2010.10.21 05:00
中国・天津にあるレアアース加工工場で、固化させたネオジムを砕く作業に入る工員(ブルームバーグ)【拡大】
世界的にレアアースの価格が高騰する中、中国では密輸出が横行している。関係者によると、年間約2万トンのレアアースが国外に(不正)流出しているという。
偽装、贈賄、合金化
中国では2006年から、レアアースの輸出制限が始まり、現在、総輸出量は3万258トンとなって昨年に比べて2万トン以上減少した。この(供給量では世界一となる中国による)輸出量減少の影響で国際価格は急騰、巨額の利益を得ようと密輸する人が後を絶たない。あるデータでは06~08年の間、国内消費分と正規輸出分を差し引いても、なお数万トンのレアアースが行方不明の状態だという。
最近では、レアアース4000トンを赤色酸化鉄と偽って輸出しようとして摘発された例もある。また広西チワン族自治区南寧市の税関が検挙した事案でも、約4196トン、約1億900万元(約13億3200万円)相当のレアアースが、ほかの品だと偽って密輸されるところだった。
摘発例をみると、不正な輸出を行う多くがレアアースの専門家だ。珪藻(けいそう)土や硫酸アルミなど、一見似ている品と偽って通関させたり、税関係員を贈賄で抱き込み、密輸を行っているという。
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