普天間移設:辺野古周辺、米「飛行ルート変更を」

2010年8月25日 2時30分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として日米両政府が合意した名護市辺野古周辺での米軍軍用機の飛行ルートを巡り、北沢俊美防衛相とルース駐日米大使が23日に会談した際、北沢氏が従来ルートの維持を求めたのに対し、ルース氏がより陸上部に近い空域を飛ぶルートに変えるよう求めていたことが24日、分かった。変更すれば騒音や危険性が増す可能性があり、地元の反発は必至。日米両政府による8月末の報告書作成期限を前に、大きな課題が浮上した。

 飛行ルートに関しては、06年の日米合意で滑走路2本をV字形に配置する案を決定する際にいったん決定。陸上部の集落からなるべく離れるよう設定した。しかし、今月開かれた日米外務・防衛当局の専門家協議では、米側が軍事的な運用面から従来の飛行ルートを維持することについて難色を示したという。

 これを受け、北沢氏はルース氏との会談で、飛行ルートの変更は騒音が増大して地元の反発が強まることや、環境影響評価(アセスメント)のやり直しが必要となる可能性もあるため、従来ルートを維持するよう要求。しかし、ルース氏は米軍からの意見を基に難色を示したもようだ。

 専門家協議は8月末に完了する予定となっている。報告書には、V字形案と日本側が新たに提案した滑走路1本の案が併記され、安全性や騒音、環境などの面での評価を記す方向で最終調整している。ただ、飛行ルートをめぐる意見の相違が明らかになったことで報告書作成までの最終調整は難航も予想される。報告書には飛行ルートは明記しないことも検討しているとみられる。【仙石恭】

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