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[22250] 修羅と孤独な女(fate 女神転生)
Name: 白の書◆afa7e1b9 ID:f25f26c1
Date: 2010/09/29 22:10
始めまして、白の書といいます。

この度は、fateと女神転生のクロス作品を¥書いて行きたいと思ってます。

なにぶん初心者の方なので、文章とかは、解りにくいかもしれませんが
きちんと書いていきたいと思ってます。

ちなみに最強物ではありません。
バランスを考えながらやっていきたいと思ってます。
それではどうぞ宜しくお願いします。



[22250] プロローグ
Name: 白の書◆afa7e1b9 ID:f25f26c1
Date: 2010/10/16 02:38



今、大いなる闇の堕天使と、人修羅の戦いは、終った。
戦いは熾烈を極めていたのが、人修羅と呼ばれていた青年の様子で分かる。
人修羅と呼ばれていた青年の姿は、見るも無残だった、所々、皮膚の皮が裂け全身に裂傷を負っていて
肩で息をしているのが、目に見えて分かるようだった。
そこに、星空一つ無い暗闇の下から、金髪の少年が現れて、人修羅と異名をとる青年に言った。

「君の力、見届けさせてもらったよ、見事だったよ」

その言葉を聞いた人修羅と呼ばれる青年が、少し金髪の少年から、目を逸らしたら、いつのまにか金髪の少年は、車椅子の老人に老けていて
そして老人は、待ち望んだように言った。

「闇に潜み、時が来る日を待ち続けた者たちよ・・・今・・・新たな、闇の悪魔が誕生した」

老人がそういうとカラスが飛んでいき、さらに言葉を繋いでいき

「待ちに待った刻が来たのだ・・・・・・集え・・・そして・・・行こう・・・」

「我らが真の敵の所へ・・・・・・!」

いつの間にかに人修羅と呼ばれていた青年の怪我が治っていて、彼の下に、闇の底にいた、悪魔達が募っていた。
青年は、歩いていった、自分達の敵、真なる敵の下へ。
これが、始まりだった、アルマゲドン、ハルマゲドンとも言われている、ヨハネ黙示録に書かれている
最終戦争への歩みだしである。



そうして光と闇の戦いがはじまり・・・・・・
何年、何十年、何百年、戦は続いていった・・・・・・
その、戦いが、伝説かお伽話になるくらいの年月が、経っていた時
ようやく、真の敵の下へ、たどり着いた一人の修羅の男がいた。
彼の周りにいた仲間は、全て帰らぬ者となっていて
その修羅の男も、最早、立つことがやっとの位の傷を負っていた。
全身に裂傷、打撲、骨のヒビ、数え上げればきりが無いだろう。
ヒザも少なからず、笑っていた。
すでに体内の魔力も枯渇していて、傷も治りそうに無かった。


そうして、目の前の存在を、見て、男はゴクリと息を飲み込んだ。
あの大いなる闇より、曙の明星より上の存在が、あるのかと男は思っていた。
―上には、上がいる―
使い古された言葉だが、文字通りの意味だった。

万全の状態なら、勝てるまでいかなくとも、少しの希望は見えただろう。
だが、今の状態では、良くて一撃、最悪、何も出来ずに消されるだろう。
ならば、今の自分で出来る最高の一撃を出すだけだという結論に男は、たどり着いた。

全身に力を溜めて、最高の一撃を繰り出す、男が考えたのはそれだけだった。
大気が震え、地面が揺れ、空間が揺れる
そして、目の前に圧倒的な破壊のエネルギーが生まれ、それを渦状にして目の前の存在に放つ

「オオオオオオォォォーーー!」

奥義―至高の魔弾―今の自分に出来る最高の技だった。
倒すまでいかなくとも、せめて一撃そう思って振り絞った力だった。
そうして、渾身の一撃を放った。
その技を放った修羅の男の意識は、次第に途切れていった。


そして薄れ行く意識の中で男は、何かの声を聞いていた。

「愚かな、例え、人ならざる悪魔の体を持っていたとしても、我には適わぬ」

「お前が、人の心を捨て、破壊の霊になったとしてもだ」

「恐れ、慄くがよい、悪魔よお前は、永遠に呪われる道を選んだのだ」

「だが、我は一つ、お前に試練を与えよう、お前がそれを乗り越えても良し
乗り越えなくとも、お前の好きにするがよい、我は、天の頂からお前の事を見ているぞ・・・・・・」

声は、其処で聞こえなくなり、男の意識は完全に途絶えた・・・・・・・














そしていくつかの月日が経ったある日、日本の冬木氏の冬の季節の、深い雨の中の日に一人のフード付きのパーカーと黒いジーンズを着た青年が、柳洞寺という所に倒れていた。
青年の名前は―間薙 シン ―という名前だった・・・・・・








感想・・・・・・
色んな注意を受けたので、プロットから考え直して、少し書き直しして投稿してみました。

他の小説読んだりしてみて、どうやって書いたら良いのか、考えてるのですが、なかなか上手くいかずグダグダになってしまいます。

この小説での人修羅のモデルは、声優の子安武人さんが人修羅だったらどうやって動くんだろうなって、考えながら書いています。

大塚明夫さんもいいかなって思ったんですけど、人修羅なら子安さんの方が合うと、思って子安武人さんをイメージして書いております。

ちなみにこの小説を、書くにあたって、真・女神転生3 nocturne マニアクス クロニクルをハードでプレイし直しているんですが・・・・・・

マタドールこんなに強かったの・・・・・・
逃げられないし、妖獣チンで、3~4回全滅しました。
渋谷に行けません・・・・・・

では、又今度です。



[22250] 目覚め・・・・・・
Name: 白の書◆afa7e1b9 ID:f25f26c1
Date: 2010/10/16 02:44
・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

青年、―間薙シン―は目を覚まして辺りを見回すと、どこかの部屋の和室の一室ようである事がわかる
どうやら自分は眠っていたらしいという事が、布団にいることからわかる、とりあえず此処が、どこか確かめなくては、
そう思い、布団を払って、起き上がろうとすると、襖の戸が、開き、30代ぐらいの男が入って来た。

