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2010-01-16

2009年のギャルゲー売り上げ&ちょっとした総括と展望

こんちは〜、ジャスト一年振りの更新です。見ている人、いますか?

ということで、毎年恒例のコンシューマギャルゲー年間売り上げランキングを。数字は、ファミ通の売り上げデータを基本に。ただ紙面にはTOP30までしか数字載ってませんので、細かい所は推測値になります。なお、アニメや漫画・ライトノベルなど原作が他にあるものは、ここではギャルゲに含めないということで集計しています(たとえばハルヒとからき☆すたとかね)。

順位機種タイトルメーカー推定本数発売日初週本数
1PSPアイドルマスターSPバンダイナムコ187,0392月19日121,271
2DSラブプラスコナミ175,8959月3日47,854
3PS2アマガミエンターブレイン73,4153月19日47,762
4PSPときめきメモリアル4コナミ68,87012月3日47,469
5XBOX360ドリームクラブD3パブリッシャー58,2908月27日44,884
6PS2メルティブラッド アクトレスアゲインエコール58,2048月20日42,489
7XBOX360シュタインズゲート5pb43,63810月15日16,434
8PSPTo Heart2 PORTABLEアクアプラス43,3617月30日32,521
9DSアイドルマスター ディアリースターズバンダイナムコ42,8149月17日33,395
10PSPFate/Unlimited Codes PORTABLEカプコン37,7796月18日31,822
11PSPおおかみかくしコナミ35,9708月20日21,582
12DSひぐらしのなく頃に絆 第三巻・螺アルケミスト34,7255月28日26,391
13PSPうたわれるもの PORTABLEアクアプラス33,0815月28日23,157
14XBOX360CHAOS;HEAD NOAH5pb25,6452月26日17,952
15PSP智代アフタープロトタイプ22,1353月19日15,495
16PS3ティアーズ・トゥ・ティアラ外伝 アヴァロンの謎アクアプラス20,5869月17日16,469
17PS2すっごい!アルカナハート2AQインタラクティブ18,3174月9日13,738
18PS2D.C.I.F. 〜ダ・カーポイノセントフィナーレSweets15,8564月29日12,685
19XBOX36011eyes CrossOver5pb13,9194月2日10,022
20DSひぐらしの哭く頃に 雀AQインタラクティブ13,60711月12日10,342

基本的には初動率70%くらいで計算して数字出してます。廉価版を除く殆ど全てのコンシュマギャルゲーが、初動率65〜80%で収まっているので、これでもおおむね/だいたいくらいの数字として見るならいけるでしょう。数千本違ってても、数万本違うというのは多分殆ど無いはずだと思います(去年やった時は二個ほど思いっきりずれちゃったけど)。ちなみに「リトバスCE」も多分2万本くらいは売れてるんじゃないかと思いますけど(ファミ通TOP30においては初週ランク外、しかし年末ということもあり下限が32000本の激戦週)、初週の数字すらわからんので除外。

とはいえ今年は「ラブプラス」「シュタインズゲート」という、普通の売り上げではないギャルゲーがあったので、その辺に関してはもうちょい細かくやっています。「シュタインズゲート」は、初週16434本、二週目4253本、三週目6095本と推移したあと、四週目からはランク外(TOP30の下限値は、年末年始や決算期ラッシュなどを除くと、だいたい5000〜3000本くらいが基本)。三週目で売り上げが増したのは、ちょうどネットで評判になり始めたあたりですね。ここから普通のギャルゲーの二週目以降のように半分→半分→半分(たとえば6000本→3000本→1500本→750本)と一気に落ちていくとは考えずらいので、その辺の下降線が緩やかなものだと仮定して計算しています。まーなんつうかVGばりの推測っぷりなので、あくまで大体というか多分の数字ということで(笑)。そのうちまともなの出たら修正します。

ラブプラス」の売り上げ推移は、これだけ長期間に渡り売れ続けているのは、廉価版を除くとおそらく「サクラ大戦」とかあの辺のギャルゲー全盛期以来となるんじゃないでしょうか。(※「サクラ大戦」初週20万のあと、二週目45000、以降23000→12000→8700→8500→8000→5000→7000……と推移、「ラブプラス」初週47000のあと、二週目15000、以降6500→ランク外→6500→ランク外→25000→16000→4000→6000と推移)  とそんなワケで、初動率なんかから推測しようが無いので、その後も5000から緩やかに4000→3000台と下がっていく感じかなぁと推測して数字出してます。これもまた、後にまともな数字が出てきたら修正したいですね。


