釣り竿使って２階ベランダから下着ドロ

　釣りザオを使った下着ドロが現行犯で逮捕された。兵庫県警神戸西署は２１日未明、約４メートルのサオを巧みに操って、２階のベランダにつるしてあった洗濯物から女性用パンティーを引っ掛けて奪ったとして窃盗容疑で５４歳の男を逮捕した。男はパンティーをハリに掛けることには成功したが、一部始終を家人に見られ“フィッシング”に熱中している最中に取り押さえられてしまった。

　寝静まった神戸市西区の住宅街。全身黒ずくめの男が２階のベランダを見回しながら、何かを物色していた。手にはつえのような１メートル前後の棒状のものを握っていた。目的の“何か”を見つけたのか、男は棒状のものをヒュンッ、と振ると、瞬時に４・３メートルまで伸ばした。振り出し式の釣りザオだった。サオ先には１０センチほどの糸をきつく結びつけ、４本のイカリ型のカットウバリを装着していた。

　男は器用にサオを操って、アパートの２階ベランダまで伸ばした。そこにはヒラヒラと揺らめく女性用の下着が…。女性用パンティーにしっかりとハリを引っ掛けた。確かな手応えを得た男は“フィッシング”に夢中になるあまりに背後の気配に気付かなかった。

　この犯行の一部始終は見られていた。部屋の住人で、下着の持ち主の女性（２１）の夫（２６）が、風もないのにガサガサする異様な物音を察知した。２１日午前０時半ごろのことだった。ベランダを見ると、ハリのぶら下がったサオ先が見えた。海までは約５キロ離れており、近所でサオを見ることはなかった。こっそり階下を見ると、上下黒い服の男が必死の形相でサオを操り、パンティーを捕獲しようとしていた。

　静かに階段を下りると、男はちょうど妻のパンティーをフッキング（ハリ掛かり）したところだった。直後、背後から押さえ込んで、すぐ通報し、駆けつけた警察官に引き渡した。

　窃盗の疑いで現行犯逮捕された男は、神戸市西区に住む新聞配達の見習い樋口弘二容疑者。この周辺では深夜に女性用下着が盗まれる被害があり、樋口容疑者の慣れた手口から、捜査関係者は「リールは所持しておらず、サオは魚ではなく最初から下着を盗む目的で用意したようだ。余罪があるとみて、みっちりと取り調べる予定です」と話している。

　［2010年10月22日8時31分　紙面から］