「ロジカル・チーム・ワークマネジメントの時代」

ロジカル・チーム・ワークマネジメントの時代

2010年10月22日(金)

チームワークって有効なの?

「精神論」からロジカルチームワークへ

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そもそもチームとは

■ チームとは

 前回と重複するが、本稿では、チームと呼ぶ集団を以下のように定義する。

(1) その集団が達成すべき明確な目標と期限がある。
(2) 課題を遂行するための役割がメンバーに割り当てられている。
(3) メンバーの課題遂行は、他のメンバーの遂行状況や結果に依存し、影響を受ける。
(4) メンバーとそうでない人の境界が明確で、メンバーは自身がチームに属することを認識している。
(5) チームの内部にはリーダーとメンバーの関係を除いて、組織的階層はなく、メンバーは対等な立場である。
(6) チームの目標、課題、資源、およびチーム内部の自治の程度などが、その外部にある組織との間で決定され約束されているが、チーム内部の自治の程度は、組織に比べて大きい。

 下の図のように、チームは組織の中に置かれ、必要に応じて組織を横断したチームメンバーで構成される。チームメンバーは、同時に複数の組織に所属することがあり、リーダーが他のチームのメンバーを兼任することもある。

チームのタスク

 チームのタスクとは、与えられた目標を達成するために、チームとして行う仕事である。チームのタスクは、チームのメンバーの専門性や役割に応じて分解され、メンバーのタスクとして割り当てられる。この際、チームリーダーは、リーダーシップスキルを駆使した重要な役割を演じなくてはならないが、これについても別稿で紹介していくことにする。

 さて、メンバーのタスクは現実には、複雑な依存関係になる場合が多いが、これらを典型的な関係に分類し、それぞれの特徴や、重要なポイントを知っておくことは、よいチームワークを維持するために役に立つのではないだろうか。以下、代表的なものについて紹介しよう。

(1)加算型

 メンバーは各々独立して仕事をし、その合計はチームの仕事量になる関係。テレアポをとるチームは、アポインター一人一人のアポイント量の合計が、チームの仕事量になる。大型店舗の販売員チームなどもこれに近い。

(2)分離型

 メンバーは各々独立して同じ仕事をし、一人でも正しい結果が出たら、チームの目的が達成できる関係。トラブルの原因究明や、問題の解決などをチームで行う場合がこれに近い。

(3)結合型

 グループのメンバー全員が自分の責任を果たして、はじめてチームの目的が達成される関係。何人かで山登りをし、全員が登頂することがチームの目的達成というような場合であるが、実際の仕事では、このように全員が同じ仕事をするのではなく、分業していることがほとんどである。その場合には、メンバー全員が、各々に与えられた分担を完遂することで、チームの目的が達成される。結合型はさらに、メンバーのタスクの関係性に応じて次のように2つに分けることができる。ここでは、結合I型と、結合II型ということにしよう。

 結合I型は、自動車の製造ラインのように、前の工程の組み立てが終わったら、次の工程のメンバーに引き継いでいく、といったシーケンシャルな関係である。結合II型は、あるメンバーの役割、仕事の内容や量が、他のメンバーの仕事の遂行によって、変わってくるという関係だ。この型は、メンバーのタスクの関係性が、これまでで最も強いものになる。

 もちろん、実際の仕事では、このよう型にきれい分類することはできない。しかし、チームのタスクは、このような依存関係からなるサブタスクが組み合さってできており、それらをメンバーに割り当てることで、メンバーのタスクの依存関係に違いが生じる。また、チームのタスクが全体として、これらの依存関係のひとつに近いと見ることができる場合がある。これに関して、面白い例を紹介しよう。





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著者プロフィール

北原 康富(きたはら やすとみ)

サイボウズ株式会社 シニアフェロー。早稲田大学 非常勤講師。博士(学術)
ロジカルチームワークシンポジウムを開催いたします。詳細はこちらをご覧ください。


このコラムについて

ロジカル・チーム・ワークマネジメントの時代

どの経営者も、社員が助け合い、企業の目標を達成するために努力してもらうと同時に、その組織で働くことに満足してもらいたいと思っている。経営環境がグローバル化、高度化した今日、チームワークはこれまでにも増して注目されている。今回は古くて新しい言葉「チームワーク」の概念をさらに洗練させた「ロジカル・チームワーク」について連載で解説していこう。

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