阪神・下柳も被害…「伝説のすり金さん」逮捕

　ＪＲ特急車内で乗客から財布を盗んだとして警視庁鉄道警察隊は２２日までに、窃盗の疑いで韓国籍の住所不定、無職金寿一（きん・じゅいち）容疑者（８２）を現行犯逮捕した。金容疑者はこの道５０年以上の大ベテランで、捜査員の間では「伝説のブランコすり　金さん」として知られた存在だった。

　電車内でフックに掛けた上着から、財布を抜き取り現金を盗む「伝説のブランコすり　金さん」。調べに対し容疑を認め、「すりは商いだ」などと懲りない様子で話しているという。

　逮捕容疑は２０日午前１１時５０分ごろ、ＪＲ東京駅９番線に停車中の特急「踊り子」の車内で、静岡県の男性会社員（６０）が壁のフックに掛けていた背広の内ポケットから、４万円が入った財布を抜き取った疑い。

　秋の行楽シーズンで特急車内には鉄道警察隊員が警戒中。そうとは知らない金容疑者は、捜査員と同じ電車へ。有名人だけあり、あっという間に御用となってしまった。生活費に困り、以前すりをしたことがある東京駅に来ていたという。

　同隊によると、金容疑者はブランコすりが流行していた約５０年前から同様の行為を繰り返していたことから「伝説の男」と呼ばれるようになったが、捜査関係者も「かなり古い手口なんだけどなぁ…」と半ばあきれた様子だった。

　金容疑者は９６年、停車中の新幹線車内から、阪神の下柳剛投手（当時日本ハム）の上着から現金約１９万円入りの財布などを抜き取ったとして、警視庁鉄道警察隊に現行犯逮捕されている。下柳は窓際のフックに背広を掛けており、上着はまさに“ブランコ”状態だった。また、逮捕歴はこれまで２０回以上、０６年には名古屋駅に停車中の特急車内で現行犯逮捕されており「刑務所を出たり入ったりの常習犯」（警視庁）だった。

[ 2010年10月23日 ]