経費でっち上げ…ニューハーフ美容研究家を脱税で告発

記者会見する化粧品会社「トリプルサン」の岡江美希社長 Photo By 共同

　テレビ番組などで活躍しているニューハーフの美容研究家が２２日までに法人税法違反容疑で東京国税局から告発された。東京都港区の化粧品会社「トリプルサン」を経営する岡江美希社長（３８）＝本名多田美希＝で、架空経費を計上する手口で法人税約１億７０００万円を脱税した疑い。岡江社長は自ら通販番組などに出演し０５年以降、急速に業績を伸ばしていた。

　岡江社長は２２日、同社で記者会見し「脱税したのは事実」と認めた。グレーのジャケットに黒のスカート姿。「女性の夢をクリエートする化粧品の仕事を生業としながら、このようなことになり深く反省しています。多くの（化粧品）愛用者の女性におわび申し上げます」と謝罪した。すでに修正申告したという。

　自ら広告塔としてテレビの通販番組に出演し、ショップチャンネルのカリスマの異名を取る。クッキングペーパーやオリーブオイルといった身近なものを使った美容法と併せて自社製品を紹介して宣伝。美ぼうも話題となり、情報番組やバラエティー番組などで取り上げられるほどにもなった。これに伴って業績も伸び、売上高は０５年の約５０００万円から昨年には約１２億円と急成長していた。

　岡江社長は１８歳のときに故郷の兵庫県を離れ、女性として生きることを決意。女優の岡江久美子（５４）にあこがれて「岡江」を名乗り、ダンサーなどを経て、２２歳で性転換手術を受けた。

　９６年にトリプルサンを設立し、医師と協力してオリジナル化粧品を開発。０５年１１月から通販番組に出演し始めた。「美人肌のヒミツ」（幻冬舎）など著書も多数で、自身を「美の伝道師」と呼んでいた。フジテレビの朝の情報番組「スパイスＴＶ　どーも☆キニナル！」（３月で終了）ではコメンテーターも務めていた。

　今後、会社経営を続けるかは検討中。会見の最後には「私はニューハーフ。何があってもこの道で生きていくしかない。美に対する私の気持ちを受け止めて見守ってほしい」と呼びかけたが、通販番組で示してきたような説得力はなかった。

[ 2010年10月23日 ]