「身体障害者補助犬のことをもっと知ろう!」セミナー〜るんば (2003.9.26) 愛犬のサークルの方からセミナーがあるよと教えていただき参加してみました。 身体障害者補助犬というのは、盲導犬、介助犬、聴導犬を指します。 この法律は昨年の10月1日に施行され、公共の施設や交通機関に補助犬が同伴できるようなるというものです。さらに今年の10月1日から民間のデパートやスーパー、ホテル、飲食店などにも同伴できるようになるそうです。もちろん、お店側も入店の拒否はできないこととなります。現段階では、受け入れてもらう事を目的として、受け入れ拒否による罰則既定はないそうです。 今までは道路交通法で認められていた盲動犬のみが同伴を許可され、介助犬や聴導犬は法的に守られていなかったために、公共交通機関や施設も自由に使用できずに大変困っていたそうです。1組のペアごとに機関利用のためのテストを受けて認定をもらう必要があったとか・・・介助犬使用者の木村さんと介助犬シンシアの頑張りでこの法律を作る事が出来たのだそうです。法律だから仕方なく受け入れるのではなく、あたたかい目で受け入れていってほしいそうです。 ★詳しくはこちらのHPを参考にしてください。 身体障害者補助犬法のホームページ これからは補助犬を連れたすべての障害者の方を社会全体で受け入れていこうということで、沢山の百貨店や旅館、飲食店やタクシー関係者の方、行政、一般の方などが来ていました。 講演は右側では手話による解説、左側には大きなスクリーンに大きな見やすい文字で同時タイピングにより講演内容が打ち出されるという工夫が凝らされており、障害者の方が講演を聞けるように配慮されていてとても感心しました。 基調講演 「身体障害者補助犬法の意義とは何か?」 静岡県立短期大学社会福祉学科教授 増田樹郎先生 コミュニカント=コミュニケートする人という意味での補助犬〜補助犬は人と人をつなぐプレゼントという意味づけがあるというお話でした。 カナダでは、身体障害者とは何かが出来ない人というのではなく、社会参加したくても活動や参加が制限されたり、自立しようにも様々なバリアがあって妨げられてしまっているという考え方があるそうです。それが今後の課題なのだそうです。 人間というのは、自分らしく生活を作り上げ、地域の中や人との交わりの中で生きがいを感じて暮らしていくもの。だからこそ、身体障害者の方が自由に社会参加できるような社会を作っていく事が大切とのことでした。 社会参加できることで得られるメリットは、生活の便利さの向上(活動性)、安心感、人間関係の広がりなどがあげられるそうです。それを実現するためには、お互いの理解を広げることが大切で、この身体障害者補助犬法を契機に考えられないか・・とおっしゃっていました。 今後も受け入れ拒否があるかもしれませんが、それは法律、知識、理解、障害とは何かという学習が不十分なために起こるのであり、補助犬がそのきっかけを作ったり、気づかせてくれることにつながるかもしれないということでした。 シンポジウム <シンポジニスト> (財)アイメイト協会代表専務理事 ・・・・・・・・・・・・塩屋 隆男さん NPO法人日本介助犬アカデミー専務理事・・・・・・・高柳 友子さん (社)静岡県獣医師会理事・・・・・・・・・・・・・・・・・・山田 有仁さん オークラアクトシティホテル浜松マーケティング部セールス課長代理 ・・・良知 正則さん 盲導犬使用者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・久保田 道子さん 先ほどの基調講演の増田先生がコーディネーターで色々なお話を聞くことが出来ました。 ★盲導犬使用者〜久保田さん 久保田さんは失明してから13年目、盲導犬リリーが来てから7年目を迎えるそうです。失明してからもリリーが来てからは人間関係に広がりが出来たそうです。今は以前よりずっと盲導犬をあたたかく迎えてくれるようになり、社会全体が変わってきたことを感じているそうです。 そのような中困る事は、まだ珍しがられて囲まれてしまったり、急に声をかけられて驚いたり、リリーの頭を触られたり、犬が嫌いな方に大声で驚かれることだそうです。目が見えない久保田さんにとって、自分の思いもよらない所から声が急にしたり、リリーを勝手に触られることは事故につながる危ない行為だと思いました。周囲の人の何気ない対応が仕事中のリリーの気を散らしてしまうからです。 視覚障害者の方は例え点字で表示されているとしても表示場所がわからない場合があるので、できれば店員さんから声をかけてほしいそうです。 仕事中の補助犬に声をかけたり、触ったり、食べ物を与えてはならないことを知らない方もまだ多いそうで、犬にではなく使用者の方にきちんとあいさつするのがマナーであることも理解してほしいそうです。 