎です。次はその器に入った力を使いやすい様にする為に、器に入った力の濃度を濃くしないと使い物になりません>
「・・・」

レイフォンは天剣の言葉道理に修行をおこなった。

「今の状態なら、汚染獣の老成一期でやっとかな?」

<・・・お館様の世界はどんだけ物騒なんですか。お館様の鍛錬はエネルギーの流れを常に意識して体の中にため込んで、それの濃度を濃くして行くのが基本です>
「剄とほぼ同じだね。流石にため込んだりはしなかったし、常に体の中を流れているモノだったからなぁ」
<後、注意すべきは力を使うと体力を消耗していきます。・・・呼び方がばらばらなので(気)と呼びましょうか>
「まぁ、それが妥当かもね」
<この(気)の力を意識せずに常に体に取り込める様になるのが、第一段階です。お館様なら初歩的な所まで、一気に行きましょう。その次が、身体の強化と武器などに(気)を込めるのを瞬間に行える様になるのが第二段階です。まぁ、それも同時に行いましょう>
「・・・くっ!?」

レイフォンは体に巡らせる(気)の量に苦労をしたが、ある程度は直ぐに出来た。

<では、その状態で日常生活を行うのが修行です>
「・・・流石に、スパルタ過ぎない?」
<貴方なら、コレぐらいで普通でしょう?>
「・・・そっちが本性でしょう? 何か言い方が一番しっくり来るよ」
<貴方が変な名前を付けるから、ささやかな反逆です>
「じゃあ、どんな名前が良かったの?」
<・・・クラウ・ソラス>
「・・・明らかに刀の名前じゃないね。でも、格好いいから良いか」
<有り難う御座います、マイ・ロード>
「じゃあ、今日から天剣・クラウソラスだね」
<では、今日はここまでにしましょう。そろそろ、お昼の時間です>
「じゃあ、帰ろうか? 久遠?」

レイフォンが久遠の名前を呼んでも返事が無いので、不思議に思って久遠の居た方を見た。

「くーくー」

子狐モードでお昼寝をする久遠の姿があった。

「取りあえず、家まで運ぶか」
<では、待機状態に戻ります>

クラウソラスは待機状態のペンダントの様な状態になり、レイフォンも家に向かって歩き出した。クラウソラスが待機状態となると同時に、結界とも言うべき磁場の歪みは収まった。

「た・・・ただいま」
「お帰り、ご飯は翠屋でな」

家に帰ると待っていた士郎によって翠屋に連れて行かれ、昼ご飯を食べた。その際、店を手伝わされたのは言うまでもない。
暫く店を手伝い、久遠と遊んだりもしたが久遠はさざなみ寮に帰って行った。

「ん・・・そろそろかな?」

久遠が帰った後本を読んで時間を潰していたレイフォンは時計を見て、なのはを迎えに行く時間だと思い家を出た。

「あ、お兄ちゃん」
「ん?」
「あら?」

校門の所に待っているレイフォンになのはが一番に気付き、その後にアリサやすずかも気付いた。ちなみに、なのはのこの呼び方は自分より年上っぽくて、優しいかららしい。
・・・その後、実の兄が殺す様な視線で睨んできて、朝晩の鍛錬で殺す勢いでレイフォンに向かってくる様になった。

「じゃあ、帰ろうか」
「うん!」
「まぁ、良いんじゃない?」
「ええ」

四人はアリサの車に乗せて貰い他愛の無い雑談に花を咲かせて帰り道を順調に進んでいた。
すると突然、なのはが何か気になる事が有るのか「止めて!!」と叫んだ。

「なのは、どうかしたの?」
「えっ・・・うん・・・」

なのはの視線には普段は決して使う事がない道。

「・・・もしかして、朝の変な夢?」
「うん・・・」

レイフォンとなのはのやり取りに、アリサとすずかも気がついた様子だった。

「朝話してた事? 気になるなら、行けばいいじゃない」
「そうだよね。みんなで行けば大丈夫よ」

アリサすずかの言葉になのはは、やっと決心を固めた。

「じゃあ、ココで待ってて」

四人が降りてアリサがそう告げると、運転手も軽く挨拶をして窓を閉めた。

「じゃあ、行こう」

レイフォンを先頭に四人は、道を進んだ。

「何か、あんまり人が通りそうにないね」

少し不安そうなすずかのために、レイフォンは軽く手を握ってあげた。

「!?」

すずかは驚いたが、恥ずかしそうにするだけで手は離さなかった。すると今度は、なのはとアリサの機嫌が急降下した。

(はぁ・・・)

心の中で溜息を付きながらも、なのはとアリサの頭を撫でておく。今度はアリサとなのはは機嫌が良くなるが、すずかが握る手を強く握ってきた。

(どうしろと・・・)

レイフォンは三人の機嫌が悪くならない様に気を配り続けた。
四人がそんなことをしながら道を進んでいくと、何かが動いた。

「何だ?」

よく見ると、小さな動物だった。

「この子、怪我をしてる!!」
「早く病院に!!