「目が覚めたようだな」

と話しかけて、こちらを見つめてきた、この男が、自分を此処に連れてきたのか、シンはそう思い尋ねてみる事にした。

「あんたが、俺を此処に連れてきたのか」

「ああ、そうだ」

長身の男が答えて、シンは名前を尋ねると男は―葛木 宗一郎―と名乗った。

「何故、俺は此処で寝ているんだ?」

シンは何故自分が、此処で寝ているか分からない為、葛木に尋ねてみた。

「お前が、寺の中で倒れていたからだ」

そう答え、そして、今度は葛木が尋ねてきた。

「何故、あそこで倒れていた?」


葛木の言葉を聞き、シンは

(何故だろう、何故、俺は倒れていたんだ・・・)

記憶を振り返り、思い出そうとした瞬間、途端に頭に激痛が走った。

「くっ・・・ぐう・・・」

・・・痛い・・・痛い・・・
まるで頭の中を鐘で、叩かれているようだった。
風邪の時の症状によく似ているが、それをもっと酷くしたものだった。
しかし、それでも必死に思い出そうとしても分かった事は、たったの二つだけであった。
―間薙 シン―という自分の名前と、そして異名とでも言うのか―人修羅―と呼ばれた名前だけだった。
そこでシンは間薙 シンという名前だけ葛木に答えた。
何故か人修羅という名前は伏せたほうがいいそう思ったからだ。

「分からない、記憶に無いんだ・・・どうやら記憶喪失というやつらしい」

「分かったのは、間薙シンという自分の名前だけだ・・・・・・」

そこでシンは間薙 シンという名前だけ葛木に答えた。
何故か人修羅という名前は伏せたほうがいい自分でもわからないが、そう思ったからだ。

「そうか、では、もう一つだけ聞こう・・・その姿は何だ?」

―その姿?

そう言われて、シンは自分の手を見てみた、其処にはボディペイントのような
映画に出てくるアメリカのインディアンがするような模様が刻まれていた。
その模様は、手から伸びていて、体にもある様に思えた。
上着を脱ぎ、窓ガラスに映った自分を見てみる。
見てみると、そのボディペイントのような模様は全身を覆っていて、淡く蒼色に光っていた。
更に、よく見てみると、首の後ろに突起物のような角が生えていた。
角は肌と、殆ど変わりが無く、暖かみもあった。

シンは、コレは本当に自分かと考え、体を動かして窓ガラスに触れてみる。
すると同様に窓ガラスに映った自分が動く、どうやら本当にこの姿はシン自身らしい。
そう思って、自分の目を見つめてみると、あるところに気づく
目だ、自分の目はこんなに冷たかったかと思った。
あえていうなら虚無と絶望を、宿した目、そんな混沌を秘めた深い黒の眼差しだった。

―事実―こんな状態になっても全く心は、動じていなかった。
悪く言えば、無関心、別に大したことじゃない、
それに自分は昔から、こういう姿だったのではないのかと思っていた。

その様子をみて葛木は・・・

「どうやら、本当に分からないらしいな」

「ああ、分かったのは、自分の名前だけだ、社会的な常識は分かるんだが、何故こんな姿になったのかのか
何故倒れていたのか、其処だけ記憶にポッカリと穴が開いているようで・・・・・・」

「どうしても、思い出せないんだ・・・・・・」

「すまないな・・・」

自分の姿をもう一度見てみて、シンはある疑問を葛木に聞いてみた。

「一つだけ聞きたい・・・・・・俺は・・・人間に見えるか・・・?」

葛木は手のひらを顎に乗せて少し考えて、シンの質問に答えた。

「分からん、人間に見えると言えば、人間に見えるし、人間では無いといえば、人間には見えない
矛盾してるかもしれんが、これが俺の素直な感想だ」

「そうか、分かった・・・」

シンはそう答え、服を着て部屋を出て行こうとすると、不意に呼び止めらた。

「もし行く当てがないなら、暫くはここにいても構わない、私の知り合いとでも言っておく
ただし寺の外には、出るな、もし出ると言うなら最低でも、夜にしろ。
そして、なるべく、今、着ているパーカーを被り目立たないようにしろ」

「ついでに、この部屋は好きにしても構わないが、なるべく汚さないようにな」

それだけ、伝えると葛木は部屋から出て行った。
そう言われた、シンはなるべく人に見られないようにし目立つ事は避けろと葛木のいう事を
解釈したのか、そのまま寝ようとしていた。

だが其処に、葛木が戻ってきて

「そうだ、言い忘れていた事があったが、もしお前が何か問題を起こしても、俺は一切関知しないし
する気も無い、俺は何も見ていないし、聞いていない、それだけだ・・・」

そういうと葛木は封筒を置いて出て行った。
封筒には、少しばかり暮らせる金が入っていた。



葛木は歩きながら考えていた、何故あの奇怪な模様の入った青年を助けたのか、それは、あの青年が何故か他人に思えなく
過去の自分と重なって見えたからだ、そう人殺しだった時の自分と、どうしてか同じに見えたのだ。
同病相憐れむとでも言うのだろうか、そう思って葛木はシンを助けたのである。
だがシンがもし問題でも起こし災いを降り注ぐようなことをするのだったら、出て行ってもらうか
実力行使しかないなと葛木は考えていた。




そして、シンは部屋の中でやる事も無くなった為、眠りに入っていった・・・・・・















・・・
・・・・・・シンが葛木に出会ってからいつの間にか、約十日が過ぎていた。
その間に、シンがやる事といったら、自室で本を読むか、寺の掃除をやらされるかどちらかである。
シンは、掃除が嫌いではなかったが、昼間に外で、やらされる掃除は好きにはなれなかった。
太陽の下でやる掃除、この誰もに、恵みを与えてくれる太陽が、どうしても好きにはなれなかったのである。
何故かは、シンにも理解できなかったが、思い出せない記憶に結因するのだろうと考えていた。
そして食事を食べる時でもある、食事を食べる時はフードを外さなければならず、その時、寺の人達から白い目で見られるのである。
目立つ事を嫌う、シンはそれが嫌だった。
そんな事を、考えながらやっていた掃除はいつのまにか終っていた。