久保田さんは、まだ「盲導犬といっても犬は犬だから・・」と言われてしまうことがとても残念で、リリーは自分の目であり、自分の一部であることを理解していただきたいですとお話していました。 ★(財)アイメイト協会代表〜塩屋さん 1957年、国産第一号の盲導犬のペアが誕生したそうです。現在は887組のペアがいるそうです。 視覚障害者の方と盲導犬のペアを育てるということは、犬の訓練と同時に視覚障害者の方に教える事。犬の方に視点が行きすぎてしまって困ったなあ・・とおしゃっていました。 この法律の理念は、身体障害者であることを理由に立ち入りを拒否してはいけないということ。だから犬を受け入れる事をどうするかではなく、犬は使用者の方に任せればいいのだから、人の方に視点を置いてほしいそうです。 使用者の方が安全に盲導犬と歩けるようになるまでには、4週間もの厳しい指導を受けるそうです。訓練中に歩く距離はなんと120キロにも及び、犬の手当て、健康管理、排泄物の処理など色々な事を学ぶのだそうです。犬を扱う適性も考慮されるので、時には途中でお帰りいただく場合もあるそうです。 現在、国内には盲導犬団体は9団体あり、それぞれ基準も違い、ポリシー、訓練法、結果も違ってくるそうです。 万が一トラブルがあった場合は、使用者ご本人、盲導犬の協会に責任を持たせ、盲導犬の受け入れを一切やめようと全体をしばることのないようにしてほしいとのことでした。 最後に、犬とコミュニケーションをとるのに大切な事は、心から誉める事、毅然としかることとおしゃっていました。感情的に怒る事とは違う、しかるということと、何より心から誉めることだそうです。 ★NPO法人日本介助犬アカデミー〜高柳先生 高柳先生は人の内科、リハビリ、感染症の医師です。現在は介助犬の啓発にも力を入れていらっしゃるそうです。 医師の立場から言うと、人間は死ぬまでには必ず体のどこかに障害を持つようになるので、障害者のことを他人事と考えないでほしいそうです。 人と動物の共生で一番心配される事は、汚い、感染症がうつるかもしれない、アレルギーになる、不衛生と考えられている事だそうです。特に日本では理解されにくく、衛生面で大丈夫と言えて初めて補助犬や動物との暮らしの有効性を伝える事ができるそうです。 補助犬は安全性も保証でき、健康管理もしっかりされている特別な犬。「犬だからダメ」だと拒否しないで受け入れてほしいそうです。(自分の犬と比べないで。) 何かあったら使用者に話し、補助犬全体の問題にしないことや「犬はダメ」ということは=「あなたがダメ」という言う事と同じことなのだと理解してくださいとおっしゃっていました。 犬という動物は野生動物と違い、長年人と暮らしてきた歴史の中で病気の予防管理や健康管理が確立された動物なのだそうです。、未知の病原菌を持っているような恐ろしい動物ではないとのことです。 犬から感染症をうつされるより、外出して人から風邪をうつされる確率の方が高いのだそうです。風邪をうつされることを絶対的に防げないのと同じように、何事にも絶対に防ぐということはできないことをまず理解していただいて、犬の受け入れ対しても柔軟に考えてほしいそうです。 アレルギーについて〜アレルゲンは唾液やフケと言われ、どのくらい接触したらアレルギー反応がでるかというのは、その人それぞれによって違いがあり、先ほどのお話のように絶対的に予防するのは無理なのだそうです。 ですが、密室の航空機の中で一般のお客さんと補助犬が同席しても誰かがアレルギー発作で倒れるなどのトラブルは世界的に見ても1件もないそうです。(^^;) 感染症やアレルギーも過度の接触をしずぎないようにして、触ったあとは手を洗えばそんなに怖いものではないこと、正しい知識を持って過度に反応しすぎないでほしいということでした。 <聴導犬について> ・聴覚障害者の方の耳の役割を担う。 ・介助犬、盲導犬が使用者の指示で動くに対して、聴導犬は音を感知して自発的に動き、タッチングで使用者に知らせる。 ・聴覚障害はは表向きにはわからない障害だが聴導犬を連れていればわかる。車内、館内アナウンスなどがあったばあいは筆談などで教えてあげるといいそうだ。 <介助犬について> ・手足の代わりとなる。落としてしまった物(鍵、お財布など)を拾ってくれる。ドアを開けてくれる。衣服の着脱の手助けなどをする。 ・誰もいない所で車椅子が転倒してしまった場合は、携帯電話などを持ってきてくれるので助けを呼ぶ事ができる。それまでは、誰かが来てくれるまで何時間も待つ事もあったそうだ。 ・犬の仕事の内容が個々に違う。〜使用者の方のニーズに合わせて犬を訓練する。 ★(社)静岡県獣医師会〜山田先生 獣医師の立場から言うと、動物は愛情の受け渡しが出来、人間にとって癒し、精神的支えになるのだそうです。