アリサとすずかテキパキと動こうとする中で、なのははボウッとしていた。
レイフォンはそんななのはを不思議に思った。

「どうしたの? なのは」
「えっと・・・今、声が聞こえた気が・・・」
「なんて?」
「うん・・・夢で聞いた声と同じ声が、同じ事を言ってた」

なのはの言葉にレイフォンは、アノ小動物を疑ってみる事にした。
自分は一度大事な家族を壊してしまった、だからこそ今度は絶対に守ると決めていた。

(それに・・・あれは人間の(気)だ動物のモノではない)

日常で修行をしているレイフォンは、そんな細かいことが判断出来る様になっていた。
勿論、適度な休憩を挟みながらでは有る。
四人はアリサの車で近くの動物病院に行き、小動物(フェレット?)の容態を見て貰った。

「軽い怪我と、疲労に寄るものね。二、三日入院すれば良くなるわ」
「良かった~」
「ひとまず、安心だね」

フェレットの容態が問題ないと分かって三人は安心していたが、レイフォンはフェレットがなのはを見ていたことが気になった。

(こいつ、何を企んでいる?)

警戒するレイフォンを余所に、なのは達は誰が飼うか等を話し合っていた。

「じゃあ、おとーさんとおかあさんに聞いて見るね?」

なのは達の話は終わった様で、一先ずその場で解散となった。
家に帰るなり、なのはは桃子達に交渉を開始し始めた。どうやら、いろいろな条件付きで許可が下りた様だ。

(取りあえず、あいつの正体を探るのが先だな・・・)

レイフォンはアノフェレットが敵かどうかを、自分の手で見極めようと思った。
しかし、その夜に直ぐ事件は起きた。

(これは、なのは?)

なのはの(気)が外へと向かったのが分かった。

(父さん達も気がついてる・・・僕が行くか)

玄関まで来た士郎達に合図を送り、レイフォンはなのはの後を追った。
ある程度離れながらも、見失わない様になのはの後を追うレイフォン。

(この道は・・・)

なのはが向かっているのが、どうやら今日行った動物病院であると分かった。

(やっぱり、あのフェレットか!?)

レイフォンの怒りのボルテージが上がる中、なのはは病院の中に入っていった。
現場に付くと、なのはは何かの杖みたいな物を持っており服も変わっていた。そして、何だかモヤみたいな物と対峙していた。

(それに、この力は?)

なにやら霧みたいなモノの攻撃を、光る盾の様なモノで防ぐなのは

「クラウソラス展開」
<イエス、マイロード>

レイフォンの手には一降りの刀が現れ、再びなのはに攻撃しようとするモヤに向かって構えた。

「一刀の元に切り捨てる!!」
 
レイフォンは体中に(気)を込めて、全てを解き放った。
なのはもフェレットも何も見えなかっただろう。有ったのはレイフォンの後ろ姿と、宙に浮かぶ青い宝石のようなモノだけだった。

「なのは、封印して!!」
「う・・・うん! ジュエルシード封印!!」
<sealing mode setup>

杖の言葉と共に、形が変わった、。

<sealing>

青い宝石は、なのはの杖の中に吸い込まれていった。

<receipt namber XXI>

何が起きているか分からないレイフォンだったが、フェレットもどきが人語を話していたのを見て確信した。

「さて、色々と話して貰うよ? みんなの前で」

ニッコリと笑うレイフォンの放つプレッシャーに、なのはとフェレットもどきはただガタガタ震えるばかりだった。
こうして、一つの宝石を巡る物語は幕を開けた。









後書きという名の反省会 

思ったより進まなかった・・・
レイフォンがすんなりと色々しゃべったのは、士郎&桃子の強引な説得により色々と楽になったのと心が体に引きずられて、少し幼くなっている所為だと・・・思ってください、お願いします。
次は、どうなるかな? 正直、分かりません・・・



