2010年10月22日21時30分
朝日新聞社は22日、本社が19日付朝刊文化面に掲載した「マニ教『宇宙図』確認」の記事について、共同通信社が配信した記事と表現が酷似した部分があったとして同社に経緯を説明し、謝罪した。執筆した記者は研究者に直接取材し、独自に資料を集めて書いたが、「共同通信社が配信した記事も参考にしたために表現が引きずられた」と話している。引き続き調査を進め、関係者を処分する。
同社から「9月26日に配信した記事と似ている」と指摘があり、本社が調査した結果、当該記事の本文部分の表現で、共同通信社の記事と重なる部分が多くあった。
記事は大阪本社生活文化グループの記者(47)が執筆した。各紙に9月27日付で掲載された共同配信の記事を読んだ同グループのデスク(48)が取材を指示。記者は翌28日午後、「宇宙図」を研究している京都大大学院教授の研究室で約1時間半取材し、その内容をノートに18ページにわたって記録した。さらに、教授から提供された関連資料なども参考にしながら執筆、出稿した。
前文、マニ教の説明、教授の談話などは独自の内容になっていたが、共同の記事で「仏教絵画との比較などから、中国の元(1271〜1368年)、またはその前後に、現在の浙江、福建両省など江南地方の絵師が制作したとみられるという」という部分が、本紙では「仏教絵画との比較などから、中国の元(1271〜1368)の時代かその前後に、江南地方(浙江省、福建省など)の絵師が制作したとみられるという」となるなど、表現が重なる部分があった。
〈渡辺雅隆・大阪本社編集局長の話〉 独自に取材し、資料や参考文献をもとに記事を書きましたが、本文の表現が共同通信社配信の記事と酷似していることは否定できません。共同通信社および加盟社、関係者のみなさまに深くおわびいたします。