その日の夜、寺の一室に閉じこもっていたシンは外に出ようと画策していた。
服を着て、パーカーを被り部屋を出て行いき、寺を出て行こうとすると葛木が寺の出口らしき所に立っていた。
不意にシンは呟いた。

「止められるのか・・・・・仕方がないな・・・」

(十日も経っているし、そろそろ我慢できなくなると感じたのかもしれないな・・・・・・)

シンは、約十日間、寺の部屋に閉じ込められているようなものであった。
ならばそろそろ、外に出て行っても、おかしくないだろうというシンの行動を読んでの葛木の行動だった。
だが、葛木の行動はシンを外に出るのを止めるためではなく忠告に来ただけだった。

「外に出て行くというなら、止めたりはしない、好きにするがいい、問題さえ起こさなければ
帰ってきてもいい、だが、何かあった時は、俺は何も知らないし自分で何とかするんだな・・・」

そういい残して葛木は去っていった・・・・・・
要は、問題さえ起こさなければ、外に出ようが、何しようが関与しないと言う事だ。
それさえ分かれば構わないそう思って、シンは寺の階段を降り、街に歩いていった・・・・・・




その階段の後ろで、年老いた喪服を纏った老婆とそれに手を繋いだ金髪の少年が現れて何やら話し合っていた。

「ふむ、やはり運命は動き出しましたか」

「さすがは、坊ちゃまが認めた方にございます・・・」

金髪の少年が、喪服の老婆に耳打ちをする

「ハイ、左様でございますか、では今暫く、見守る事と致しましょう・・・・・・」

「少なからずも坊ちゃまが認めた方、いきなり消えるという事は無いでしょう」

そう言って、金髪の少年と老婆は、夜の闇に消えていき、辺りには木々の揺れる風と夜の静かな静寂だけが残されていた・・・・・・
















・・・・・・
景色は変わり、あるビルの屋上で赤い服のジャケットを着た美少女と赤い外套を着た長身の白髪の男が立っていた。
男の名を(アーチャー)と呼ばれていて、美少女の女の方は、―遠坂 凛―と言う名前だった。

「どう、見晴らしが良いでしょう」

凛は、アーチャーと呼ばれている男に尋ねた。するとアーチャーはビルの屋上からの景色を眺め自嘲気味に口元を歪ませてから

「確かに、いい場所だ、最初から此処に来ていれば、街を歩き回る事も無かったろうに」

アーチャーは皮肉を交えて凛に答えた。

「此処から、見えるのは、街の全景だけよ、実際その場所に行かないと、冬木市の仕組みは把握できないじゃない」

アーチャーの皮肉に凛が、説明を付けて答える。
するとアーチャーは

「いや、そうでも無いアーチャーのクラスは伊達じゃないぞ」

「さすがに隣町は無理だが、あの鉄の大橋のボルトの数ぐらいは分かる」

自身満々に言ったアーチャーの視線は、数キロ先にある鉄の大橋を見据えていた。
それを聞いた凛が驚いて

「本当に?」

――嘘でしょう?
凛の言い方はそんな感情が籠もっていた、そんな表情の凛を抱えて、アーチャーはビルから飛んでいった。
そんな、空中を飛んでいる中で、凛を抱えながらアーチャーは凛の方へ向き

「君が優れた、マスターであることは分かる」

「だから・・・・・・そういう発言は私を試しているとしか思えんのだが・・・・・・」

先程からの挑発的な凛の台詞を、返すかのようにアーチャーが言う
すると凛がアーチャーの眼を見つめ

「気に障ったなら、悪かったわね」

と不適に言った。だがアーチャーは

「気には障らん」

「だが、これからこの街で起こることにいちいち驚かれていては適わない」

その言葉を聞いて凛が自信満々に答える

「覚悟は出来ているわ十年前からね」

「それを聞いて、安心したよ凛」

そう言って、夜の街に消えて行き自宅に戻ろうとした時、アーチャーは何だか不穏な違和感を感じた、すぐさまアーチャーは凛に呼びかけ

「凛ちょっと、待ってくれ何だか不穏な気配がする」

何処から、この気配が来ているのかを探そうとしていた。

「え、本当?」

「ああ、本当だ」

凛が尋ねて、アーチャーが答える。
仮にも、精霊と言われている英霊の第六感だ、無視しないほうがいい何か重要な事だろうと凛は考えた。
そこで凛とアーチャーは街の方を見据えていた、二人はその見据えてる街の方へ向かって降りていった。


余談だが二、人は、これから起こる事に、アーチャーの発言も虚しくアーチャー自身すらも驚くことに
なるのだが、それはまだ先の話である・・・




遠坂凛とアーチャーがビルの屋上で不穏な気配に気づく少し前・・・・・・
シンは、街に繰り出していて、街の雰囲気を眺めながら歩き回っていた。
勿論、パーカーを被ったままである、こんな姿を見られて騒がれた日には、目も当てられないし
最悪、柳洞寺にも帰れなくなる。そう思って街の中では、目立たないように、歩いていた。



其処に、少女の子供が一人で迷子になったのか、今にも泣き出しそうな顔で誰かを探していた。
シンはそれに気づいていたが、自分が出て行くわけには、行かないなと思い・・・・・・
誰かが出てくるのを待っていた。


・・・・・・が道を歩いている子供の少女には目もくれていなかった。
もしかしたら、実は気づいているのだが、傍観者を気取って、自分には関係ないと思い歩いているのだろうか?
見て見ぬ振りをして厄介事には関らない、それがこの社会を旨く生きるための一つの知恵でもある。
だが、子供の保護者を見つけるのが、厄介事なのかシンはそう考えて、

