レアアース、中国で密輸出横行「正規量の3分の1相当」 (2/2ページ)

2010.10.21 05:00

中国・天津にあるレアアース加工工場で、固化させたネオジムを砕く作業に入る工員(ブルームバーグ)

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 業界アナリストによれば「商社や生産企業も密輸をしている」という。摘発を避けるため、他企業に輸出業務を委託し、表面に出てこないケースも多い。

 また、輸出量の割り当て制限がないレアアース合金を輸出、あるいは輸出後にレアアースを分離して取り出す方法も、海外流出の主要経路になっている。

 税関管理機能せず

 (中国共産党の高級幹部を養成する)中央党校で国際戦略論が専門の李兵氏は「密輸されているレアアース2万トンは、正規輸出量の3分の1に相当する」と指摘する。

 その上で李氏は、中国のレアアース埋蔵量は世界の30%以下であり、「流出を管理できなければ、将来は輸入せざるを得ず、数十倍、数百倍の代価を払うことになる。欧米諸国から戦略的に制限を受ける可能性もある」と警鐘を鳴らす。だが、レアアースの管理は非常に困難だ。莫大(ばくだい)な貨物量を取り扱う税関で、レアアースの密輸を取り締まるのは不可能に近い。

 さらに、税関における税番(関税分類)の不備という問題もある。レアアース製品の種類は日ごとに増加しているが、輸出税番はわずか四十数個しかない。一部製品は輸出税番が一致せず、万全な監督・管理ができる体制ではない。これが資源の流出を招く一因でもある。(毎日経済新聞=中国新聞社)

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