石井町で体が不自由な妻を夫が自宅で殺害した事件で、殺人容疑で逮捕された同町高川原、運送会社契約社員、武知秀明容疑者(57)が、妻の同意を得た上で殺害し、自殺を図ろうとしていたことが分かった。徳島地検は22日、武知容疑者を、承諾殺人罪に罪名変更した上で徳島地裁に起訴した。
起訴状によると、武知被告は、借金で生活に困り、将来を悲観して妻の泰子さん(当時57歳)と心中することを決め、就寝中の泰子さんの承諾を得て、今月1日、自宅で殺害したとしている。
捜査関係者によると、武知被告は「自分も死のうと思った。睡眠薬を飲んだ」などと供述しているという。罪名変更について、地検は「被告の供述を裏付ける客観的証拠があった」としている。
また、契約社員だった武知被告は、妻の障害者年金を合わせても月十数万円ほどの収入しかなく、数百万円に上る借金があったという。事件に至った背景には、生活苦があったとみられる。
泰子さんは約5年前に脳梗塞(こうそく)を患い、ほぼ寝たきりの状態になったという。武知被告が献身的に介護する様子も近所の人に目撃されていた。【山本健太】
毎日新聞 2010年10月23日 地方版