「ちっ・・・」

と舌打ちして
自分の事など気兼ねなしに、今にも泣き出しそうな少女の方へ向かっていった。


「どうしたんだい、お嬢ちゃん?」

シンは、その子供の目線の高さに合わせて膝を傾けてから尋ねてみた。
その時、一瞬、少女は驚いたような顔を見せるが、安心したのかシンに向かってこう言った

「あのね・・・お母さんとはぐれちゃたの・・・」

「よし、それじゃお兄ちゃんと一緒に探そうか」

そう言ってシンは少女に手を差し出した、

「うん」

そう答えて少女は、シンの手を握り返した後、少女は名前を尋ねてきた。

「お兄ちゃん、名前はなんていうの?」

「俺か、俺の名前はシン、お嬢ちゃんは?」

「あたしの名前はアリス宜しくね、シンお兄ちゃん」



シンとアリスは、母親を探していた、案ずるより産むが易しとは言ったもので
直ぐに、母親らしき人物は見つかった、どうやら誰かを探しているらしく、その仕草を見れば
子供を捜しているのだろうと、直ぐ分かる。
だが、アリスの身長が小さいせいか人込みが邪魔して母親の姿が分からないようだった。

シンは、考えていた自分の姿からして、母親に声をかける訳にはいかない。
アリスが、母親を見つけその元まで行き、そして母親が娘を見つける。
その間に、自分はいなくなる、コレがベストだろうとシンは考えている間、
アリスは不意にシンに疑問を問いかけてきた。

「どうして、お兄ちゃんの顔は、線が書いてあるの?」

「これはね、お兄ちゃんが人間を捨てた罪の証なんだよ」

何故、そう答えたのかシンにも分からなかった。
だが、無垢な子供には嘘をつきたくなかったのか、こんな言葉が出てしまったのである。
それを聞いたアリスは、

「フーン、よく分かんないけど、お兄ちゃんの模様、神様みたいで格好いいよ」

少女は屈託のない笑顔でそういった、
だがシンは思っていた。

(人間では無いように見える、この模様が神様みたい?)

(無垢とはこういう事を言うんだろうな・・・)

こんな事を考えてる場合では、無いと思いアリスが母親を見つけてくれないかと思う。
だが、アリスの身長では、人影で母親の姿は見えないだろう、
そう考えたシンはアリスを肩車して見せて、アリスに問いただした

「アレが、お前の母親か?」

「あ、お母さんだ」

それを見たアリスの顔から笑顔があふれ出る、そうして肩車したアリスが手を振った瞬間、安心したのか
シンの顔を隠してるパーカーのフードが取れ、素顔が表に出る。
その顔を、街の通行人が見た途端、シンの事を避けていき、口々から話し声が聞こえる。

・・・何、アレ・・・
・・・ヤダ、恐い・・・
・・・警察呼んだ方がいいんじゃない・・・

ザワザワと周りの人が避けシンに、口々に話してる人の声が聞こえる、シンは不味いと思って、急いで母親の方へ駆けていった。
そしてアリスを母親の、目の前に下ろして、フードを被り急いで去っていった。
そうしてシンが、後ろを振り向くと、喜んで、母親に抱きついてるアリスの姿が見えた。
自分の素顔を曝け出す事にはなったが、母親が見つかって、良かったと思っていた。
シンは、人込みから、抜け出て、誰もいない公園の所まで来て、ベンチに座り先程の事を思い出していた。

(・・・お兄ちゃんの、模様、格好よくて、神様みたい・・・)

(神様か・・・・・・)

シンはそう思って、自分の手を見て感傷に耽る。
そんなシンの目の前に、突然、赤いジャケットを羽織った美少女が空の上から降ってきた。
いや、飛んできたと言った方が正しかったのか、少なくともシンにはそう見えた。
その美少女は、空中に浮かんでる赤い外套の長身の男に話しかけていた。

「アーチャーアイツね、嫌な感じのする奴っていうのは」

「うむ、そうだな間違いないな」

そのやり取りの後に、アーチャーと呼ばれた男の姿が明確に映し出され、その男の手には
黒の剣と白の剣の、双剣が、手に握られていた。
シンはやな予感がした、これが動物的な勘と言う物なのか危険を察知して、急いでベンチから立って逃げようとした。
だが、もう手遅れだった。

「何処に、行こうというんだね」

不意に、双剣を持った、赤い外套の男が道を塞ぐようにしてシンの目の前に立っていた。







感想・・・・・・

真・女神転生3 nocturne マニアクス クロニクルをやっていまして、
やっとヨハネ黙示録の四人が出てきました。

ゲームでは、これからが本番です。

この小説を、もう少し上手く書きたいので、アマゾンで女神転生3の小説を頼んで見ました。

3~5日かかるらしいので、それを見終わったら、5話目を書こうかなと思ってます、4話目は、もう殆ど、書き終わっているので5話目から
生かして生きたいなと考えています。

それではお休みなさい。



[22250] 色々な出会い
Name: 白の書◆afa7e1b9 ID:f25f26c1
Date: 2010/10/21 22:06
アーチャーは、フードを被った、青年の前に立ちはだかり、双剣を構えていた。

(さてと、どうするかね・・・・・・)

目の前のフードを被った青年が普通の一般人じゃないことは既にわかっていた。
もし、この青年が魔術師でサーヴァントを呼び出していたら、大きな敵となっていたかもしれない。
だが、現時点では、サーヴァントか魔術師かというのも分からなかった。
アーチャーは、目の前の正体不明の青年を、見据えていた。

(ふむ、英霊の気配はしない・・・・・・が、一人の人間が持つにしては、この魔力量は多すぎる・・・・・・)

(私の知る中でも、こんな人間はいない・・・)

敢えて言うなら、よく分からないというのがアーチャーの本音だった。
英霊では、ないのに人間より強大な魔力、かといって英霊の気配が、眼前の青年からはしない。

(英霊には、見えない、人間にも見えるが・・・それだけではないような気がする・・・)

人間に見えるのに、人間ではなく見える、どちらにも見えるが、見えなくも無い、矛盾している存在それがアーチャーの青年―間薙 シン―を見た感想だった。

(それに、先程から、私の中に沸いてくる、疼きはなんだ・・・)

アーチャーは、心のどこかで、自分の英霊としての勘が、目の前の青年を危険と認識していた。
何故かは、分からないが、この男は自分たちの敵ではないかと思ってしまうのだった。

それ故に、アーチャーは自己の判断で、目の前の青年が、何をしようが
叩き伏せる程の、力を内に、溜めていた。

(私の、準備は万端だ、さて、私を召喚した、マスターはどうでるのかね・・・・・・?)






