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訪問介護、定額で24時間…厚労省素案
「短時間・複数回」可能
厚生労働省が、介護保険制度改正で2012年度からの導入を目指す「24時間地域巡回型訪問サービス」の素案が22日明らかになった。
時間帯を問わず、定期的にヘルパーが自宅などを訪問して短時間の介護を行うほか、利用者からの要請で随時駆けつける仕組みを設ける。一人暮らしや、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするのが狙いだ。
介護保険の受給者は約403万人に上り、その7割が自宅などでサービスを受けている。在宅生活を支える24時間訪問サービスは、菅首相の肝いりで、厚労省の有識者検討会がとりまとめを行ってきた。
検討会の中間報告案によると、おむつ交換や水分補給などの訪問介護について、1回の介護時間をこれまでの最低20分以上から、10~15分程度と短くする代わりに、1日に複数回、定期的に訪問できるようにする。また、利用者から連絡があった場合、相談に応じたり、介護・看護職員を派遣したりする。
現在の訪問介護は30分以上の利用が7割弱を占め、1日の訪問回数も最重度の利用者でも平均1・1回にとどまる。このため、「必要以上に介護時間が延びるケースもあり、実際の身体介護のニーズに合っていない」などの声が出ていた。
利用料については、現在は、滞在時間や訪問回数に応じて料金が増える「出来高払い」制だが、利用者負担が重くならないよう、1日何回利用しても負担が変わらない定額制を、一定の範囲内で採用。具体的には、随時訪問と、1日1~2回の定期訪問を定額制として、それ以上の定期訪問は別料金とするなどの案がある。
事業所がサービスを提供する地域は、利用者の自宅まで30分以内で駆けつけられる範囲を想定。採算がとれるように、一定規模の地域を一つの事業所が担当する「エリア担当方式」の導入などが検討されている。
同省は検討会の報告を基に、制度の詳細を検討。来年の通常国会に介護保険法改正案を提出する方針だ。
[解説]深夜の職員確保、料金設定も課題
同居する介護者の6割が60歳以上と、老々介護が深刻化する中、昼夜を問わずに、ヘルパーが巡回する新サービスは、高齢者が可能な限り在宅で生活するために欠かせない仕組みだ。
介護保険制度では、自宅での訪問介護は1日あたりの回数が限られる。このため、頻繁に介助が必要な高齢者の場合、家族介護が不足しているなどの理由で、在宅生活の継続が困難になる人が多い。特別養護老人ホームの入居待機者約42万人のうち、約6万7000人は在宅で暮らす重度者だ。
ただし、導入へのハードルも高い。深夜に働く介護職員の確保や待遇をどうするのか。事業者の採算を確保しつつ、利用者が負担可能な料金をどのように設定するのか。綿密な制度設計が求められる。(社会保障部 野口博文)
(2010年10月22日 読売新聞)
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