2009年のコンシューマギャルゲーは「変化の年」だった

さて、2009年のTOP20を見てまず驚くのは、10万本以上の大ヒットが2本、5万本以上のヒットが4本あるということ、そしてそのうち「アイマス」と「メルティブラッド」以外が移植ではない、コンシューマオリジナルというところです(アイマスは大元はアーケードメルブラは大元がPC、どちらも大元からはかなり変化していますが)。

たとえば2008年のベスト10を見てみましょう。

■2008年

1PS2Fate/Unlimted Codesカプコン107,040
2DSひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟アルケミスト82,566
3PS2アイドルマスターL4Uバンダイナムコ75,272
4DSサクラ大戦 君あるがためセガ59,040
5PS3ティアーズ・トゥ・ティアラアクアプラス55,415
6PS2D.C.2 P.S. ダ・カーポ2 プラスシチュエーション角川書店55,194
7PSPCLANNADプロトタイプ53,147
8PS2キミキス(エビコレ)エンターブレイン51,283
9PSPひぐらしデイブレイク PORTABLEアルケミスト46,918
10DSひぐらしのなく頃に絆 第二巻・想アルケミスト44,912

(※2007年以前はこちら(http://d.hatena.ne.jp/Nota/20090116/1232099616)を参照ということで)

このうちコンシューマオリジナルは「サクラ大戦君ある」「キミキス」、そして元もとのアーケードとは全然別物なので最早オリジナルといって差し支えない「アイマスL4U」の3本(うち一本「キミキス」は所謂ベスト版に多少のプラスアルファが為されたものなので、2008年の新作だとは言い切れない)。対し2009年はTOP10圏内に「ラブプラス」「アマガミ」「ときメモ4」「ドリクラ」「シュタゲ」と5本もある、さらに「ラブプラス」「ドリクラ」と続編ではない全くの新作が2本あるというところも、驚異的ではないでしょうか。

2009年のコンシューマギャルゲーは「変化の年」だった。そんなことは「ラブプラス」「シュタゲ」「ドリクラ」「ときメモ4」などのオリジナルタイトルがここ数年のギャルゲーでは殆ど類が無いほどに話題になったという点からも明らかですが、もっと全体的に見ても変化の潮流を感じ取ることが出来るでしょう。

たとえばギャルゲーのタイトル数は、2007年:56タイトル、2008年:58タイトルと推移していましたが、2009年はなんと71タイトルも発売されています(※廉価版、内容と機種は同じでの連作の1・2セットリパッケージ版(たとえば「ひぐらし絆 第一巻・第二巻セット」)などは除く)。単純に発売タイトル数が二割増しに伸びているということですね。

さらに機種別の発売タイトル本数の版図も大きく塗り替えられています。

PS2PS3WiiXBOX360PSPDS
20074200195
200833(-22%)112(+100%)13(+44%)9(+80%)
200918(-46%)108(+400%)34(+160%)10(+10%)

2007年に比べると、PS2でのギャルゲー発売本数は2008年に約2割減、さらに2009年にはその半分近く減り、2年前の4割ほどのタイトル数になってしまいました。変わって驚異的な伸びを見せているのがXBOX360PSP。前者はそもそもタイトル数が少なすぎるのでパーセントで見ると凄いことになってるんですけど(笑)、それでも「アイマス」一本から2倍・4倍と伸び続けています。頭打ちラインが何タイトルあたりになるのか分かりかねるところですが、少なくとも今年中にはPS2のタイトル数を逆転するのではないでしょうか。そして2009年、タイトル数においては覇権を獲得したPSP(たとえば売り上げにおいても、PS2PSPで同時発売だった『戦極姫』が、PS2版:初週4,775本、PSP版:初週7,704本と、タイトル数はおろか売り上げにおいてもPSPPS2を上回る例もあります)。08年も決して少なくは無かったのですが、そこからさらに3倍近くのタイトルを発売しています。発売予定表を見る限りでは、まだまだ勢いは衰えなさそうです、が、実はPSPは、2009年に発売された34タイトル中24タイトルが「既にPS2など他の機種で発売済みゲームの移植」というもの。売り上げランキングに入ったものでは『To Heart2』や『うたわれるもの』などがそうですね。他に元KIDタイトルが恐ろしいほど沢山発売されてたりします。まあ早い話が、「ほにゃららポータブル」というタイトルが付けられたゲームがめっちゃ多いという話で(2009年で10タイトル)。その点、PSPギャルゲ全体で見ても、去年よりタイトル数増えたとはいえ、多機種間の移植が多いというのを考えると、数字を額面通りに受け取りすぎるのもあまりよくないかもしれません。