遠坂凛は、少し困惑していた。
目の前のフードを被った、青年の魔力量は明らかに自分を凌駕していたからだ。

(この、魔力量、異常じゃない、十年修行した、私より、遥かに上なんて・・・)

(もしかしたら、サーヴァントかしら、でもそんな気配はしないし・・・敵意も、なさそうだけど・・・)

目の前の青年はこちらに対してまだ敵意も殺気も見せていなかった。
こちらを観察するかのように、見つめてるだけだった・・・

(正体を見極めないといけないし・・・まずは、挨拶からかしら・・・・・・)







間薙シンは状況を、把握しようとしていた。

(何なんだ、一体・・・?)

なにせ、いきなり赤いジャケットを着込んだ女子高生らしき女の子が空の上から降ってきたのである。
しかも連れているのは、宙に浮いてる赤い外套を着込んでいる、長身で白髪の男だった。
時代錯誤といっても差し支えないような格好だった。
例えるなら、戦前の戦士が着る民族衣装に見えなくもなかった。
その男が、宙に浮いてると思ったらいきなり、明確に見えるようになり、
自分が逃げようとしていた所を、いきなり目の前に出てくるものだから少々困惑していた。
そこで、その女子高生らしき女の子がシンに指を指して声を、掛けて来たのである。

「私は、遠坂 凛 こちらの男はアーチャー、私のサーヴァントよ、それで貴方の名前は?」

凛は小細工なしに正直に自分の事を打ち明け、自己紹介をしてきた。

「間薙 シン・・・・・・」


遠坂凛という女性はシンが、目上の人間かもしれないのに、指を指して名前を言うなど、礼儀知らずもいいところである。
どんな人間であれ、初めて出会う人に対する、行動ではないだろう。
事実シンは少し礼儀知らずだと感じていた。
だが、そんなシンの不快を気にせず、凛は、シンに問い詰めてきた。

「単等直入に聞くわ、貴方は魔術師なのそれともサーヴァントなの?」

(・・・魔術師?、・・・サーヴァント?)

シンはいきなり訳の分からない単語をいわれて、何の事かわからなかった。
いきなり、自分の知らない、赤いジャケットを着た黒髪で育ちの良さそうな女子高生と時代錯誤の民族衣装ばかりの着物を着た白髪の男が空から降ってきて
十日前まで記憶喪失だった、自分に何を聞くのかと思えば

(魔術師?サーヴァント?)

常識では、考えられない質問だった。
少なくともシンの常識の範疇には、そんな事を言ってくる女子高生は皆無だった。
一瞬シンは、目の前の人物に対して、

(こいつらは、俺の記憶を知っているのか・・・)

そう考えもしたが、直ぐにその考えは否定された。

(俺の事を知っているなら、名前を聞くはずが無いな・・・)

それに、どう見てもこの二人の様子は、シンを見るのは初めてだという感じだったし、それくらいはシンもわかっていた。
それにシンは、この眼前のアーチャーという男に対して、自分の中の何かが騒ぐのを感じていた。
自分でも分からない、押さえようの無い衝動が駆け巡ってくる

―コイツは、敵だ・・・・と・・・―

既に、自分に向け指を指している凛の事など、殆ど目に入っておらなかったが、葛木の言われた事を思い出し。
不遜ではあるが、面倒ごとを起こすのは不味いと感じ
自分の胸に手を当てて、深呼吸をして、落ち着きを取り戻し、凛に開き直った。

「魔術師、サーヴァント・・・・・・?」

「分からないな、オカルトか何か・・・か?」

「あいにくこっちは、記憶喪失で、右も左も分からない状態なんだ、なるべく揉め事をおこしたくないし
子供の戯言に付き合ってる暇はない、邪魔だし用がないなら帰ってくれないか」

「それに、ガキはもう家に帰る時間だろう・・・」

そういってシンは、手を振って二人に帰れという、ジャスチャーをした。
実際シンは、アーチャーという男に対し、自分の中の血が騒ぐのを感じたが、
面倒事を起こすなという、葛木の言いつけを守ろうとして、何事も起こさず帰ろうとしていた。
実際、この二人は殺気もないし、こちらには何事もしてこないようだし、このまま去っても大丈夫だろう、と思っていた。
しかし、シンの考えは大きく裏切られる事となった。






遠坂凛は目の前のシンの正体が分からず敵か味方か、それすらか、人間なのかという事に疑問を抱いていた。
しかし自分の事を子供扱いされて、頭に血が上ってしまい、間薙シンという男は遠坂凛の中で敵となり短絡的な思考に落ちいっていた。

(子供、ガキですって、気に食わないわね、こいつ・・・)

実際、遠坂凛は男子生徒から大人っぽいといわれている。
才色兼備で成績優秀でしかも黒髪の長髪が似合う良家のお嬢様であり学園のアイドル的存在である。
事実、告白してくる男子は後を絶たない。
その自分を子供扱いしプライドを逆なでしたシンを無傷で帰そうという考えは、頭の思考から外に追いやられていった。


