韓国の人工太陽「KSTAR」、核融合に成功(下)
1000万度を超える高温になると、核融合装置で作られるプラズマの電子、イオンは四方八方に飛び散る。ちょうど、熱い溶鉱炉の中の火炎が、ゆらゆらと揺らめく状態に似ている。
プラズマの自由な動きは、場合によっては核融合装置に損傷を与えかねない。飛び回るプラズマを制御し、いかに特定の空間に閉じ込めておくかが、核融合発電のカギとなる。国家核融合研究所の研究陣は、プラズマを制御するため、KSTARの内部に、プラズマの状態を外部に知らせるセンサー約60種類を取り付けた。レーザーやマイクロ波などをプラズマに当て、反射や透過の量を測定すれば、プラズマが正常な状態かどうかを把握できる。
プラズマが異常に空間を飛び出す動きが生じた場合、コンピューターがこれを感知し、プラズマの勢いを弱めたり、位置を補正する。プラズマを制御する一連の過程は、100万分の1秒から1万分の1秒の間に行われる。
国家核融合研究所の権勉(クォン・ミョン)博士は今月11日、大田コンベンションセンターで開催された「IAEA(国際原子力機関)核融合エネルギー・カンファレンス」で、「KSTARを利用し、摂氏2000万度で6秒間、安定的にプラズマを維持することに成功した。今後2022年までに、KSTAR商用発電の分岐点となる、摂氏3億度のプラズマを300秒間、安定的に維持することを目指したい」と語った。
■核融合の証拠、中性子を検出
核融合発電が行われる際は、副産物の中性子が必ず放出されなければならない。今回のKSTAR実験では、中性子が検出された。KSTARで実際に核融合が起こった証拠といえる。漢陽大原子力工学科のキム・ヨンギュン教授は、「今回のKSTAR実験で、核融合反応により2.45メガエレクトロンボルト級のエネルギーを帯びた中性子を検出するのに成功した」と語った。2.45メガエレクトロンボルトとは、1.5ボルト乾電池160万個分に相当するエネルギーを指す。キム教授は、「超電導体を使用する核融合装置で中性子を検出した実験は、今回が初めて。ITERはKSTARと同じ超電導方式で核融合を行う計画で、今回の研究成功により、人類が核融合発電で電気を生み出す可能性がより高まった」と語った。
韓国と同じ超電導体方式を採用している海外の核融合装置には、中国・合肥のEASTがある。EASTでは、プラズマの維持時間が60秒に達した。しかし、中性子が検出されたかどうかは明らかではない。国家核融合研究所のキム・ウンテ博士は、「EASTの導入は韓国より2年早く始まり、現時点ではプラズマの安定時間が長い。しかし、韓国の方がより優れた超電導体を使用しているため、今後の発展スピードは韓国の方が速いといえる」と語った。
趙虎鎮(チョ・ホジン)記者