「セ・リーグCSファイナルS・第1戦、中日5-0巨人」(20日、ナゴド)
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが開幕。優勝チームで1勝のアドバンテージがある中日が5‐0で巨人に快勝し、対戦成績を2勝0敗とした。中日は初回に打線が爆発し、一挙4点。先発のチェンも6回2/3を無失点と貫禄をみせるなど、危なげない試合運びだった。
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2歩前に出た。完全優勝に突き進む速攻劇。落合竜が勝率7割5分を誇る本拠地で、9連勝中の宿敵をなぎ倒した。敵将が敷いた奇襲作戦をわずか1回で打ち砕き、天地の裂け目は拡大。万策講じたオレ流指揮官が、堂々の高笑いだ。
原監督が仕掛けた奇襲。内海ではなく東野。中3日。決戦前には「一泡吹かせたい。(中日も)そろそろ負けると思うはず。迎え撃つ苦しさは身に染みて分かってる」と、さまざまな網を張って、落合竜を挑発にかかったが、心配は無用だった。
初回、1死二塁。選手会長がとらえた。先制の左前適時打。「挑発には乗りませんよ。連勝はいつか止まるものだと思ってますから」と泰然自若の姿勢を決め込んだ森野が波を呼んだ。1点以上の重みを持った先制点の威力は絶大だった。
四球を挟んでブランコ、藤井が連続適時打。打者8人で5安打、一挙4得点。必死で作り笑いを浮かべていた東野の顔色が消えた。34球。噴き出る汗がほおを伝う。肩で息をする敵軍エースの姿が、勝敗の行方を示していた。
17日間の空白。落合監督は荒療治に出た。レギュラーシーズン終了2日後の4日に全選手の出場選手登録を抹消した。「一度ゼロに戻して、全員を横一線からスタートさせて、ふるいにかけたいんだ」。最大6試合の短期決戦。調子のベクトルが上を向く選手を起用したい意図と、改めて選手の競争意識をあおる狙いがあった。
スタメンに並んだメンバーは、ほぼシーズン中と変わらない面々だったが、実戦ボケや、心のスキを生ませる可能性のあった2週間強の調整期間を有意義に使い、勝利へと結び付けたオレ流タクトは功を奏した。
「まあまあ動けてたかな。今日は難しい試合だった。周りが言うように、日にちが空いてたからな。勝ちゃいいんだ。内容はともかくな」。落合監督が与えた及第点。軌道に乗った。連勝で一気の王手だ。