戦時中の中国人強制連行を伝える石碑の除幕式が23日、労働現場だった広島県安芸太田町の安野発電所であった。賠償訴訟をめぐる西松建設(東京)と中国人元労働者との和解成立から1年の節目に、出席者は苦難の歴史を胸に刻んだ。
「安野中国人受難之碑」(高さ3・6メートル)。元労働者や遺族、西松建設の代理人弁護士たちで構成する「西松安野友好基金運営委員会」が和解条項に基づき建てた。碑文には、日本語と中国語で強制労働や訴訟の歩みと、連行された360人の名前を記した。
除幕式には、中国から来日した元労働者や遺族ら約120人が出席した。元労働者の邵義誠(しょうぎせい)さん(85)=中国・天津市=は「正義や人間の尊厳のために勝ち取った成果。日中友好への貢献を心から希望する」と述べた。
出席者は二胡の演奏に合わせて献花し冥福を祈った。西松建設の記録によると、1944年に中国・山東省から360人を強制連行、発電所建設工事に従事させ、29人が死亡したとされる。
【写真説明】除幕された石碑に献花して冥福を祈る遺族たち
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