しかしそれも、シンにして見れば当たり前だった。
ボルテクス界というところにいたシンは、女神や豊穣神といった、理知的で慈愛に満ちてる女神と、
共にいたこともあり、その女性達といて何十年も何百年も生きているシンから見れば、
学校のアイドルの遠坂凛など、子供にしか見えなくて当たり前である。
だが、凛は、そんな事知らないし、知る由もない、ただ自分のプライドを傷つけた男を痛めつけようと考えていた。
そして、手の平を翳(ひるがえ)し、凛は自分のサーヴァントであるアーチャーに指示していた。

「アーチャー、コイツの正体を見極めなさい、それに貴方の実力みせてもらう、丁度いい機会だわ!」

「ふむ、承知した」

アーチャーは、凛の言葉と同時に、秘められた力を解放するかのように、両手の白と黒の双剣、干将莫耶を手にシンに襲いかかった。




シンは、いきなり襲い掛かってくるアーチャーの初撃を持ち前の反射神経で後ろに退いて、かわしたが、その初激のおかげて自分の着ていた
パーカーのフードが真っ二つになり、シンの素顔が街灯に晒されてしまい、明かりの下にシンの異様な素顔が二人にも、見えるように表に出てしまった。
その表に出たシンの素顔をみて、二人は驚愕の表情を浮かべていた。



凛はシンのそんな姿をみて、何か嫌な気配を感じていた、本能というもので彼を恐れそうになった。

―コイツは、人間では、ない―

脳裏にそんな、考えが浮かんでくる、だがその考えを直ぐ否定した。
凛が感じた気配は、不確かなものだったが、シンは間違いなく人間にも見えるのだ。
そこで、凛は、シンを魔力量の多い、普通の人間ではないという見方にした。

(やっぱり、普通の人間じゃあないみたいね・・・)

(だったら、あの魔力量も納得できるかもしれないわね・・・)





アーチャーは冷静に、街灯の下に晒されていたシンの顔の奇怪な模様を見つめていた。

「ふむ、やはりまともな人間ではないようだな、ならば、その体を覆っている模様も納得できるな」

「さて、もう一度、聞かせてもらおうか?」

アーチャーがシンに対して再度、双剣を構え、戦闘はまだ始まったばかりとでもいうように、シンにその黒と白の双剣を突きつけた。

「君は、何者かね?」

「さっきも言ったはずだ、記憶喪失だとな」

「それに、例え知っていたとしても、貴様に答える義理は無い」

シンはハッキリと拒絶の態度を示し、手から魔力で剣を精製していった。
それは、まさしく光る剣だった、いや剣というには余りにもお粗末なつくりであった、遠くから見るとただの光る棒を握ってるよう見えるだけかもしれない。
だが目前で見るものにとっては、鉄ですら軽く切断してしまうのではないかという切れ味を秘めていた。
それを精製しながら考える。

(何故、俺はこんな事が出来るんだ・・・?)

何故こんな事ができるのかシンにも分からなかったが、体は覚えていた、以前にもこんなことがあったのではないかとさえ思っていた。
それを二本、手に持ちアーチャーの双剣の初激、二激と順々に防いでいく速度も技術も向こうの方が上なのか、徐々にシンは押し込まれていく。


シンの体に、切り傷が、増えていく、かろうじで、致命傷の一撃はもらわずにいるが、それも厳しいだろう
病み上がりではなく、記憶喪失から目覚めたばかりのシンには、体が満足に動かないのか
シンの鉄面皮の向こうに、焦りが見えるようだった。
しかも、あちらはまだ余力を残っているように見えた。

「ふむ、初め、君を見たときは、危険と感じたのだが、何の事はない、私の杞憂にすぎなかったか・・・」

「くっ・・・」

シンは、過去の記憶が蘇って来るようだった、同じように血生臭い事が・・・過去にも有ったのではないかと・・・
だが、どうしても思い出せない、まるで記憶にプロテクトが掛かってるようだった。
本来の自分なら、こんな奴に手こずるはずは、ないのではと考え込んでしまう。
だが現時点では、速度も技術も力も全ての点で負けている。
現在のシンにできる事といったら攻撃を致命傷にならないように避け、隙を窺って逃げる事ぐらいだった。


アーチャーが、再び手にしてる干将莫耶を手に攻撃を仕掛けてくる、向こうはシンを殺す気が無いようなのが、せめてもの救いだ。
もし全力で殺す気だったなら、シンはやられていたかもしれない。




・・・・・・が、それでもアーチャーの攻撃は凌ぎきれなかった。
途端にシンの左腕に、千切れたかのような衝撃が走る。

「くっ・・・」

手に握っていた剣が、弾け飛び、消えて逝く。
左手の肘の部分に骨が見えるぐらいの切り傷が浮かんでいる、致命傷と言ってもいい程の傷だった。
シンはうずくまって左手を押さえてアーチャーを見つめていた。


アーチャーは、もうシンに勝ち目がないと判断だろうか、手にしている干将莫耶を下ろしてこちらに歩み寄ってくる。

「話す気になったかね」

「しつこい奴だ・・・」

右手に手にしていた、魔力の剣を圧縮し球状にして二人に投げつける、アーチャーと凛を閃光弾のような光と音が包む、

「トラフーリ」

敵を眩い光で包み、大きな音を出して、相手の目を眩ます技である。
数秒は、何も出来ないはずだ。
その隙をついて、シンは逃げ出していた。



ようやく閃光の光から、介抱された二人は既に目標を失っていた。

「まんまと逃げられたわね」

凛が悔しそうにぼやくが、アーチャーは、それを諌めるように

「ふむ、そうでもない、収穫は十分あった」

「具体的には、どんな所かしら・・・?」

凛が問い詰めるかのように、アーチャーに尋ねる。

「まず、第一に英霊と正面から、戦う程の力は無いということだ、第二に彼は本当に、魔術師やサーヴァントの事は知らなそうだった
そして第三に、これが一番重要だが今の時点では、私の敵にはならんということだ・・・」

