【ワシントン古本陽荘】内部告発文書をインターネット上で公開する民間ウェブサイト「ウィキリークス」は22日、イラク戦争に関する秘密文書約40万件を公開した。事前に文書の提供を受けた英ガーディアン紙によると、これまで明らかになっていない民間人犠牲者が1万5000人以上いることなどが文書から判明した。
イラク戦争の民間人犠牲者について、非政府組織「イラク・ボディー・カウント」(本部英ロンドン)は9万7000~10万6000人超などとしているが、今回明らかになったのはこれら以外の新たな犠牲者とみられる。
同紙の分析によると、イラク軍や警察当局により組織的に行われていた拷問や強姦(ごうかん)など数百件の事案について、米政府は情報を得ながらも放置していた。むち打ちや電気ショックなどによる拷問で、容疑者が死亡したことを報告する電報も6件見つかった。
また、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」も22日、米軍の検問所で民間人数百人が殺害されていたことなどを報じ、「驚くべき新事実」とした。
一方、米ニューヨーク・タイムズ紙は、イラクの武装勢力指導者がイラン革命防衛隊とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラによって訓練されたことを示す公電があったと報じた。
米国防総省のモレル報道官は記者団に、「許可なく秘密情報を公開したことを強く非難する」と語ったうえで、「流出したのは観察に基づく生情報にすぎず、全体の状況を説明するものではない」と強調した。
ウィキリークスは今年7月、アフガニスタン戦争に関する秘密文書約7万5000件を公開。米捜査当局は、別の情報流出事件で拘束されている情報担当の陸軍上等兵がすべてに関与したとみて調べている。
毎日新聞 2010年10月23日 10時40分(最終更新 10月23日 12時53分)