12月9日(火),特別区【東京23区】職員フォーラムが練馬区立練馬文化センター(大ホール)にて開催された。会場には抽選により選ばれた約1,400名の志望者が参加。昨年を上回る参加者数の国内最大級フォーラム。来年の厳しい就職戦線を立ち向かうリクルーターたちで熱気ムンムンの会場であった。開演前に基調講演をされる,明治大学政治経済学部・中邨章先生を表敬訪問。

初めに,特別区人事委員会より採用試験概要説明がなされた後,中邨章先生の
基調講演が行われた。
テーマは
『特別区の魅力〜グローカル時代の職員に求められること〜』。中邨先生からは,政府・自治体に対する不信感が国際的な広がりを見せていることが提示された。政治不信に関してはドイツ(59.5%),アメリカ(60.5%),日本(71.2%),公務員不信に関してはドイツ(59.8%),アメリカ(59.1%),日本(62.3%)といずれも高率であるものの,将来についての責任が個人にあるか,行政にあるかという問いに対してはドイツ(個人責任:40.1%/行政責任:19.5%),アメリカ(個人責任:46.8%/行政責任:14.6%),日本(個人責任:13.2%/行政責任:40.8%)という結果。ドイツ,アメリカがNPO,NGOなどを組織して自分たちの手で責任を取ろうとするのに対し,日本はあくまで不手際な政策は行政にあるという国民性を指摘。先生は責任を行政に追及する日本の国民性を
「みのもんた症候群」と名づけられている。つまり,日本の国民をあおるのがうまく,その代弁者として存在するみのもんた氏のように,日本国民は自分たちの手で政治・行政を変革しようとするのではなく,批判しながらも政治・行政に頼っている行動様式が出来上っていることを指摘。
ただし,世界的に見れば特別区は世界に誇るべき区政であることを強調。基礎的自治体としてトップクラスの体制を整備しており,世界に学ぶものなどないくらいという。たとえば,世界的に見ても珍しい『区政だより』といった「広報誌」の配付,高齢者介護に当たる「巡回入浴サービス」,「電気ポット」(何か不測の事態があって一定の時間,お湯を汲まない時間が経過すると信号を区に送り異常発見に貢献している)など,斬新なアイデアの施策が多々ある。そして,ゴミ収集のように自治体と住民がともに協力して行う「協働」ということも世界に誇るべきファクターとして挙げられた。
このようにすばらしい魅力のある特別区であるが,これからの区政と公務員の役割として重要な
TAPE(Transparency:透明性,Accountability:説明責任,Participation:参加,Equity:公平性の頭文字)を遂行するにはさらなる工夫が必要。そのことを念頭に置いて,グローカル時代の特別区職員をめざしてほしい,と締めくくられた。
次に,現役特別区職員によるパネルディスカッション(テーマ:『現場は東京23区〜まちを舞台に働く職員〜』)と会場からの質問にパネリストが回答する「区職員へズバリ聞きたい」が行われた。パネリストは,廣瀬達志氏(大田区),野上宏氏(港区),山崎亜希氏(葛飾区),荘司健雄氏(台東区),福田純子氏(新宿区)の新規採用〜管理職員までの現役特別区職員5名。各氏ご自分の区が日本一,世界一,宇宙一とそれぞれにみなぎる自信を持って,仕事のやりがい,採用されてよかったこと,失敗談,オフの過ごし方など,ストレートな言葉で参加者に熱く語りかけていた。司会の細井康太郎氏(大田区;特別区人事委員会事務局派遣)はとてもテンポがよく名調子。このフォーラムの成功に大きく貢献された。
何事にも一生懸命で熱意があり,人柄がよく,誠実である。そんな選ばれし魅力的なパネリストたちとの「出会い」は参加者にはとても魅力的に感じられたと思う。面接の際にもこのフォーラムに参加して受験の意を強くしたと語る受験者が多いという。和気あいあいとした雰囲気でありながらも妥協を許さない厳しい職場には,素敵な先輩がいっぱい。来年2月には各区の先輩たちによる「23区合同説明会」も予定されている。積極的に参加して,その魅力を実感しよう。好感度★★★
《INFORMATION》
◆23区合同説明会◆
●日時:平成21年2月8日(日) 午前10:30〜午後3:50(開場9:30)
●会場:國學院大學120周年記念1・2号館(渋谷区東4-10-28)
●主な対象者:特別区職員1類採用試験の受験希望者
自由参加で,この説明会には事前の申込みの必要はありません。詳細発表は12月19日(金)に予定されていますので,下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.tokyo23city.or.jp/saiyou-siken.htm
●問合せ先:特別区人事委員会事務局任用課採用係
〒102-0072 千代田区飯田橋3—5—1 東京区政会館16階
(TEL:03-5210-9787 FAX:03-5210-9708)
◆Special Report 学生たちの研究発表!◆
『受験ジャーナル』21年度Vol.3(12月24日発売)では,中邨章ゼミナールのメンバーによる「Special Report 学生たちの研究発表!『美術館と行政』」を掲載します。ぜひご一読ください。
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