アーチャーは、夜空にある雲を見つめながら凛に話しかけていた。

「それに、さっきまで在った気配が消えているどうやらまんまと逃げられたようだ・・・」

アーチャーは、それでも構わないと言った風で笑っていた。

「フーン、よく分かったわ」

凛は、髪を振り上げて、帰ろうとし、後に続いてアーチャーも公園から去っていった・・・・・・




その奥の公園の奥の闇には、まるで今までの様子を窺ってたように、喪服を着た老婆と金髪の少年が立っていた。

「坊ちゃま、これでよろしかったのでございましょうか?」

金髪の少年が老婆の耳元に囁く。

「はい、わかりました、今暫く見守る事といたしましょう」

既に、辺り一面の空は、雲に覆われ雨が降り出していた、雨は地面のアスファルトに吸収されていきどんどん強くなっていた。
その雨に続くかのように、老婆と少年も地の底に消えていった・・・・・・












柳洞寺の階段の下で、ある一人の女性が倒れていた。
その女性は、深い紫色のローブをしていてフードで顔を隠し、さながら中東の回教徒のような格好をこの日本という国でしていた。
だが、その女性の美貌は郡を抜いて美しかった。
現代にいるモデルを職業とする女性でも、彼女の美しさには、目を奪われるだろう。
おまけに体のバランスもよく、官能的ではなく神秘的と言った所か、黄金比という表現が相応しかった。
それも、そのはず彼女はサーヴァントであり、クラスをキャスター、真名は―メディア-ギリシャ神話に登場する
復讐の魔女でもある。
本来は裏切りの魔女とされているが、解釈によっては裏切られて復讐に散った、悲しい女性でもある。


彼女の不運は、今回の聖杯戦争でろくでもないマスターに引き当てられた事でもある。
本来の彼女の魔法にも匹敵する魔術があれば下位と言われてる、キャスターのクラスでも戦術と優秀なマスターがいれば十分戦えるのである。
だが、ろくでもないマスターに召喚されたあげく、令呪を使われて自身の体を汚されたのである。
彼女は、そんな自分の体を汚したマスターを恨んで殺したのだった。



だが、彼女には行く当てなど、どこにもなかった。
自身の体を汚されて、自分の体を構築する魔力も既に、風前の灯火だった。
最早、彼女は、本当の意味で心身共にボロボロで、心も既に折れていた。

「ここで、お終いか・・・」

「今、思えば、ロクでもないマスターに引き当てられて、体を汚されてこんな所で終るなんて・・・・・・」

「何て、惨めな最後かしら・・・フフフ、こういうのが、私の運命なのかしら・・・」

ニヒルのような、笑みを浮かべて、彼女は自分を笑っていた。

「もう、これまでね・・・」

そういい残して、彼女は柳洞寺の階段の下のアスファルトに倒れこんだ。
そんな中で、彼女は羽織った、紫色のフードの顔の中の目元から、涙を流していたが、外は雨が降っており
その涙に、気づくものは一人を除いて、誰もいなかった・・・・・・









シンは、雨の中をフードを被り、斬られた左腕を押さえて必死に駆けて、柳洞寺に帰っていた。
先程の遠坂凛とアーチャーの二人が追いかけてくるかもしれないし、今度あったらさっきの目くらましは通用しないだろう。
不意打ちというのは不意をつけるから不意打ちなのだ、通用しなければ、大きな隙を、生む事になり、やられるのはシンの方である。

(次に、合った時はどうすればいい・・・?)

いくら、頭の中で、シミュレートしても、現時点では勝ち目が薄い。
そう考えながら、柳洞寺に付く頃には、いつの間にか左腕の傷も塞っており、動かす分には、何の支障もなくなっていた。
骨が、見えるほどの傷口がである、シンは、ますます自分の、体の謎が深まるばかりであった。




シンが柳洞寺の長い階段を登ろうとすると一人の深い紫色のフードを羽織った女性が、階段の前に倒れていた。
シンが一瞬その女性を助けようとして、近づいてフードを取って顔を見てみると、その女性の美しさに驚いたていた。
耳こそ、空想で出て来るエルフのように見えるが、絶世の美女といっても差し支えないほどの美しさを誇っていたからである。
シンは、女性の顔をよく見てある事に気づいた。

(・・・涙・・・泣いているのか・・・・・・)

シンは、そのまま女性を助けようとしたが、脳裏に葛木の言葉が浮かんでくる、

(・・・・・・面倒は持ってくるな・・・・・)

この女性を助ける、それ自体は難しくないのだが、その後が問題なのだ、
何かしらのトラブルを抱えていたら、その火種が何処まで飛んでくるか、分からないのだ。
シン自身の問題だけでは、済まないかも知れないし、最悪、葛木にも柳洞寺にも火の粉が飛ぶかもしれない。
それだけは避けなければならない。
そう思って、シンは助けようとした手を止めた。

(俺には、関係無い事だ・・・)

(運が、悪いと思って、諦めてくれ・・・)

そのまま階段を登って、見てみぬ振りをして、そのまま去ろうとしていた。
シンはあの倒れた女性の事を思い浮かべていた。

(あの女は、もう長く無いな・・・かなり衰弱していたし・・・)

(この雨に打たれて、残った体力を奪われれば時間の問題だろうな・・・)

(そういえば、あの女、泣いていたな・・・)

シンは、階段を登りながら先程の女性の事を考えていた。


そんなシンに不意に、さっきのアリスという少女の事が、思い浮かぶ、此処で彼女を見捨てたら
自分も、あの見てみぬ振りをしていた者達と同じになるのではないかと・・・
だが、あの時と、今では状況が違う、今、此処でシンが彼女を見捨てても責める者は、誰一人いないだろう。
何故ならば、誰も見ていないからである。

(それでも・・・俺は・・・・・・)

シンがそう思ったとき、既にシンは踵(きびす)を返して、階段を降りていった。
シンは自分自身に自問自答をしていた。

(何をしているんだ、俺は・・・)

(あの女は、放っておくんじゃなかったのか?)

(ならば、何故、階段を降りているんだ?)

