11月19日(水),平成20年度実施 身体に障害のある人を対象とした「兵庫県職員採用選考試験[事務職(初級)]」を実施した際,女性受験者が受験書類に「介助犬同伴」と記して応募したところ,採用担当の職員課から「犬を連れてくるなら試験中は別室で預かる」との連絡があり,介助犬の役割を説明しても受け入れられなかったという(毎日新聞12/12)。
受験したのは,車いすで介助犬と暮らす同県宝塚市の女性(26)で,介助犬は身体障害者の代わりに物を拾うなどの介助動作をし,用がなければ静かに待つよう訓練されている。公共施設への介助犬同伴受入れは身体障害者補助犬法(平成15年施行)で義務づけられており,同法を所管する厚生労働省も「法的に不適切な措置で,残念な行為」と指摘している。
試験は教養試験,論文試験,口述試験が午前,午後に分かれて実施された。女性は,「介助犬は常に一緒にいる存在で離れるのはとても不安だった。長い時間,他人に預けて世話が行き届くかもわからず,自宅に置いて受験するしかなかった」と話す。
職員課は毎日新聞の取材に「犬嫌いやアレルギーの人がいる可能性もある」などと釈明したそうだが,同じ県の障害者支援課は「職員課の身体障害者補助犬法への認識不足があった。配慮が欠けていた」と過失を認めたうえで,「犬アレルギーの人がいれば,使用者に介助犬同伴で別室で受験してもらうなどの措置をとれたはずだ」と指摘した。
結果は不合格。今回の不祥事は当日の緊急対応ではなく,事前に受験書類を審査した段階で職員課から障害者支援課へアドバイスを求め,適切な措置がとれる時間的な余裕は十分あったはず。受験された女性にはなんとも気の毒な話だが,この選考試験は30歳まで受験できる。捲土重来を期して,ぜひもう一度,チャレンジしていただきたいと願うばかりだ。
《For Reference》
◆身体障害者補助犬法◆
http://www.knots.or.jp/law/law5.htm
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