【社説】6カ国協議再開の前に核実験を凍結するのが筋

 韓国と米国の政府当局者は、2006年と09年の2回にわたり核実験が行われた咸鏡北道豊渓里周辺で、北朝鮮が3回目の核実験を準備している兆候をとらえたことを発表した。この地域周辺では最近、人や車などの動きが活発になり、核実験に使われた地下坑道を復旧するためと推測される動きも感知されているという。韓米両国の専門家は、「豊渓里周辺での準備状況からすると、核実験が行われるまでに3カ月ほど必要だろう」と予想した。

 北朝鮮が最初に実施した核実験の規模は0.8キロトン(1キロトンはTNT火薬1000トン)で、2回目は4-5キロトンほどだった。1945年に広島に投下された核爆弾の規模は15キロトンだ。北朝鮮による核実験の爆発力が小さかった理由については、技術的問題やプルトニウム保有量が少なかったことなどが考えられ、そのため爆発の規模をあえて小さくした可能性もある。また、今回はプルトニウムではなくウランによる核実験を行うことも考えられる。

 北朝鮮は、豊渓里周辺が米国の偵察衛星によって集中監視を受けていることをよく知っている。そのため今回の動きは、韓米両国の注意を引きつけるためのものともみられる。韓米両国政府の関係者も、「豊渓里周辺での慌ただしい動きは、韓米を6カ国協議の場へと引き出すための政治的なジェスチャーである可能性が高い」とコメントした。しかし北朝鮮は、自分たちが望む結果が出ない場合、核実験を実行に移すことも当然、考えられる。

 韓米両国は、北朝鮮による核実験の動きに影響を受け、6カ国協議にズルズルと引き出されるようなことがあってはならない。そうなると、北朝鮮は核実験の動きを示すだけで、韓米両国に圧力を加えることができると判断し、今後も同じような手口を使ってくるだろう。韓米両国はまず、北朝鮮による3回目の核実験を阻止する責任は中国にあることを明確にしなければならない。中国はここ数カ月にわたり、北朝鮮と共に、韓米両国に対し6カ国協議の早期再開を提案してきた。6カ国協議は北朝鮮の非核化がテーマのはずだが、その早期再開を提案する一方で、北朝鮮による核実験に向けた動きを放置するのなら、これは理に適わないことだ。

 中国は6カ国協議の議長国として、韓米両国をはじめ、ほかの参加国に対し、豊渓里で今何が行われているかを説明する義務がある。北朝鮮による核実験の動きをストップさせることができる政治的、外交的な手段を持つ国は中国しかない。そのため中国は今回、「韓半島(朝鮮半島)非核化に向けた意志」を行動で示さなければならない。北朝鮮が核実験行い、核戦力のバランスを中国と北朝鮮に傾かせようとする動きを今後も示すようであれば、韓米両国は非常対策を取る以外にない。韓米両国はこのことを北朝鮮と中国に明確に示す必要がある。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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