2010年8月25日 21時58分 更新:8月26日 1時20分
9月の民主党代表選(1日告示、14日投開票)で再選を目指す菅直人首相は25日夕、鳩山由紀夫前首相と首相官邸で会談した。鳩山氏は小沢一郎前幹事長を含む「挙党態勢」の構築を求めたが、首相は「(幹事長などの)ポストだけは勘弁してほしい」と述べ、「脱小沢」路線を維持する姿勢を示した。小沢氏は同日夕、衆院議員会館の自室で山岡賢次副代表ら「反菅」派から出馬要請を受け「できるだけ早い時期に結論を出したい」と検討する考えを表明したが、党内に小沢氏支持は広がっておらず、「自問自答するところもまだ残っている」と苦しい心境も漏らした。首相と小沢氏の対決色が強まる中、鳩山氏は26日午前に小沢氏と再会談し、首相の意向を小沢氏に伝える見通し。
「脱小沢といわれるシフトを小沢さん本人は快く思っていない。小沢さんとしては『はい、分かりました。挙党態勢でいきましょう』とはならない」。鳩山氏によると、首相との会談で小沢氏の心境をこう伝え、小沢氏に真剣に協力を求めるよう説いた。しかし、首相は「参院選後、謝罪も含めてお会いしたいと申し入れたが、なかなかお会いできなかった」と反論し、「小沢さんにどう協力を求めるかということもなかなか難しい話だ」と難色を示したという。
鳩山氏は24日夜、小沢氏と会談。激突回避には「脱小沢」の修正を首相に求める必要があると判断し25日の会談に臨んだが、首相がこれを拒んだ形だ。
首相が、「政治とカネ」の問題を抱える小沢氏の出馬圧力に屈して「挙党」へ動けば、続投を支持する前原誠司国土交通相や野田佳彦財務相のグループが反発するのは必至。両グループには小沢氏と戦った上での再選を望む声が強く、グループの一人は「小沢さんが出なくても分裂含み。代表選をやった方がいい」と語る。
小沢氏サイドでも主戦論が高まっている。25日夕、山岡氏らが国会内で開いた会合には新人議員を中心に約70人が参加。そのメンバーから出馬要請を受けた小沢氏は「今の政治状況を見ると立ち向かわなければならないと思っている。私にも考えるところがある。少し時間をいただきたい」と出馬を検討する考えを表明した。小沢氏が出馬の可能性を公言したのは初めてだ。
ただ、小沢グループが出馬の前提として支持を期待していた鳩山グループでは小沢氏出馬への慎重論が強まり、中山義活前首相補佐官が25日、小沢氏への出馬要請に同調しない考えを山岡氏に伝えた。旧社会党系グループも同日夜、約20人が東京都内で会合を開き、8割が首相支持を主張したという。
支持が広がらない中、出馬の動きを強めた背景には、首相が「脱小沢」の看板を下ろさないまま無投票再選となれば、小沢氏の影響力低下を決定づけるとの危機感がある。
鳩山氏は26日から29日までロシアを訪問する予定。首相は「鳩山さんがロシアから帰ってきたところで、相談に乗っていただける」と帰国を待つ考えを示した。鳩山氏は周辺に「菅さん次第だ」と語り仲介を続ける構えだが、首相は既に「脱小沢」を鮮明にしただけに譲歩を迫る余地は狭まっている。小沢氏が出馬を回避するか、全面対決に突入するのか、ギリギリの調整が続いている。【須藤孝】