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【長野】「Cルート優位」歓迎と反発 リニア問題2010年10月21日
リニア中央新幹線のルート問題は20日、国土交通省の交通政策審議会小委員会が南アルプスを貫く「Cルート優位」との試算を公表した。飯田下伊那地域からは歓迎の声が上がる半面、南アを迂回(うかい)する「Bルート」を求めてきた諏訪や伊那などの地域からは、約20年の運動にも触れて「納得いかない」との立場。阿部守一知事は態度を明確にしていないが、地域振興の視点で県が今後、どう判断していくかが問われそうだ。 □阿部知事阿部知事はこの日、国交省で久保成人鉄道局長と非公開で懇談。終了後「県内にはさまざまな声があり、交政審にはしっかりと耳を傾けた上で判断してほしい」と述べ、B、C両ルートの要望がある県内状況を「両論併記」の形で伝えていく考えを明らかにした。 今回の試算は「一方的にどちらが望ましいという結論には必ずしもなっていない。検討材料の一つだ」との受け止めで、審議会側には特定のルートを要望しない考えをあらためて示した。 今後については「県全体にとって最大限プラスの効果が出ることが重要。地域振興のあり方を交政審や政府にも考えてほしい。そのための働き掛けをしていく」と語った。 □Cルート推進「リニアの早期実現、飯田駅設置が確実になるように飯田下伊那地域が一丸となって取り組みたい」。牧野光朗飯田市長は「まだ意見が集約されたわけではない」と慎重姿勢を示しつつ、今後に目を向けた。 Cルート「優位」の試算は「飯田駅実現をより確かなものにするための材料」と好感。同駅建設費負担問題は「JR東海と地域振興を目指す行政が考えを擦り合わせていくことが課題」と述べた。 宮島八束飯田商工会議所会頭は「方向性は望むコースにますます近づいた」。同駅建設費などの募金活動や地域振興策に意欲を見せた上で「県内で争奪戦をしてきたが、ルートが決まればノーサイド。諏訪や伊那地域と発展のために手を組んでいきたい」と力を込めた。 □Bルート支持Bルートを支持する諏訪や伊那地域の関係者は一様に落胆の表情。だが「白旗を揚げる段階ではない」として主張を続ける構えだ。 「厳しい発表で残念だ。しかし、国の決定が出るまでは働き掛ける」と繰り返したのは山田勝文諏訪市長。費用対効果など根拠にした試算に疑問を投げかけ「(Cルートで短縮される)7分が惜しいという人がそういるのか。(Bルートは)八ケ岳や南アルプスが眺められる」。 白鳥孝伊那市長も「試算の前提条件などを検証しなければ受け入れられない」ときっぱり。「20年間、ルート問題に携わってきた人たちの声を聞いてもらう場を審議会小委員会に訴えたい」と語り、要望活動を続ける意向だ。 菅谷昭松本市長も「国や県の動向を注視していく」との姿勢だ。 (リニア中央新幹線取材班) PR情報
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