コラム・エッセイ
ペット用品通販 ペピイ > コラム・エッセイ > 介助犬シンシア、エルモとともに―補助犬法の施行で変わったこと、変わらなかったこと
27歳の時にバイク事故によって頚髄を損傷し、下半身麻痺と手先の自由がきかないなどの障害を負った木村さん。3年半におよぶリハビリ生活を経て自宅に戻り、コンピュータを扱う在宅勤務の嘱託社員として復職を果たしました。その後、シンシア、エルモの2頭の介助犬とともに社会参加への道を歩みつつ、講演活動や行政への活発な働きかけを通して介助犬の普及に尽力。その甲斐あって2002年、身体障害者補助犬法が制定されました。翌年の全面施行から5年が経過しようとしているいま、補助犬をめぐる現状とこれまでの道のり、今後の計画などをお話しいただきました。
それまでは視覚障害者のための盲導犬だけが道路交通法で認められていましたが、身体障害者補助犬法では肢体不自由者のための介助犬、聴覚障害者のための聴導犬も補助犬として認められました。この法律により、補助犬は電車、飛行機、バス、船、すべての公共交通機関に事前許可なしに乗れるようになりました。また、国や地方自治体、公益法人などでも補助犬を受け入れないといけなくなりました。そしてホテル、レストランなど不特定多数の人が利用する公共性の高い施設については、民間施設でも補助犬の受け入れが義務化されました。
私が住んでいる宝塚市やダイエーグループさんは、法律が施行される前から積極的に介助犬を受け入れてくれましたが、多くの施設やお店は利用ができず、たとえば盲導犬でもホテルに泊まる際に断られるといったことがしばしば起こっていました。法律ができてからは、「補助犬の受け入れは、法律で義務付けられているんですよ」と言えます。権利として補助犬を同伴できるようになったことは、障害者の自立や社会参加の道を大きく切り開いたといえます。
身体障害者補助犬法では、民間の職場や住宅における補助犬の受け入れが義務化されていませんでした。そのため、私たちは法改正を求める活動を続け、一昨年には10万名を超える署名を集めて、国会へ提出しました。その結果、2007年11月に改正身体障害者補助犬法が成立し、法定雇用障害者数が1人以上となる従業員56人以上の事業所では補助犬の受け入れが義務化されました。しかし、マンションなどの民間の住宅については、所有者の私権も考慮しなければならないということで、改正前とかわらず、受け入れは「努力義務」にとどまりました。
2005年に補助犬使用者にアンケートを行ないましたが、約6割の使用者が何らかの施設において、同伴拒否を経験していました。同伴拒否の多い施設は飲食店で、約4割の使用者が経験しています。同伴拒否は、食品を扱うため、衛生上の問題を気にしてのことだと思いますが、身体障害者補助犬法では使用者にも責任が課せられていて、普通の犬以上に補助犬を清潔に保たなければならず、ヘルスケアや行動を管理する義務があります。「犬嫌いや犬アレルギーの方がおられますので」と断られるケースもあるのですが、席に案内するときに、周辺のお客さんに確認してもらい、そういう方がおられる場合は、離れた席に案内するなどの配慮をしていただければと思います。犬アレルギーについては、犬に抱きつくなどの濃厚な接触をしなければ発症しないようですし、気密性が高い飛行機の客室でも、補助犬を同伴したためにアレルギーが発症したという例は報告されていません。
補助犬法には、罰金などの罰則規定がありません。そのため、今回の改正に、補助犬に関する問題を解決するための相談窓口を設置することが付け加えられました。都道府県が、補助犬に関する苦情や相談に責任をもって対応することになります。同伴拒否への対応だけでなく、問題のある補助犬や育成団体に関する苦情にも対応し、必要な調査や指導を行なうことができます。
盲導犬、聴導犬、介助犬の3種類の犬をまとめて身体障害者補助犬と呼びます。身体障害者補助犬法とは、身体障害者の自立・社会参加促進のために、補助犬の同伴を保障する法律です。電車やバスなどの交通機関、図書館や美術館などの公的施設、公共性の高いホテル・レストラン・デパート・スーパーなどに、身体障害者が補助犬を同伴した場合に、これを拒んではならない義務が定められています。それに伴って、育成者やユーザーにも明確な責任が課されるようになりました。身体障害者補助犬法は、2003年10月から全面施行され、2008年10月からは、一定以上の事業所については補助犬の職場への受け入れも義務化されます。
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