[22340] 其の五 GO!GO! 海鳴町
Name: ヴァリスタ◆3a3e8768 E-MAIL ID:32993f96
Date: 2010/10/23 01:54
「さて、コレはどういう事なんだ?」

高町家の玄関で、士郎、桃子、恭也、美由希がなのはとレイフォンの帰りを出迎えた。

「事情は、道場へ行ってから話すよ」

レイフォンはなのはの肩にいるフェレットを掴むと、道場の方へ歩き出した。

「待ってよ~お兄ちゃん」

なのはは慌ててレイフォンの後を追っかける。

「・・・どういう事かな?」
「さあ・・・」
「行ってみようか」

残された人達は、レイフォンの後を追っかける事にした。
レイフォンの事は勿論、なのはが無断で夜遅くに出掛ける事がいまいち納得できていなかった為、その理由をレイフォンが知っていると判断したからだ。
道場へ入ると、レイフォンは立ったままでフェレットを手にぶら下げていた。

「じゃあ、僕が知っている限りの事を説明するよ」

そう言ってレイフォンは、自分が見たことを全て話した。
それと同時に、なのはとフェレットに視線が集中する。

「なのは・・・そんな危険な事をやっているのか?」
「へーっ、しゃべるフェレットなんて面白いかも」
「テレビに取材をして貰えるんじゃない?」

高町家の人々はそんな呑気な事を言っていたが、次のレイフォンの言葉に表情が変わる。

「ちなみに、こいつは人間です。(気)の流れが、動物の者では無く、完全に人間のそれでした。ずっとこうして掴んでいるのは(気)を流し込んで、肉体を活性させる為です。 ・・・そろそろ、元に戻れるだろ?」
「・・・そうみたいだ」

次の瞬間、フェレットが金髪の少年になったことには 流石にレイフォンを除く全員が驚いた。

「え~っ!? ユーの君って、男の子だったの!?」
「うん・・・ごめん、なのは。騙すつもりじゃ無かったんだけど、怪我の影響でこの姿に戻れなかったんだ・・・」
「・・・では、君の事情を聞かせてくれるな?」

今まで口を挟まなかった士郎が、やっと口を開いた。

「はい・・・事の起こりは・・・」

ユーのは全ての事を話した。自分の一族の事、どうしてこんな事になったか、これからどうしようかを、全て包み隠さず。
全てを聞き終えた士郎は、こう言った。

「無茶だな。余りにも、無謀すぎる。それは、君が責任を取る必要が有るのか? そもそも、一人でやってそんな状態なのに全部集める事が出来るのか? 協力して貰う相手を探すべきだ」
「駄目よ、一人で抱え込んでも何も解決しないわ。家の子は強いから、家の子を使っても良いわよ」

桃子はレイフォンを見ながら、そう言った。
高町家の家族はレイフォンが(気)と呼ばれる力を使えるのを知っていて、既に教えて貰っていた。ちなみに一番習得が早かったのがレンで、次に士郎、恭也、美由希、晶だったりする。

「・・・君の事情は分かった。最初は、君がなのはに何か危険な事をやらせようと企んでいると思った。僕にとってはこの家が、この家族が守るべき全てだから・・・頭に血が上りすぎた、ごめん」

レイフォンは、ユーノに対する扱いを素直に詫びた。具体的には、体が潰れない程度に強く握ったり、本来治療に流すよりも過剰な(気)を送り込んだりだった。
過剰に流されると、体中が悲鳴を上げて痛みを伴うのだ。

「・・・まぁ、しょうがないよ。疑われても仕方のないことだしね、仮の姿をしている時点で怪しい事には違いないから。 ・・・でも、正直死ぬかと思った」
「・・・それは、本当にごめん・・・」

実際、凄く痛かったのだろうユーノの笑顔に凄みが有った。レイフォンは、唯ひたすら謝った。
レイフォンは自分が敏感になりすぎていると、ユーノの事で少しだけ理解した。

「・・・所で、なのははどうなるんだ?」

恭也の疑問は最もだった。桃子はレイフォンがユーノと一緒に行動するのは認めたが、なのはに関しては何も言っていなかった。

「僕としては、なのはの協力は是非お願いしたいんですが・・・」
「なのはは、どうしたいの?」

桃子が、なのはに問う。
桃子の問いに暫く考え込んだなのはは、しっかりと口を開いた。

「私も、ユーノ君のお手伝いをしたい。私にも出来ることが有るなら、私も力になってあげたい」

なのはの力強い言葉に、なのはらしいと納得する高町家と感謝するユーノ。

「じゃあ、問題はなのはをどうやって鍛えるかと、他にもやる事が有るのか・・・かな?


