安倍官房報償費の情報公開裁判の予定(官房機密費37)
10月22日(金)午後1時30分、大阪地裁の1007号法廷で、安倍官房長官時代の官房報償費の情報公開請求裁判が開かれる
当日の議題は
1 前回の千代幹也証人が「官房報償費の具体的使途」に関する証言を拒した。当日も議論となったが、今回、千代証人がどの点を証言拒否したか、それが正当な理由があるかどうか、もし、証言拒絶するなら仙谷官房長官の「承認」が必要なところ、その承認がないがどうするかが議論となる。原告側は下記記載の書面を予め裁判所に提出している。
2 もうひとつの課題は安倍元官房長官を原告側は証人申請している問題である。国(現民主党内閣=仙谷長官)は自分も使いたいから必至になって、安倍長官は不要という意見書を先日裁判所に出してきた。これに対しても、原告側は安倍証人の採用の必要性を以下の通り10/21に書面で提出した。
裁判所は、これに対してどうするか、注目される。傍聴は自由。
1 千代証人の証言拒絶に対する原告側の申立の要旨
平成22年8月13日に行われた証人千代幹也に対する証人尋問において、同証人は、自らの体験した事実につき原告代理人の尋問に回答する代わりに、「具体的な使途に関わるため答えられない」等と繰り返し述べ、各尋問に対する証言を拒絶した。・・・・原告は、法191条第1項に基づき、裁判所に対して同条項が規定する監督官庁(内閣官房長官)の承認を得るよう求める
記
1(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
平成21年10月19日付被告「第6準備書面」別紙1における「使用目的区分」欄記載の「対価(合意・協力、情報)」のうち、「合意」とは、具体的に何に対する合意か
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書30頁3行目、16行目
2(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
国会議員に対して政策推進費を配布したことがあるかどうか
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書37頁15行目、38頁1行目、10行目、23行目
3(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
官房長官から内閣総理大臣に対して政策推進費を配布したことがあるかどうか
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書42頁12行目、15行目、19行目
4(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
公務員(国家公務員)に対して内閣報償費を配布したことがあるかどうか
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書45頁10行目、21行目、27行目、65頁20行目、22行目、26行目、66頁5行目、20行目、67頁4行目
5(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
活動関係費中の交通費に、電車、飛行機の運賃も含まれるか否か
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書54頁1行目、8行目
6(1)承認を求めるべき具体的尋問事項
官房長官に対して調査情報対策費もしくは活動関係費としての支出を求める旨の請求書を提出した際に、官房長官が当該請求書の決裁を拒否したことがあったか否か
(2)尋問調書における具体的質問部分
証人尋問調書60頁20行目
(注)秘密、秘密というから交通費の中に、電車、飛行機の運賃が含まれるかどうかまで証言拒絶とは!?(笑い)
2 安倍(元官房長官)証人の採用の必要性は以下の通り(要旨) (1) 本件における行政文書を国が非開示決定したのであるから、裁判所の審査にあたって、国の主張、立証責任は、
① 非開示対象文書にどのような情報が記載されているか
② その情報内容をできる限り具体的に説明し
③ 仮に具体的に説明すると情報の開示となる場合でも、裁判所が審査できる程度にその情報を特定することが求められる
④ その上でその情報が、開示されると、どのような情報公開法に定める障害事由があるか
⑤ その障害事由が抽象的な危険性ではなく具体的な危険性に関する弊害の事実の主張、立証責任を負う
ところが、千代幹也証人は上記①及び④の障害事由を抽象的に説明したが、上記②③の点になると、途端に「具体的使途に関する質問」であるとして原告代理人の質問に回答しなかった。
(2) 官房報償費の支出については、国は次のとおり費用に支出されていると説明している。
① 政策推進費
施策の円滑かつ効果的な推進のため、官房長官としての高度な政策的判断により、機動的に使用することが必要な経費
② 調査情報対策費
施策の円滑かつ効果的な推進のため、その時々の状況に応じ必要な情報を得るために必要な経費
③ 活動関係費
上記①及び②を行うにあたり、これらの活動が円滑に行われ、所期の目的が達成されるよう、これらを支援するために必要な経費
