現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. 北米
  5. 記事

イラク戦争、市民の死者は6万人超 機密暴露サイト公表

2010年10月23日11時43分

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 【ロンドン=伊東和貴】民間ウェブサイト「ウィキリークス」が22日、イラク戦争を巡る米軍などの機密文書約40万件を公表した。事前に情報提供を受けていた米英メディアは電子版で、市民の死者数は民間団体の集計より1万5千人多く、米軍がイラク当局による拷問を黙認していたと報じた。

 米英両国はこれまで、死者数の公式な統計はないと主張してきた。米国政府は「米兵の命を危険にさらす」と機密の暴露を非難している。ただ、中東の衛星テレビ、アルジャジーラが文書の内容を報じるなど波紋が広がっており、米国のイラク政策に対する批判が高まる可能性がある。

 公表されたのは、2004〜09年の文書39万1832件。この間のイラク戦争の死者は約10万9千人で、約6万6千人が民間人だったとしている。イラク戦争の民間人死者数を数えているNGO「イラク・ボディー・カウント」は「これまでの記録より約1万5千人多い」と指摘した。

 また英ガーディアン紙の電子版は、文書が「米軍がイラク警察と軍による何百件もの虐待、拷問、強姦(ごうかん)、殺人の報告を調査しなかった」ことを詳述していると説明。手足を縛られ、殴打やムチ打ち、電気ショックを受けるなどして6人の囚人が死亡した▽12人のイラク兵が囚人を通りに連れ出して射殺するビデオが米軍に渡されていた――などの事例を紹介した。

 ウィキリークスは7月にアフガニスタン戦争を巡る米軍などの機密情報を公表。個人名の公開が人命を危険にさらすと批判を受けた。このため今回は、報復に発展しそうな文書からは名前を削除したという。

 一方、やはり情報提供を受けていた米ニューヨーク・タイムズ紙は電子版で、米兵が拷問を止めようとした事例も紹介。「人命を危険にさらす文書は改訂するか公開を控えた」とし、米政権に配慮をみせた。このほか、仏ルモンド紙、独シュピーゲル誌も事前に情報提供を受けた。

     ◇

 〈ウィキリークス〉 各国の機密や企業の秘密情報を暴露する民間ウェブサイト。元ハッカーのジュリアン・アサンジュ氏が、欧米のジャーナリストや中国反体制活動家らと2006年に創設。7月にアフガン戦争を巡る米軍などの機密文書を公開した。資金の大半は寄付。事務所を構えず、数人の常勤者と約1200人とされるボランティアで運営する。

PR情報
検索フォーム

おすすめリンク

2GBまでは無料! 話題のオンラインストレージサービスを完全解説

若者が「ネット商法」の餌食になるケースが後を絶たない。怪しいビジネスの傾向と対策。

成長アジアの先頭を走る中国の水問題を探り、水危機に対する日本の貢献策を考える。


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介
  • 中国特集