犬はワーキングドッグとして昔から人間と生きてきた事を忘れてはならないとのことです。 補助犬が飲食店に同伴でき、周囲の人がそれをあたたかく見守る光景は社会のあたたかさを感じるそうです。 動物との共生で公衆衛生的に大丈夫かという観点では、動物由来の感染症があげられます。それよりも一般の方の意識が興味本意や商業意識で安易に動物を飼ってしまう事のほうに問題を感じるとのことでした。 補助犬に対しても同じ考え方では困るわけで、使用者の方は権利と責任を持って補助犬と暮らしていることを忘れないでほしいそうです。 権利と責任とは、使用者は獣医師のアドバイスを受けながら日常の健康と行動の管理をしていることだそうです。使用者の方が常に心がけて管理し、排泄も決まった時間にできるので、同伴した施設に迷惑をかけることはほとんどないと考えて大丈夫とのこでした。 食中毒の原因となるサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、ブドウ球菌のほとんどは調理法などの原因で発症する事が多く、動物からの報告はほとんど発見されていないそうです。 抜け毛について〜健康な人や動物には常に常住細菌という物があり、ほとんど問題はないそうです。ノミ、ダニなどが原因の皮膚炎でブドウ球菌が発生する場合もあるそうですが、使用者はしっかりケアしているはずですし、予防やシャンプーブラッシングを常に行い、同伴の場合は犬用コートを着用するなどの心遣いもしているはずなので大丈夫でしょうとのことでした。 口腔内について〜介助犬にはくわえて運ぶという動作があります。口の中も清潔に保ために、歯周病、歯石の予防、歯磨き、治療に気をつけることが必要だそうです。 口腔内には約300種類の細菌があるそうですが、それは人も犬もほぼ同じ。健康な犬のよだれは手をちゃんと洗えばほとんど問題ないそうです。手に傷がある場合や免疫力の落ちている方は気をつける必要はあるそうです。 ズーノーシスについて〜オウム病、Q熱、エキノコックス、トキソプラズマ、猫引っかき病など、情報の誇張化ばかりがされているそうです。動物ばかりを犯人扱いするのではなく、正しい知識を持つ事が大切なのだそうです。人間を含めてこの世に無菌動物というものは存在しないのだから、口うつしなどの過度の接触をしないようにしたり、手洗いに気をつけるだけで充分予防できるそうです。 基本的な健康管理、ケアの仕方、病気の予防はペットも補助犬も同じです。補助犬はペット以上にしっかりケアしなければならないと思いますとのことでした。 犬の健康管理・予防管理は私達が犬をふれあい活動につれて行く為に普段から気をつけていることと同じだなあ・・と思いました。こういったことに気をつければ、犬と室内で一緒に暮らしてもなんら問題もないのだと多くの人に知ってもらいたいと思いました。 ★ オークラアクトシティホテル浜松マーケティング部セールス課長代理〜良知さん 良知さんは、従業員の接客マナーのインストラクターとして指導にあたっておられるそうです。ホテル側でも盲導犬と使用者の方を招いてのセミナーを行い、視覚障害者の方が望むことを学んだそうです。 ホテル側、レストランでも何の問題もなく、犬の排泄にも全く心配はいらなかったそうです。スタッフの方は、レストランが混んでいるときに、犬のしっぽが通路に出ていて踏まれないか心配だったのでお知らせしたり、使用者の方がトイレのときに犬が外で「待て」しているのが大丈夫か心配だったそうです。その心配は使用者の方とお話して大丈夫だったそうです。一般のお客さまと使用者のお客さまとの関係などの心配もあったそうですが、何も問題はなかったそうです。 ホテルの方は、盲導犬と使用者の方で手間が増えたとしても面倒とは思ってはいなく、むしろ人に喜ばれることを率先して行いたいとお話ししていました。 盲導犬が地図を読めたり、部屋に案内できるのではと能力を過信していたと言うほほえましいエピソードもありました。(^^) 宿泊の時に犬の排泄場所はどこにしますかと相談する以外は、犬に気を配ることなく存在しないかのように(使用者の方がちゃんとケアできるので)、一般のお客様と同じように接客するのがマナーだと思っているそうです。お客様に積極的に色々お伺いした上で気持ち良くサービスしたいとのことでした。 シンポジニストの話し合い 車椅子の方は車椅子を室内外と変えないので、車椅子対応ができている施設、お店などは補助犬の受け入れも同じにできるでしょうとのことでした。どうしても犬にばかり目がいってしまうけれど、むしろ車椅子対応の方が先かもしれませんとのことでした。 ただ、犬の排泄場所のについては配慮したり、あらかじめ使用者の方と相談しておくといいのではないでしょうかのとのことです。