レイフォンはユーノを見ながら、課題を挙げてみた。

「魔法に関しては、僕とレイジングハートが受け持つよ。戦闘は、レイフォンに任せるよ。他にも体力を上げたりとかがあるけど・・・」
「じゃあ、基礎訓練や体力作りは俺たちがメニューを作りそれをやろう。俺たちも、レイフォンに(気)の扱いを、習っている所だし丁度、良いかもな?」

なのはを見ながら、士郎は意味深げに言う。
なのはは照れたのを隠す様に明後日を向くが、顔の赤さは消せない。
レイフォンはなのは、何か嬉しい事でも有ったのかな?位にしか思っていなかった。

「では、明日からなのはも早起きして訓練に参加だな」
「うう~っ・・・分かりました~・・・」

体力もなく、レイジングハートを上手く扱えないなのはは頷くしかなっかた。

「じゃあ、今日はここまでだ。なのは、明日起きられない様だったら、レイフォンを迎えに出すからな」
「にゃ!? そんなの駄目!! 絶対に起きるから!!」
「・・・まぁ、頑張ってなのは」
「じゃあ、ユーノは僕の部屋で」
「ありがとう」
「じゃあ、おやすみ~」

取りあえずこの場は解散し、明日に備えた。
結論から言うと、なのはは遅刻した。故に、レイフォンに起こされ二重の意味で赤面し、士郎を恨んだ。

「じゃあ、出発するぞ」

なのはの視線を受け流し士郎の言葉と共に、全員が走り出した。勿論、なのはのスピードに併せて走った。
いつもより時間が掛かったが、鍛錬場に到着した。

「じゃあ、始めるか」

美由希と恭也が打ち合い、士郎とレイフォンは(気)の鍛錬を開始し、なのははレイジングハートとユーノによる魔法のレッスンが始まった。
それが一通り終わったら、レイフォンとなのはの戦闘訓練に入った。

「なのはに足りないのは、戦闘という行為の経験値だ。それをレイフォンと模擬戦をして、それで実戦に慣れて貰うしかない」

士郎の言葉道理、レイフォンはありとあらゆる距離から攻撃を仕掛け、なのはを圧倒した。取りあえず、実戦の空気に慣れる事を想定しての事だった。
恭也と美由希は(気)を扱う訓練のためコレには参加しない。

「ううー・・・酷いよ、お兄ちゃん・・・」
「ごめん、少しやり過ぎた・・・」

へばったなのはをおんぶし、レイフォンはやり過ぎた事を反省した。
レイフォンの攻撃により、シールドを張り続けていたなのはは魔力切れを起こしていた。

「お兄ちゃん、コレのお詫びに今日こそ一緒に寝て貰うからね」
「・・・分かったよ、なのは」
「やったー!!」

喜ぶなのは見ながら、レイフォンは静かに溜息を付いた。
家に帰り、学校のある人達は学校に。士郎と桃子は翠屋に向かった。
レイフォンとユーノはと言うと・・・

「で、ここが海鳴駅で、あそこが・・・」

ユーノの為に、町を案内していた。
ジュエルシードを集めるにも、町の地理を知っておくのは重要だと士郎のアドバイスを貰ったからだ。

「大体は把握したよ。今日は帰ろうか」
「そうしよう・・・」

そう言いかけたレイフォンは、直ぐ近くに弱々しい(気)を感じた。

「・・・気になる事があるんだ、一緒に来て」

レイフォンはユーノにそう告げると、走り出した。慌ててユーノもそれについて行く。
直ぐ近くの公園のベンチに、少しぐったりした様子の金髪の少女が居た。

「どうしたの? 大丈夫?」

レイフォンがそう声を掛けると、少女は赤い瞳を向けると。

「・・・おなかすいた・・・」

と、一言だけ言った。

「じゃあ、翠屋へ行こう。あそこなら、何とかなる」

レイフォンはそう言って、少女に背を向けて乗る様に促す。
最初は警戒していた少女も、空腹で思考能力が低下したのか直ぐに背中に乗ってきた。

「ユーノは、桃子さんに直ぐに何かを用意して貰って」
「分かった」

ユーノは一足先に、翠屋へ向かった。

「じゃあ、行くよ」

レイフォンは背中の少女にそう告げると、揺らさない様に走り出した。
十分程度で翠屋に付くと、既に簡単な料理が用意されていた。

「レイ、その子アレルギーとかはないの?」
「何か、食べちゃ駄目なモノとか有る?」

レイフォンは背中の少女に聞くが、首を横に振るだけだった。

「大丈夫みたい」
「じゃあ、奥に座って。レイとユーノ君のも用意してあるから」

奥の席に行くと、三人分が用意されていた。
席に着くと、直ぐに三人共食べる体勢に入った。

「いただきます」
「いただきます」
「・・・」

少女だけ無言だったが、手は合わせていた。
お腹が空いていた三人はあっという間に食事を済ませた、そして少女は直ぐに帰る様だ。
お腹が膨れて思考能力も正常になったのか、少女は恥ずかしそうだった。