また「PC(主にエロゲ)からの移植」が新作という観点(多機種で既に発売済みのものを除くと、という意味)からすると少し減ったというのも、変化を表しているでしょう。2007年は32タイトル、2008年は30タイトルに対し、2007年は22タイトル。まあ多機種で既に一度は移植されたことのあるPCゲーム(たとえばPSPの『うたわれ』とか『To Heart2』とか)を入れると平年並みになるのですが(2007年:35タイトル、2008年:36タイトル、2009年:37タイトル)、しかし全体の発売タイトル数から換算した割合で読むと、2007年:62%が元PCゲー、2008年:同じく62%、2009年:52%が元PCゲーとなるように、確実に減っていると言えるでしょう。その変化は実際、上記したように、売り上げにおいてもですね。

ここ5年の、「元がPCゲーム(エロゲ・全年齢・同人)」タイトルで、売り上げが3万本以上だったものを列挙してみると、

09PS2メルティブラッド アクトレスアゲインエコール58,204
09DSひぐらしのなく頃に絆 第三巻・螺アルケミスト34,725
09PSPうたわれるもの PORTABLEアクアプラス33,081
08DSひぐらしのなく頃に絆 第一巻・祟アルケミスト82,566
08PS3ティアーズ・トゥ・ティアラアクアプラス55,415
08PS2D.C.2 P.S. ダ・カーポ2 プラスシチュエーション角川書店55,194
08PSPCLANNADプロトタイプ53,147
08PSPひぐらしデイブレイク PORTABLEアルケミスト46,918
08DSひぐらしのなく頃に絆 第二巻・想アルケミスト44,912
07PS2Fate/stay night[Realta Nua]角川書店184,558
07PS2ひぐらしのなく頃に祭アルケミスト112,859
07PS2ひぐらしのなく頃に祭 カケラ遊びアルケミスト51,666
06PS2メルティブラッド アクトカデンツァエコール124,880
06PS2うたわれるもの 〜散りゆく者への子守唄〜アクアプラス101,123
06PS2CLANNAD -クラナド-インターチャネル41,722
05PS2つよきす 〜Mighty Heart〜プリンセスソフト33,233
04PS2SHUFFLE! ON THE STAGE角川書店35,625
03PS2D.C.P.S. 〜ダ・カーポ プラスシチュエーション〜角川書店45,431
03PS2EVE burst error PLUSゲームビレッジ39,719

こう見ると03〜05年のヤバさが際立つ感じなのですが(笑)、逆に08年以降、特に09年の再生産っぷりが際立つ結果でもありますね。つまり、「TYPE-MOONFate)」関係と「ひぐらし」関係か、既にPS2などに移植済みの葉鍵の「PSP移植」という再生産。実際TYPE-MOONひぐらしPSP移植を抜かしたら、07年以降は「ダ・カーポ」と「TTT」しか無いワケでして。

それを考えると、09年の変化は、まずPSPの飛躍という点で非常に「流れに合ってる・正しい」ものであり(勿論売り上げ的な意味でですが)、そして「TYPE-MOON」でも「ひぐらし」でもない、オリジナルタイトルである「ラブプラス」や「ドリクラ」「シュタゲ」が売れる・話題になるという点でも非常に「好感的な変化」と言えるでしょう。つまり「TYPE-MOON」「ひぐらし」に頼らなくてもいい、次の一手を掴み取ったという点において。さらにそれが、移植ではなくオリジナルだということも良い傾向ではないでしょうか。次の「Fate」、次の「ひぐらし」を待つのではなく、コンシューマが自分たちの手でそれ(に相当する売り上げ・話題作)を作り出すということ、そして実際に作り出せたということ。

またコンシューマギャルゲ全体の販売本数も、あくまで推測値ですが、07年が1,003,450本、08年が1,112,993本と来て09年が1,359,983本と非常に上向いています。単純に本数が増えているのですから全体の売り上げが増えるのは当然なのですが、それにしても良い傾向ではないでしょうか。

果たしてこの流れが2010年にどのように繋がっていくのか、現時点ではまだまだ不明ではありますが、しかし数字を見る限りでは、近年では稀なほど、コンシューマギャルゲー(ゲーム内容も市場も)に希望が持てる結果だったのではないでしょうか。