汚さない使用者教育はできているので、あまり神経質になる必要もないそうです。 高柳先生〜お店側の対応としては、土足で入れるかどうか、店舗で商品をくわえても大丈夫かどうかなど、それぞれのお店で相談、対応を決めてほしいそうです。ダイエーでは、食品、衣料品は遠慮いただき、それ以外の商品なら加えてもOK。ただし、犬がくわえたものは全てお買い上げをお願いしているそうです。 対応については、ずっと最初に決めたままなのではなく、そのときのお客さんの受け止め方で変えていったり柔軟に対応してほしいそうです。 補助犬に出会った時にしてはいけないこと〜仕事中は触らない、触らなくても目を合わせたり、口音をさせて誘って注意を引いてはいけない、TVで見たからと飛んできたり、いきなり声をかけたりしてはいけないそうです。 使用者の方は「犬に触ってもいいですか?」と聞かれて断れなくて困る場合もあるので、囲まれてしまっている場合は、お店の方や第三者の方が「そっと見守ってあげてください」と声をかけてくださるととても助かるのだそうです。 補助犬を受け入れながら、失敗や過ちを少なくしつつ共有して、ぬくもりと理解しあうことを地域の中ではぐぐんでいってほしいとのことでした。 山田先生〜補助犬が健康であることが大前提。アイメイト協会で健康チェックをするなど、組織の中で支えあっていくことが大切とのことです。 久保田さん〜以前はたくさんの受け入れ拒否があって困ったそうです。新幹線で犬にトラウマがある子供だからと言われて席をたたなければならず、車掌さんに席を案内してもらえるまでずっとデッキで立っていなければならないこともあったそうです。 今は他の方が声をかけて空いている席に案内してくれるようになったそうで、社会全体が変わってきた事を感じているそうです。理解していただけるチャンスが出来て嬉しい、犬の健康管理は義務ではなく、率先してやっていきたいとおっしゃっていました。 私の感想 私自身、10月からということは知らなかったのでセミナーに行ってよかったなあと思いました。普段、街でお見かけしたときにどう接したらいいかわからなかったことを知ることが出来ました。 補助犬法ということで犬の受け入れについてや、犬にばかり視点がいってしまいがちですが、本当は犬ではなく障害者の方がより自由に社会参加できるようになるための法律なので理解してほしいとシンポジストの先生方はおっしゃっていました。 犬が苦手な方やアレルギーの方がいるからということで拒否されるケースもあるようですが、補助犬自体普段からとても健康面、衛生面に気を配っているし、訓練されてお行儀が良く、ほとんど迷惑をかけることはないと受け入れたことのあるホテル関係者の方はおっしゃっていました。 室内に入るときは犬のコートも身につけているときもあるし、待てと言ったらずっと静かに寝ているし、おトイレも決まった時間にいいよという場所できちんとできるので汚すこともないそうです。 もちろん、みだりに噛み付いたり、飛びついたり、吠えたり、粗相をしたり、いたずらなんかしません。ちゃんと訓練されているから、普通の犬のような心配は無用なのだそうです。そうですよね。お世話も使用者の方は皆ご自分できちんとできるし、受け入れ側はほとんど心配がないそうです。 介助犬使用者の方は手足が不自由な度合がお一人お一人違うので、付き添いの方に犬のケアを協力してもらっている場合があそうです。付き添いの方がそばにいなくて使用者の方からの依頼があった場合は快く協力してあげたり、困っていらっしゃるようなら「何かお手伝いしましょうか?」と聞いてみてほしいそうです。何をしたらいいかは必ず使用者の方にお伺いして、勝手に補助犬に触れたりお世話しないように・・というアドバイスでした。犬のことは使用者の方が一番よく知っているからです。 語弊があるけれど、聞き分けのないヒトのいたずら小僧さんのほうがずっと手を焼くケースもあるのではないでしょうか? 使用者の方にとって補助犬は目であり、手足であり、耳である体の一部。それを犬は置いてきなさい、入られては困る、犬は嫌いだからと拒むことは、目を置いて来い、手足を置いて来い、耳を置いて来いというのと一緒。その使用者本人の存在全体を拒むことになるんですよ・・だから思いやりをもってあたたかく受け入れてくださいというのがセミナーの主旨でした。 この法律が社会全体にもっとバリアフリーが広がることにつながるといいなあ、補助犬が障害をもった方と社会の掛け橋になってくれるといいなと思いました。 また、ステキな使用者と補助犬のペアを見て犬は汚いから苦手という偏見が減ったり、犬と暮らす一般の方のマナーもより向上していくと素晴らしいなあと思った犬バカの私なのでした。 |
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