「あ・・・あの、その・・・ありがとう」

それだけを言い残し、慌ただしく店を出て行った。

「何だったんだろう?」
「さあ?」

そう言うしかない、残された二人だった。
二人は家に戻り、ノンビリと過ごしていたが突然電話が鳴り出した。
レイフォンは普通に出たが、相手のなのはがもの凄く取り乱していた。

「ちょ・・・なのは、落ち着いて!! どうしたの?」

なのはの説明を聞く限り、どうやらすずかとアリサが家に帰らないらしい。
しかも、執事兼運転手の人が二人は掠われたと証言した・・・と。
それを聞いたレイフォンは、直ぐに動いた。

「クラウソラス、二人の(気)を探す」
<ハイハイ・・・見つけたわ>

どうやら、町外れの辺りらしい。

「二人は大事な友達だ、絶対に守る!!」
「僕も、手伝う!!」

ユーノが力強く言ったのを聞いて、レイフォンは一瞬目をつむり。

「一緒に行こう!!」

そう言った。

「じゃあ僕は、サーチを掛けながら結界を張るよ。コレで何が有っても、物は壊れないから」

ユーノは結界を張り、フェレットの姿になってレイフォンの肩に乗った。

「行くよ」
「うん」

その言葉を残し、二人は風になった。



「へっへっへっ、誰も助けに何かこねーよ」
「イヤッ!! 離しなさいよ!!」
「アリサちゃん!!」
「次は、君の番だからね~」

二人の少女に群がる男共。とても見にくい面をした連中が、アリサを力ずくで押さえつけていた。

「さあ・・・お楽しみと・・・」

そう言いかけたとき、男は体が横に回転して壁に激突した。

「へ?」

間抜けな声を上げる男共。
次々と、縦に飛んで天井にぶつかり落ちる者、窓を突き破る者、など一人また一人と消えていった。

「何なんだよ!! 一体何が起きてるんだよ!!」

男がすずかを人質にしようとした瞬間、目の前に突如刀を持った少年が現れた。

「お前で最後だ」
「ち・・・ちくしょう!!」

銃を取り出そうとするも、突然全身の感覚がなくなった。

「(気)の流れを狂わせたから、もう二度とこんな真似は出来ないよ」

それを聞いた男の意識は、ぷつりと途絶えた。

「・・・もう大丈夫。悪い奴らは、居ないよ」

レイフォンは出来るだけ笑顔で、アリサとすずかを安心させる様に優しい声を掛けた。

「来るのが、遅いのよ!!」
「こ・・・怖かったです!!」

二人はレイフォンに抱きつき、泣き出した。

(しばらくは、このままかな・・・)
<役得ですね、マイロード>
(うるさい)

「レイフォン、魔法で全員縛り付けたよ」
「じゃあ、物理的に縛るのも頼む。魔法は、何かと不味いだろ?」
「そうだね、それもやっておくよ」
「・・・頼んだ」

動けないレイフォンを見て、ユーノは苦笑しながら出て行った。
こうして、アリサもすずかも無事に家に帰る事が出来た。勿論、男共は警察に付きだした。
月村家でお礼と称したパーティーに招かれ大騒ぎした帰り、一人で歩いて帰る事を選んだレイフォンはあの少女が居た公園の前に来たので何となく入ってみた。
すると、そこには際どい衣黒の装と、マントを羽織ったあの少女が月明かりの下佇んでいた。

「・・・君は?」
「昼間は有り難う。私は、フェイト・テスタロッサ。貴方は?」
「レイフォン。アルセイフ」

月明かりの下、二人は再び出会った。





後書きという名の反省会

其の五を上げる事が出来ました。
色々為になる意見なら、いくらでもお願いします。
所々修正などをしながら、良い方向に持って行きたいと考え手おります。
今後とも、よろしくお付き合いください。


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