(3) しかし、その支出の実態については元官房長官であった者がマスコミに次のように述べている。
武村正義元官房長官
「外遊する国会議員へのせんべつが多かった。これは以前からの慣例だった。韓国なら30万円、アジア諸国50万円、ヨーロッパは100万円トランクづけして渡した」(「しんぶん赤旗」日曜版11月22日号)
海江田万里民主党選対委員長代理
「中国に5人で行ったときですけど、ひとり10万円くらいでしたか。武村(正義官房長官)さんから、人数分もらった。みんなに(せんべつを)くばって、お土産を買ってくる」(TBS系「サタデーずばっと」11月21日放送)
石破茂自民党政調会長
「昔は景気よく(外遊のせんべつに)配った。随行員の(宿泊ホテルの)グレードをあげることに使う」(TBS系「サタデーずばっと」11月21日放送)
野坂浩賢元官房長官
「最も多い道はせんべつだ。国会議員が海外視察に出かける時に渡した。若い議員には30万円ぐらい、委員長になると100万円ほどになる」「せんべつを受け取る人は与野党問わない。だが、共産党は呼んでも取りに来ない」「3回ほど与野党の国会対策委員会幹部に渡したことがあった。法案通過だったか難しい破局を乗り切ろうとしてだ。1回あたり500万円くらい」(01年1月26日付「朝日」)
塩川正十郎元官房長官
「野党対策で使っていることは事実です。現ナマでやるのと、一席設けて代をこちらが負担するとか」「総理が外遊で海外にいくから、その費用は外務省のある枠内からもってこいよ」 テレビ朝日系「サンデープロジェクト」01年1月28日放送)
野中広務官房長官
「毎月5千万〜7千万くらいは使っていた。首相の部屋には月1千万円野党工作等のために自民党の国会政策委員長に月500万円、参院幹事長にも月500万円程度を渡していた。評論家当時の野党議員にも配っていた」「前の官房長官から引き継いだノートには政治評論家も含め、これだけ持っていけと書いてあって」等とテレビのインタビューで述べている(甲10)
加藤官房長官
被告国が頑強に否定しているが、加藤官房長官時代の支出の実態は甲4号証のとおりであると報道されている。この報道からみる限り、内閣官房報償費は、官房長官がきわめて恣意的に支出していることが分かる
(4)千代証人の証言は、内閣官房長官が全く恣意的に支出していないことを前提とする証言である。しかし、その実態は、上記の元官房長官の報道のとおり、原告としては本件官房報償費が極めて恣意的に支出されていること、従って、開示されても上記④にも該当せず、⑤の危険性も存在しないことを立証するために、安倍証人の採用申請をしているのである。
(5) 政策推進費受払簿に記載された作成日付、金額(前回残額、前回から今回までの支払額、現在残額、今回繰入額及び現在額の合計)等の情報が公になった場合、政策推進費の一定期間における支払総額や一定時点における繰入額が明らかになる(乙20号証20頁)。
政策推進費受払簿に記載されている情報が明らかになった場合、内閣官房報償費(政策推進費)を、いつからいつまでの期間で、いくら使用したかが分かることから、それと、その当時の内政上、外政上の政策課題等を照らし合わせることにより、政策推進費の支払の目的・内容や支払いの相手先等が特定又は推測されるおそれがあるという(乙20号証20頁)。
政策推進費は1カ月に2回から3回支出されている。しかし、これが明らかになったとしても、前回残額及び1か月の中で、いつ政策推進費が、いくら支出されたかが明らかになるだけで、誰に、いついくら支払ったかは明らかにならない。これに対し、国の主張は、マスコミ等でさまざまな報道がなされ、相手方が特定又は推測されるという。しかし、官房長官の行動はすべて公開されているわけではないし、まして官房報償費を支出する時等は極秘裏に行動するのであるから、マスコミなどが推測すること等およそ不可能である。
この点、官房長官として公開されている行動とそれ以外の行動等を質問することにより、上記(1)④⑤の事実が存在しないことを反証したい。
(6) 報償費支払明細書に記載された個々の支払・支出に関する情報は、政策推進受払簿、支払決定書から転記されたものであるから、公にされた場合には、政策推進費受払簿ないし支払決定書に記載された情報が公にされた場合と同様の支障があるという。
また、報償費支払明細書に記載された④部分(「前月繰越額」、「本月受入額」、「本月支払額」、「翌月繰越額」)に関する情報は、出納管理簿に記載された情報であるから、公にされた場合には、出納管理簿の記載された情報が公にされた場合と同様の支障があるという(乙20号証23頁)。
本件対象文書が開示されると、政策推進費、調査情報対策費、活動関係費の各月の支払総額が判明するが、総額はほぼ月1億円であること、その中で政策推進費、調査情報対策費、活動関係費の各費目の総額が明らかになったとしても、具体的支払相手方、金額、支払日時等は明らかにならない。
その点、安倍証人に対し、仮にそれらが明らかになった場合でも、法に規定する具体的危険性が不存在であることを反証したい
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