人気グループ、嵐のメンバーが日本各地の魅力を紹介する内容で、全国の小中高など約4万校に教育活用を目的に2冊ずつ寄贈した非売品の学校図書「ニッポンの嵐」が、インターネットオークションで高値販売されていることが20日分かった。観光立国ナビゲーターとして嵐が寄贈した“善意の本”がネット流出した形。出版窓口の国土交通省観光庁には、これまでも出版を求める問い合わせが相次ぎ、詳細について同庁が説明する騒動にもなっていた。
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嵐を日本の海外でのPR役「観光立国ナビゲーター」に任命し、学校への図書の配布に協力した観光庁は「どこから流出したか分からないが、遺憾だ」と憤りを隠せなかった。
ヤフーオークションに18日に出品された図書は8万円から入札を開始。本物であることを強調し「通常の販売ルートでは絶対に手に入りません」などと説明している。以前にも、ネット上に数点が出品され、“取引”されたとみられている。
「ニッポンの嵐」は、嵐のメンバー5人が日本各地を訪れ、体験して感じた地域の魅力や郷土文化を写真とともに紹介。A4変型オールカラー200ページの豪華本。当初は販売予定だったが、メンバーの意向で寄贈が決まり、9月1日から8万冊を各学校に贈った。
当時、リーダーの大野智ら5人のメンバーはコメントを発表し、「この本を学校の図書館に置いていただき、長く読んでいただけたらいいな、と思ったことが、学校図書という形を取らせていただいた動機です」と説明していた。
夏休みの明けた学校の図書室では、お宝本として大きな反響があったが、一方では一般ファンから観光庁に1日100本に及ぶ問い合わせが殺到する騒ぎになっていた。
出品された本がどこから流出したのかは現在、明らかになっていないが、今回のオークション取引は、嵐のメンバーの善意を踏みにじるものでしかない。