エコカー大戦争!
【第40回】 2010年4月19日
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桃田 健史 [ジャーナリスト]

販売台数がピークの9分の1に激減!
日本製オートバイのあまりにも厳しい前途

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都会は電車・バス、田舎は軽自動車
そして自転車、電動アシスト自転車が急増

 「♪ラッタッター」。

 1976年、イタリア女優のソフィア・ローレンさんが、テレビCM出演した、ホンダの排気量50ccオートバイ「ロードパル」(当時価格5万9800円)。自転車に代わる「主婦層の買い物用乗り物」として、日本市場に強烈なインパクトを与えた。翌77年には、ヤマハが「パッソル」を発売。ここから、世に言う「HY(Honda/Yamaha)戦争」が始まった。

 当初の足踏み式キックスターターが電動スターターになり、車体が大型し、出力/トルクが上がり、燃費が良くなり、シート下にヘルメットが格納可能となり、両社は多種多様な排気量50ccオートバイを次々と市場に送り出していった。80年代漫才ブームのなか、「のりお・よしお」の西川のりおさんは、「ラッタッター、パァッ!、天下御免の向こう傷、つくつくボウォ~し!」とギャグを繰り出した。

 90年代初頭、筆者の知り合いの大手広告代理店の幹部で、80年代当時オートバイ業種を担当していた人が、80年代のHY戦争を振り返りこんなことを言っていた。「あれはまさに、(HY)戦争だったね。営業や広告の分野では、手段を選ばず足の引っ張り合い、中傷し合い、どんどん泥沼化してしまい…。結果として両社にとって良かったのか悪かったのか…。まあ、あれも時代の流れで、誰も避けて通れない道だったのかもしれないと思う」。

 80年代、日本全国で主婦や若者が50ccオートバイを、「原付(ゲンツキ)」、「ゲンチャリ」などと呼び、日常生活のなかで重宝していた。また地方都市では、特攻服をまとった女性暴走族が排気管を改造した「ゲンツキ」で、甲高いエキゾーストノートをなびかせた。

 対する2010年、街で見かける50ccオートバイは80年代と比べると圧倒的に数が少ないと思える。だが保有台数(2008年3月末時点・総務省調べ)で同車両は790万台もある。つまり、実動率が低いのだ。

 では、主婦や若者はいま、何を乗っているのか?東京周辺では80年代に比べて、地下鉄網の整備や私鉄・JRの相互乗り入れの拡大などで、電車・バス移動が増えた。地方では、80年代の50ccオートバイのように、主婦が軽自動車を乗り回している。

 そしていま、増えているのが自転車だ。ファッション性、維持費の安さ、健康志向、環境意識など自転車が選らばれる理由は多岐に渡る。さらに、(通称)電動アシスト自転車に対する需要が急激に上昇。「以前は高齢者や主婦層が主体でしたが、一昨年あたりから高校生の需要など若者層で予想以上の伸びが出ています。(結果として)2008年、史上初めて電動アシスト自転車の年間売り上げが、50cc以下の原付を抜きました」(ヤマハ発動機・営業統括部営業部・営業企画課広報宣伝グループ・グループリーダー宮本義信氏)

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桃田 健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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