シンは、自分自身の良心の呵責(かしゃく)というものが分からないまま女性をの方に駆け寄り
女性の体を抱き抱えて、女性の体を揺らさないように、急いで、階段を駆け上がっていった。
柳洞寺の中に入り、寺の人間に見つからないように急いで、自室に戻り、女性を静かに降ろし布団を敷いた。


雨に濡れた、女性のローブを取り、布団に寝かせ、すぐさま部屋を暖めた。
冬の冷たい、寒さは一気に体温と体力を奪うからだ。
しかも彼女は雨に打たれていた。
少しでも、部屋を暖かくして、体を冷えないようにしなければならない。



しかし、彼女の顔色は一向に、良くならない、呼吸も荒いし、血色の悪い、薄紫の色だった。
シンは、悪い様子が一向に良くならないのを感じ、不安を募らせていった。
せっかく、トラブルを覚悟して、彼女を助けたのに、このまま目を覚まさなければ意味が無い。
そんな中、シンはさっきのアーチャーと遠坂凛のことを思い出していた。

(この女は、普通の人間には見えない、もしもだが、サーヴァントという存在で・・・何かを糧にしているとしたら・・・)

(試してみる、価値はあるな・・・)

魔術師が使役している存在と仮説したなら、人間ではない、自分の血を分け与えれば、幾ばくか具合がよくなるのではないかという考えだった。
何の確証もない、仮説の話ではあるが。

(何もしないで、手をこまねいてるよりは、マシか・・・)

シンは、意識があるか分からない、女性に問いかけてみた。

「おい、聞こえるか、もし聞こえているなら、何でもいいから、反応してくれ」

彼女は、最早、虫の息なのか、全く反応しなかった。

「チッ・・・・・・」

シンは舌打ちをして、直ぐに掌から剣を精製して、自分の手を傷つけて、自分の血を口に含み
口移しで、自分の血液を彼女に飲ませた。
ゴクリと咽を潤う音がし、見る見る、目の前の女性の顔色が良くなり、肌に艶がでてくる。
弱弱しかった、呼吸も静かな吐息に変わっていた。

(もう大丈夫か・・・)

シンは、部屋を後にして、夜風に当たりに行った。
シンは、寺の庭園で、少し夜風に当たり、これからの事を考えていた。

(記憶喪失で、余所者の俺が、女性を助けてどうしようというんだろうな・・・・・・)

自分は余所者で、責任も持てない身分で、おまけに記憶喪失・・・・・・そんな人間が訳ありの女性を連れてきて
何とかしてください、そんな事をいえる訳がなかった。

(やはり、なるようにしかならないか・・・)

どうにかできないかと、思索していたが、やはりいい案が浮かばず、
正直に話すしかないと考えていた。
その結果、自分が出て行くことになっても構わないと思っていた。
最早、自分は、一人で歩いて生きていける力を持っている、ならば自分が出て行くのが道理だろうという答えにたどりついた。
シンが、悩みを振り切って、部屋に戻ろうとすると、不意に、後ろに誰かが居るのが分かった。
シンが振り返って見ると、何処から入ったのか、其処には車椅子の金髪の蒼眼の目の老人と、喪服姿が似合う黒髪の若い女性が立っていた。





シンは、その二人を見て、何かを、思い出しそうになり、途端に頭に頭痛が走った。
元々、シンは痛みに慣れていて、左腕を斬られた時も、痛みを我慢できたのだが、これは別だった。
割れるような、痛みが頭の中を駆け巡る、張り裂けそうな痛みが襲い掛かってくる。
シンは、余りの激痛に頭を両手で押さえて、膝を着き、蹲りそうになった。

「くっ・・・ぐう・・・」

自分は痛みに強かったが、これは異常ともいえる痛みだった、風邪を経験した人なら分かるが
あれを更にきつくした感じである、頭の中を焼きごてで、つっかき回されてるような痛みだった。
痛みに強いといっても、こんな拷問のような痛みには、さすがにシンも耐えられなかった。




喪服の女性がシンの様子を見かねたのか、こちらに歩み寄ってきて、シンの頭の上に手を翳した
それだけで、あんなに痛かったシンの頭の頭痛が、次第に引いていった。


流石にこれだけで信用はできず、シンは距離を取って、その二人を警戒していた。
だが、喪服の女性は、シンに、敵意が無いことを示し、柔らかな口調で話しかけてきた。

「待って、私達は、貴方の敵ではないわ」

「信用できないな・・・・・・」

そう言ってシンは警戒を怠らなかった。
実際、シンは今日、色んな事がありすぎた、だから目の前の女性が何をしてきても対応できるように身構えていた。
しかし、女性はシンの対応にも、気を悪くすることはなかった。

「今の、私達にできる事は、貴方を見守る事ぐらいしか出来ないの・・・」

「でも一つだけ、教えられる事があるわ・・・」

「聖杯戦争・・・其処に貴方の記憶を解く、鍵が其処にはあるわ・・・」

シンは黙って、喪服の女性の話を、聞いていた、以前にもこの女性に出会ったような気がするからだ。
喪服の女性は、シンのそんな様子を察したのか、同じ口調で話を続けてきた。

「もし、あなたが・・・記憶を取り戻して、聖杯戦争を生き残っていたら、その時には全てを教えるわ」

「それまで、どうか死なないで欲しい・・・」

そういい残すと、喪服の女性と車椅子の老人は夜の闇に消えていった。
シンは聖杯戦争という、単語を頭の中に残して、さっきの女性がいる部屋にもどっていった・・・・・・











感想


人修羅のシンなんですが、なんでこんなに弱いのと思うかもしれませんが、アバタールチューナーでいうジャンクヤードから、でてきたばかりのゲイルだと思ってください。
それかナルトでいう、九尾の狐のチャクラを封印されてる状態のような感じです。

人修羅が弱い理由についてはそんなものです。
余り深く、突っ込まないで下さい。

ベニー松山さんの小説を読んで、どうやって書いたら、面白く見えるのかと思っております。

不甲斐無い文では、ありますが、少しづつ、更新していくので、見てください。


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