【社説】中国の審判仰いだ「習近平発言」騒動

 中国外務省の馬朝旭報道局長は21日、習近平国家副主席が韓国政府を「韓半島(朝鮮半島)の平和の妨害者だ」と述べたとする民主党の朴智元(パク・チウォン)院内代表の主張について、「確認の結果、事実には合致しない」と公式に否定した。朴院内代表は19日、韓国政府の対北朝鮮強硬政策を批判し、中国の次期指導者である習副主席が昨年5月、故・金大中(キム・デジュン)元大統領と会った際、問題の発言を行ったと主張した。大統領府(青瓦台)は直ちに「駐中韓国大使館の会談同席者が作成した会話要録や、当時金元大統領が公開した会話録のどこにもそんな内容はなかった」とし、朴院内代表を「利敵行為者」と非難。ハンナラ党もそれに同調した。

 朴院内代表は、中国政府の否定発表があった後、報道資料を通じ、「(韓中間の摩擦を考慮した)中国政府の外交的立場を理解する。韓中間の外交関係と国益のため、これ以上言及しない」と表明した。しかし、朴院内代表が本当に韓中間の外交関係や国益を心配するならば、初めからそんな発言はすべきではなかった。朴院内代表は金大中政権で大統領秘書室長、閣僚、北朝鮮への密使などの役割を果たした人物だ。国家間の外交における会話内容をどちらかが一方的に公表するのは、外交上最も優先すべきタブーだということを知らないはずはない。

 その上、中国政府が確認をしなかったならば、習副主席の発言の真偽を判断することすら難しかった。与野党や韓国政府が習副主席に事実かどうか尋ねることは、政治的にも外交的にも不可能だったからだ。こうした状況で、習副主席が行ったとされる発言は、韓国国民の心にしこりを残し、両国関係に悪影響を与えざるを得ない。それでも朴院内代表が大国の次期指導者の権威を借り、政府の対北朝鮮政策を批判する意図で、そんな行動を取ったとすれば、それを「事大主義」と批判しても言い過ぎではなかろう。

 中国は米国と並ぶ大国という地位もさることながら、北朝鮮の後見人として、韓半島情勢の変化に決定的な役割を果たす国だ。中国は外交で、国家間、個人間の信義を最も重視する。そんな国の次期指導者を韓国の政治家が国内政界の論争に巻き込んだのだから、中国も驚いたことだろう。「われわれも関連報道と韓国政府の立場表明を注視している」という馬報道局長の発言には、中国側の決まりの悪さが表れている。韓国の政治家はいつになれば、道理をわきまえ、恥というものを知ることができるのか。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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